■2ケタの減収であったが増益を確保
建材の輸入販売や国産建材の開発・販売などを手がける
アドヴァン<7463>(東1)の第1四半期連結決算の説明会が、10日同本社ビル8階で開催された。
第1四半期業績は、3日早々に発表されているように、売上高27億6900万円(前年同期比21.2%減)、営業利益4億8400万円(同16.4%増)、経常利益5億300万円(同6.2%増)、純利益3億1200万円(同301.0%増)と2ケタの減収であったが増益を確保している。
第1四半期の建材関連事業(石材・タイル・新建材・水周り)の売上高は22億3800万円(同25.0%減)。内訳は、一般建築関連(店舗・商業施設、ホテル、病院等)13億6800万円(同21.7%減)、住宅関連(マンション、戸建住宅)8億6900万円(同29.7%減)と大幅減収であった。4月、5月の日本の建築総計(床面積)を見ると分かるように、4月943万1千u(同32.5%減)、5月882万3千u(同34.0%減)と市場環境は悪化していて、まだ歯止めがかかっていない状況である。
一方、ホームセンターへのガーデニング関連商品の販売を行うHRB事業は、売上高5億3100万円(同0.5%増)と堅調に推移。ガソリン価格の低下に伴う輸送コスト減により、営業利益率が回復した。
説明会に出席した代表取締役社長山形雅之助氏によると「石やタイルを貼る職人が月の半分しか働けない状況で、仕事にあふれた職人は1カ月間仕事が無い人もいる。技術がある人でも、その間は、日払いの仕事や、コンビニでアルバイトしている。」とのことで、非常に厳しい環境にある。
利益面では、売上原価率が53.4%と前年同期より4.1ポイントも低下し、販売管理費も8億700万円と2億7100万円減少したことから、営業利益は2ケタの伸びとなった。しかも前期にあった3億9500万円の特別損失が今期は2200万円に止まったことから、最終利益は大幅な増益となった。
財務面を見ると、自己資本比率は前期末に比べ1ポイント改善し63.8%。現金及び預金は59億8000万円あり、手元資金は潤沢である。
事業改善が進み、利益の出易い体質になっているが、同社では、事業環境が厳しいことを踏まえ、営業面ではスポットの売上獲得を目指すより、中長期で売上が伸びるような営業に仕組みを変えていく。また、受注を確保するために、幅広い営業を行っていく方針。一方で、経営の効率化を進めるために、物流管理の合理化、日次棚卸の実施、業務とオフィス環境の効率化、組織の見直しと人員の最適配置を実施する等、厳しい事業環境の中でも出来ることを積極的に推進していく。
直近の話題としては、例年4月に行っていた展示会を今年は6月に行った。余りに環境が厳しかったことから、4月の実施を見合わせていたが、これまで継続してきたことを尊重し、6月4日から27日の期間に名古屋を皮切りに、福岡、大阪、東京で2009年フェアを開催した。「多くのお客さんが来場してくださった上に、物件の情報もいただきました。」(山形雅之助社長)と開催した効果は大きかったようである。
マンションディベロッパーは、売る物件が少なくなったことから、仕掛品を買い取って完成させ販売している状況であり、供給戸数が大幅に減少している。首都圏の5月のマンション供給戸数は3120戸と今年に入って最低の数字を記録。従って、建材関連の売上が伸びるような環境ではない。しかし、同社では効率経営を実施し、増益を確保する体制を構築している。また、今期の想定為替レートを1ドル105円、1ユーロ135円としているため、資材を海外から輸入する同社にとっては、現在の円高は、フォローの風である。
通期連結業績予想は、売上高135億円(前期比0.7%増)、営業利益23億7000万円(同5.8%増)、経常利益24億7000万円(同3.5%増)、純利益13億4000万円(同7.8%増)と増収増益を見込む。
なお、04年から月次売上高速報を開示していたが、前期より4半期決算が本格的にスタートしたため、04年スタート時の状況と変わってきていることから、月次売上高速報の開示を6月で終了することにした。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:10
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