川崎近海汽船<9179>(東2)は27日に行った10年3月期決算説明会で、今期を初年度とし13年3月期までの中期(3ヵ年)経営計画を発表した。
同社前期業績は、全体的には大幅減収・減益となったが、近海部門の不定期船部門が前期初に底打ちし、定期船部門も鋼材輸送の下期回復、また、内航部門は定期、不定期船ともに長期輸送契約などの比較的安定収益が確保されるなど、回復基調も示した。
森原社長は中期経営計画の骨子である今後の課題と取組みについて、「アジア諸国の持続的経済成長に対し、国内経済の回復はデフレ懸念、雇用情勢の厳しさから引き続き緩やかな回復に止まる中、国内の産業構造、並びに顧客ニーズの変化への対応」などの同社課題に対する取組みとして、「近海部門で遠洋航路も視野にいれた新規分野への進出、営業利益の伸びが大きく伸長余地のある近海船の効率的な復航路配船」「内航部門では、高速道路料金問題、温暖化対策としての環境税など外的要因による輸送動向を把握したうえで、顧客利便性・サービスの向上のために、4隻体制で運行しているフェリー部門に、より効率的大型新造代替船を2012年春に投入し、定期船では茨城港港湾整備並びに高速道路開通を視野に、将来に向けてより効率的新造船建造を検討する。」と述べた。
最終年度の数値目標は、売上高42,500百万円(実績比16.0%増)、営業利益3,100百万円(同77.8%増)、経常利益2,900百万円(同77.3%増)、当期純利益1,600百万円(同41.9%増)とし新たな成長路線へ挑む。(為替レート90円、然料油価格53,000円を期中の前提条件とする)
効率的配船を目指し、近海航路6隻など新造船10隻の投入を予定
新分野進出を実現するための具体的施策等である期(3ヵ年)中の船隊整備については、新造予定船として、近海部門では、11千トン型・28千トン型各1隻(傭船)、12千トン型2隻(自社船)を決め、さらに16千トン型・20千トン型各1隻(自社船または傭船)の検討を含め6隻建造を予定している。
また、内航部門では、小型貨物船(傭船)1.8千トン型、旅客フェリー(自社船)11千トン型各1隻建造が確定しているが、さらに3年ぶりの発注となるRORO船14千トン型、新規分野進出用の貨物船3千トン型を各1隻(自社船また傭船)と4隻の建造を予定している。
新船10隻建造を中心とした期中の投資額は11年3月期2,455百万円,12年3月期6,579百万円、および13年3月期6,179百万円を見込んでいるが、前期末有利子負債12,368百万円は、最終年度も同水準とみており、自己資本比率も若干の上昇に止まる模様だ。
■今期11年3月期、2ケタ増益見込む 初年度である11年3月期業績見通しについては、アジア諸国の景気後退局面の終息、国内景気の緩やかながら着実な回復があり、円高・近海部門運賃減、燃料油価格でのコスト増、船舶管理費・傭船料の上昇傾向、紙製品・建設資材など荷動き動向など懸念材料が想定されるが、売上高39,300百万円(前期比7.2%増)、営業利益2,250百万円(同29.9%増)、経常利益2,050百万円(同25.3%増)、当期純利益1,300百万円(同15.2%増)の増収増益を見込んでいる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:55
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