
■利益推移みて追加投資も:広告宣伝・販促費、生産設備更新にも
大幸薬品<4574>(東1)の13年3月期上期(4〜9月)業績は主力の医薬品事業、感染管理事業とも好調に推移し前年同期に比べ9.3%の増収となり、売り上げ構成比の変化、生産原価増、さらに東京拠点の移転など費用が増加したが増益を維持した。特に利益面では、上期を終えて期初予想の通期利益水準にほぼ達したが、現段階では通期業績予想を据え置いた。
上期、主要2事業の動向は、医薬品事業が順調に推移し、感染管理事業が大きく売り上げを伸ばした。損益面では増収効果があったが、原価及び販管費増をカバーできなかった。
【医薬品事業】:前期上期に販売を開始した小児五疳薬「樋屋奇応丸」が売り上げに寄与した一方、前期末に出荷が急増した主力の正露丸・セイロガン糖衣Aがその反動で期初に落ち込んだ影響から、国内向は微減となった。ただし、季節的に止瀉薬の需要が高まる第2四半期(7〜9月)は、前期実績を上回った。海外向では、中国、香港、台湾の各市場が堅調に推移し増収となった。医薬品事業全体の損益面では粗利が改善したが、国内外で新TVCMの製作・放映など販管費が増加し減益となった。
売上高2,843百万円(前年同期比4.9%増)、営業利益1,189百万円(同6.6%減)。
【感染管理事業】:主力製品の「クレベリン ゲル」において前期の大口受注の反動が見られたが、量販店へのアプローチ拡充や販促提案の早期化など営業を強化したことから、一般用製品は前年同期を上回った。また、クレベリン G スティックタイプ」、「クレベリン発生機」など業務用製品が伸長した。
損益面では、増収効果で粗利が増加したが、組織変更に伴う人件費増など販管費増で前年同期並の損失となった。
売上高446百万円(同50.3%増)、営業損失42百万円(同損失2百万円増)。
■新たな施策により、医薬品と感染管理事業を推進
下期営業戦略として、医薬品事業では若年層マーケットへのアプローチを強化し、感染管理事業ではクレベリンの調剤薬局への営業展開を推進する。
医薬品事業の主力商品である「正露丸」、「セイロガン糖衣A」営業では、整腸剤市場に関する調査(12年9月:インテージ)で、正露丸93.7%、セイロガン糖衣A71.1%と認知度は高いが、実際に購入し使った実績が、正露丸が5割程度で、セイロガン糖衣Aは5割に満たないという。同社はこの結果に注目し国内販売の拡大施策として、若年層マーケットに注目した営業戦略を展開し浸透を図る。
感染管理事業では、調剤薬局おける一般用クレベリン販売について取り組みを開始した。
また、業務用においては、「クレベリン G スティックタイプ」、「クレベリン発生器」を中心に販売強化に取り組む。
自社最新研究の成果として「クレベリンの主成分である二酸化塩素がインフルエンザウイルスの感染を抑制するメカニズムを解明した」論文がイギリスの学術雑誌に掲載された。また、その他最新研究(【注】)においても、「空気中のウイルス・菌を99%除去する」ことを明らかにしている。
【注】 「低濃度二酸化塩素ガスの浮遊細菌と浮遊ウイルスに対する低減効果」(Journal of General Virology Vol.93 December2012)、「ネコカリシウイルス(ノロウイルスの代替)に対する二酸化塩素ガス発生ゲル剤の有効性の検討」(日本防菌防黴学会・第39年次大会)