
新型インフルエンザが発生して話題となっていることから挨拶に立った代表取締役社長矢澤英人氏は「先日、大阪地区の販売店を招いた会議に出席するために大阪に行きましたが、およそ9割の人達がマスクをしているのを見て驚きました」という話から始まった。
同社の主力事業は、科学研究施設事業と粉体機械事業である。科学研究施設事業では、日本一と自負している実験台工場や業界随一のメンテナンス会社を有している。一方、粉体機械事業では、半世紀以上の歴史を持つ粉体処理のパイオニアメーカーと呼ばれる会社や受託加工を行うグループ企業を持つ。主要顧客は、医薬品業界、食品飲料業界など。新型インフルエンザに関しても国立研究所に同社のラボ施設を納入していることから、現在引き合いは見えていないが全く関係が無いとはいえない。
09年9月期第2四半期連結業績は、11日に発表されているように、売上高93億4000万円(前年同期比8.9%減)、営業利益3億2500万円(同42.5%減)、経常利益2億6300万円(同46.8%減)、純利益1億6600万円(同58.5%減)と減収大幅減益であった。最大の原因は、リーマンショックの影響で、10月、11月の売上高が急落したためである。
また、同日に「新中期経営計画」を発表した。本来ならば、前期の決算発表時に同時に発表するべきものであったが、昨年7月から業績が急変したことで、策定できる状況ではなかった。その後、アドバイザリー4名を加え作成した。
3年間で販売戦略・購買体制の見直しによる本業収益力の強化と有利子負債の圧縮を図り、財務体質の改善・強化を実現する計画。連結売上高の具体的目標数値は、毎年対前年比3%の増収を目指し、09年9月期180億6600万円、10年9月期184億2100万円、11年9月期189億1600万円となる。営業利益は、09年9月期2億7600万円、10年9月期5億8300万円、11年9月期7億2700万円。
科学研究施設部門では、採算管理を徹底し、高利益率を実現するための販売戦略・購買戦略を推進して収益力の強化を目指す。そのための施策としては、本部主導による個別案件に対するモニタリング体制を更に強化し、失注削減を徹底的に進め、成約率を高める。また、比較的に利益率の高い小口取引案件を増やし、売上高の増加と共に利益率の維持・向上に努める。一方で、仕入・製造コストの削減を実施する。
粉体機械部門では、材料の値上がり部分などのコストを販売単価に転嫁し、販売価格を高く設定し、利益率を維持・改善していく。また、営業は、各営業担当者の経験やノウハウを共有することで、営業力の強化を図り、受注量の増加、収益力の向上に努めるとしている。
今通期連結業績予想は、売上高180億6600万円(前期比3.9%増)、営業利益2億7600万円(同21.3%減)、経常利益1億2600万円(同40.1%減)、純利益4900万円(同64.1%減)を目指す。配当は前期同様期末3円を予定している。
説明会の最後に代表取締役副社長矢澤明人氏は挨拶の中で「現在はナノの時代とも言える。ナノの大きさまで小さくなると肌から吸収される。良い物質であれば問題ないが、悪い物質であれば吸着できる装置も必要となる。そのような時代が来ていることから、粉体に関するダルトンの実力が更に評価されることになる」と語ったように、研究施設、粉体機械の両事業とも今後の我々の日常生活にとってますます身近な事業となりそうだ。