アルファシステムズ<4719>(東1)は、5月16日に前08年3月期連結業績を発表している。売上高252億4600万円(前々期比6.5%増)、営業利益33億500万円(同11.1%増)、経常利益34億7900万円(同12.2%増)、純利益21億5800万円(同18.4%増)と当初計画を下回ったものの増収増益を達成し、最高益更新となった。
同社は大手通信企業の基幹ソフト開発を主力事業とする通信関連のソフト開発企業である。同社のソフト開発は独自性が高いことから、中途採用はほとんど行われず、新卒者を採用し、自社で教育していく方針を採っている。前期は、300名の新卒者を採用する予定であったが、200名に止まった。採用が思うように出来なかったことも当初計画の業績を下回った要因といえる。
現在の通信業界の状況は、光ブロードバンド・サービスが普及する中で、NGN(次世代ネットワーク)の構築が進展し、今年の3月には商用のサービス提供が開始している。モバイル分野では、3G(第3世代)の携帯電話サービスが広く普及している。次のステップとして通信事業者とIT企業の提携により、新たなモバイル通信サービスの創出を模索している。しかし、主要携帯端末メーカーの携帯端末事業からの撤退や事業見直しが相次ぎ、モバイル分野でのソフトウェア開発計画の変更や開発費用抑制が続く傾向にある。
そのような環境の中で、前08年3月期においては、NGN関連システム開発と組込ソフトウェア開発分野で受注拡大に注力した。ところが、第2四半期、モバイルネットワークシステムで、開発の中止、開発計画の変更等が発生したため、受注高・売上高共に前年同期を下回った。第3、4四半期でネットワークマネジメントシステムの受注が拡大したもの落ち込みをカバーする程ではなかったため、当初計画を下回る結果となった。
今期の事業別環境と売上計画を、ノードシステム、モバイルネットワークシステム、ネットワークマネジメントシステム、オープンシステム、その他に分けてみる。
まず、ノードシステムは、NGN関連のシステム開発の中心がネットワーク基盤からサービス・プラットホームヘ移行する状況である。この部門の売上高は63億円(前期比1.1%増)と見込んでいる。
モバイルネットワークシステムは、次世代モバイル網関連のシステム開発の受注に期待しているが、開発計画は不透明であることから、売上高66億円(同1.5%増)を計画している。
ネットワークマネジメントシステムは、NGN商用化に向けたサービス・プラットホームシステム開発の受注が拡大したことで、前期は16.6%増であったが、今期もNGN関連システム開発の受注が拡大すると見ていて、売上高87億円(同8.7%増)を予想している。
オープンシステムも前期に引き続き企業向けシステム開発の受注が拡大すると見ていて、新規顧客にも積極的に営業を展開していく方針。売上高38億円(同27.7%増)と大幅増収を見込んでいる。
その他の部門は、前期システム開発要員派遣の受注が増加したことで、対前年比で20.0%の増収であったが、今期は製品販売及びSI案件等の受注は前期並みと見ていて、売上高16億円(同4.4%増)を見込んでいる。
従って、今期業績予想は、売上高270億円(前期比6.9%増)、営業利益36億5000万円(同10.4%増)、経常利益37億5000万円(同7.8%増)、純利益21億8000万円(同1.0%増)と増収増益で、最高益更新を見込んでいる。また、配当に関しては中間・期末共に20円と年40円(前期30円)を予想している。なお、今期の採用計画は200名とし、計画通り200名採用している。
直近である12ヶ月平均の4月、5月の受注高は、4月21億3500万円(前年同月比7.8%増)、5月21億3600万円(同4.9%増)と過去最高である。
今後、2011年までに固定式電話とモバイルの融合、12年にユビキタス社会の実現、その後の放送と通信の融合が予想されているように、まだまだ同社の仕事は豊富である。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:57
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