共和電業<6853>(東1)は、毎年1回主力工場である山形共和電業の見学会を開催している。今年は7月3日(木)に実施された。
見学会の挨拶で、高木瑞夫代表取締役社長は「山形共和電業では、全社売上の40%以上を担っています。また、当社のコア製品であるひずみゲージ(センサーの一種)を生産しています。当社をご理解いただくには一番良い場所だと思いまして、見学会を開いています。この工場でどのような活動を行っているか、良く見てください。」と語ったように、山形共和電業で取り組んでいる生産革新運動が、共和電業全体にとって如何に重要であるかが窺われる。
同社は、ひずみゲージを使った応力計測で業界のトップ。製品は約2万アイテムと種類は多い。製品を分野別に分けると自動車試験、福祉、工業計測、環境・防災インフラ、運輸・交通インフラと5つに分けられる。その中で最も売上構成比率が高いのが、自動車関連で、前期では全売上の25%を占めている。品種別では計測機器125億円(85%)、計測コンサルティング13億円(9%)、保守・修理8億円(6%)となっている。一番売上の大きい計測機器は更に、汎用製品53%、特注システム29%、その他の製品4%に分けられる。
一通り工場見学を終えた後で質疑応答があったが、今後の同社の業績に大きく貢献するであろう新型加速度変換器についての話が出てきた。
☆開発と製造のコラボレーションで生み出した製品 2010年以降、ヨーロッパと日本で衝突安全に関する世界統一基準を作成する動きがあり、歩行者保護の観点からどれだけ安全性を高めることが出来るかを日本側が担当している。そこで開発されたのが同社の新型加速度変換器。以前この変換器の開発に取り組んだが、歩留まりが悪くとても商業ベースには乗らないと、一度は断念した過去があるという。ところが04年から山形共和電業を中心として生産革新運動を始めて以来、最近では社員全体が何事も前向きに捉えるようになり、社内が明るくなり、活発になってきているそうである。そのような状況の中で新型加速度変換器の開発要請が再び来た。これを機会に半年で開発すると決意し、山形と調布本社の開発担当で一緒になって取り組んだ結果、開発に成功し、歩留まりが大幅に向上、商業ベースに乗るようになったという。
この新型加速度変換器は、小型かつ精度が高く、歩行者の交通事故で頭部に加わる衝撃をデータ採取する際に、異常値がほとんど発生しない、現時点で唯一の製品である。研究開発用のため、少ロットであるが、販売価格は比較的高額である。先に述べた衝突安全の世界統一基準作成に向けて、海外の公的試験場から引合が来ている。更に、各自動車メーカーからの注文も予想され、需要に応えられるよう生産体制を整えている。
今期連結業績予想は、売上高147億円(前期比0.9%増)、経常利益13億円(同5.0%増)、純利益7億円(同9.9%増)を見込んでいるが、同社の新型加速度変換器を始めとする新製品がどの程度業績に貢献するか、楽しみなところである。
また、前期業績を見ると分かるように、売上高が1.0%の増収であったが、売上原価は2億1600万円減少している。ここに生産革新運動による成果が現れているといえる。時間はコストという意識、歩留まり改善などが生産効率を高めていて、今期も生産革新運動の好影響が出ている。
「新型加速度変換器の開発も生産革新運動が実施されていなかったら成功しなかっただろう」と山形共和電業の代表取締役社長星淑夫氏が述べているが、生産革新運動がレバリッジとなり同社に大きな成果をもたらし始めたといえる。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:58
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