
■クローズドキャンペーンがPOP広告の潜在需要に対応、ノウハウ収益に貢献
POPの最大手、アルファ<4760>(JQS)の12年8月期業績(非連結)は、大震災後POP業界は市場規模が3%縮小する中、同社はシェア3.1%と健闘し、6期ぶりの増収で、3期ぶりに増益基調を回復した。その結果を踏まえ期末配当を1円増配し、1株あたり5円を実施する。
売上高7,153百万円(前年度比4.2%増)、営業利益202百万円(同338.8%増)、当期純利益79百万円(前期0百万円)。

■回復基調に強い手応えか!ノウハウが寄与し別注製品など粗利益率上昇、今後サービスメニューとして拡大に注力
決算説明会で同社浅野薫社長は、震災直後の厳しい環境を乗り越え、2大重点施策が順調に成果を上げたことで、業績回復基調に強い手応えを感じた様子で、前期業績を総括し次のように述べた。
「震災後の激しい動きも収まり、ほぼ正常化した。マクロ環境としてPOP広告に対するニーズは、『キャンペーン告知用』・『特定小売企業向け専用』が60%を占めるなど、販促促キャンペーンへの潜在需要が大きい。
当社においても、メーカー(特に、飲料)の工場稼動から販促に向けた売上高が回復した。利益面では、当社独自のセールスプロモーションである販促用『クローズドキャンペーン』が順調に伸びて、企画・デザイン料など、これまで蓄積してきたノウハウが収益に貢献した。なかでも、懸案であった別注製品の粗利益率が上昇してきたので、今後サービスメニューの1つとして拡大に注力したい。また、配送費見直しにより販管費が圧縮され営業利益率が改善した。デジタル化に対応した、BtoBのEコマース事業である『POPギャラリー』によるWEB受注も順調に拡大し、利益率向上に貢献している。」
■大口取引先の深堀が大きな成果、別注製品・商品が増収に貢献
【2大重点施策】
1.大口取引先への深堀の提案:500万円以上の大口取引先については成果があり、売り上げ、粗利率ともに前年を上回り全体の業績アップに寄与した。300万円以上500万円未満では売り上げ伸び悩みながら粗利率は上昇、100万未満では売り上げ、粗利率ともに苦戦した。
2.クローズドキャンペーン:月間平均受注件数は143件(前年度113件)と伸び率が高く、大震災以降順調な回復基調であった。早期に月間150〜200件の獲得を目指す。

【セグメント情報】
売上高は、自社企画製品の落ち込みを別注製品・商品がカバーし、全体で4.2%増となった。全体粗利率0.7ポイントアップについては商品を除き寄与した。また、商品の粗利率についてはWEB拡大で歯止めに取組んでいる。
【業種別販売特性】
1.業種別売上高は、販促キャンペーン推進成果として、製造業比率が3.3ポイントと大幅アップし、卸売り・サービス業が減少した。
2.取り扱い件数は、大口取引先の深耕施策が浸透した結果、全業種で減少したが、売り上げ面では製造・小売業の比率が高まった。
3.売上高では製造・小売業が1件当り取引金額を伸ばした。
4.売上高の伸びなかった卸売り・飲食・サービス・その他も粗利率では前期を上回った。
■今期利益は2ケタ伸長でさらに前進!〜安定的増収益可能な体制構築〜
今期13年8月期は、中期経営計画の最終年度に当たるが、初年度11年8月期が震災により伸長速度を大きく阻害され、今期通期目標を売上高73億円(中計目標78億円)、経常利益2.2億円(同3億円)、経常利益率3.0%(同3.8%)、ROE5%以上(同6%以上)に修正公表しているが、既に、前期実績では、初年度を底に業績回復基調を鮮明にしている。特に、利益率向上が着実に進み、筋肉質への体質改善が大きく前進してことは注目点である。
同社は、今期通期目標をIR目標と位置づけるなど保守的に見ているが、長期的観点で見れば、安定的増収、増益可能な体制構築へ一歩も二歩も前進することを目指している。

最終年度の全社戦略として、店頭プロモーション、及び店頭を機軸とした買い物コミュニケーション領域に重点を置き、1.店頭プロモーション(五感刺激のPOP・クローズドキャンペーン・別注関連・新規事業)、2.POPギャラリー(POPギャラリーカタログ・PCオンラインショップ・BtoC関連)、3.ショッパーマーケッティング(店頭実験・ショッパーリサーチ)を主要3事業として、リーディングカンパニーへ向けた取組を展開する。
特に今期は、別注製品の粗利率2ポイントアップ、自社企画製品の拡販、組織力を活かした商品拡販と粗利率アップ、東京を拠点とする専属チーム編成と全国的横展開など新規開拓で、「変革の加速」に取組む。
その結果、売上高7,300百万円(前期比2.1%増)、営業利益225百万円(同11.3%増)、当期純利益120百万円(同50.2%増)の増収、大幅増益を見込む。
