
金銭哲学では「悪銭身に付かず」と戒めている。行動経済学でも「あぶく銭は浪費しやすい」と経済心理学の機微を説いている。6月から実施される一人4万円の定額減税を「悪銭」、「あぶく銭」などと形容するのはいろいろと議論を呼びそうだ。しかし1回限りの定額減税は、恒常収入でなく変動収入であり、その意味では一時的に「悪銭」、「あぶく銭」の側面を持つことは否定できない。
定額減税の政策目標は、かつては岸田内閣が、国会会期末を迎えて重要法案の成立と定額減税のセットで内閣支持率を引き上げ、解散総選挙に打って出るための布石との生臭い政治観測もされたようだが、いまでは専らインフレ・マインドの醸成に資することにあるようである。ただこんなことを言ったらバチが当たりそうだが、たかが4万円である。これでインフレ・マインド醸成、消費拡大につながるかといえば相当に無理がある。大半は、物価高騰で四苦八苦している家計費の不足分に充当されて消えるに違いなく、かえって家計の節約志向、生活防衛意識を刺激してしまう恐れさえある。またなかにはこの4万円を原資に一攫千金を狙う輩も出てくるかもしれない。競輪・競馬・競艇・スポーツくじ・パチンコなどのギャンブルや宝くじなどへの賭けである。その類のギャンブル資金なら、4万円はそれなりに使い出があり、まさに「あぶく銭は浪費」の実証ケースとなる。
ただもっと賢い浪費家は、別の選択をする可能性もある。株式投資である。というのも東証には、4万円で最小単元株数の100株を取得できる低位銘柄が、全上場企業数(3831社)の12%を占める約460銘柄もあるからである。仮にこの低位銘柄から有配会社を選別して投資すれば、配当収入と新NISA(少額投資非課税制度)の税制優遇により4万円の変動収入が、恒常収入に一変することをアシストし、あたかもマネーロンダリング(資金洗浄)にもなることになる。
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