
増収の要因は、大型新築物件であるフジテレビ新スタジオ、JR鴻巣駅東口再開発事業の大型施設の設備管理、市営立体駐車場の運営管理等を受注したことが挙げられる。経常減益の要因は、上半期にベッドメーキング事業の損失5500万円が出た影響とビルメンテナンス事業において受注価格の下落、工事原価率や労務・採用コストが上昇した影響による。最終利益の増益は貸倒引当金戻入益300万円と法人税が少なかったためである。
同社は、ビルメンテナンス業界の中堅であるが、メンテナンスの技術を要する放送局、ホテル、病院、学校等の物件が多いのが特徴。現況として、ビルメンテナンスに対する価格競争が激化していて、単価の下落が続いているが、受注物件は豊富であるため、人材の確保ができれば売上を伸ばせる環境にある。しかし、この業界では技術者は、定年退職してもほとんど再雇用される傾向が強く、技術者不足に泣かされているのが現状。また、証券化された建物の解約が多いという。理由は配当利回りが確保できない場合、物件が新しいうちに売却して、利益を確保するためである。業界では、契約期間が短く、しかもいつ解約されるか判らないリート物件の受注には消極的である。
☆ビジネス領域を拡大
今期業績見通しは、売上高117億700万円(前期比0.4%減)、経常利益4億6500万円(同1.5%減)、純利益2億6500万円(同3.0%減)、配当18円を予想している。
今期の取り組みとして、前期の上半期にベッドメーキング事業で5500万円の赤字が発生し、下方修正を発表したが、下期に挽回した。その要因は、提案していたリニューアル工事が下期に集中的に受注できたことである。従って、今期も引き続きリニューアル工事に注力する。リニューアルの対象となるのは、空調設備、照明等である、築10年以上経過した建物のエアコンであれば、新型に取り替えることで、省エネと利便性を図ることが出来る。また、さらに築年数の古い建物の場合、従来は寒暖には関係なく例えば7月から冷房、11月から暖房に切り替えることが一般的であったが、昨今は地球温暖化や、OA機器の負荷、建物の機密性維持の影響で、従来の、季節感覚とは、呼応せず、利便性・快適性に欠く状況である。
そのようなケースでは、運用法に柔軟に対応できる機器への取替えや、運用の見直しが必要となってくる。また古い大型ビルであれば、照明用器具を省エネ型に換えることで10%削減でき、コストダウンにつながる。ビルのオーナーにリニューアルすることで、コストダウンできることを知らせることで、リニューアル工事を受注する方針を採っていく。
今後の中期成長のための重点課題として、専門知識・技術力を背景としてビジネス領域を拡大し、サービスの質の向上とサービス体制を強化することを取り上げている。例えば、高砂熱学工業と業務提携したことにより、生産工場の産業空調設備など大規模かつ高度な専門性を要する領域までビジネス範囲を広げている。またホテル・オークラグループの仕事を通じて設備に関するリスク管理を含む総合的な設備マネジメント業務も習得している。
ビジネス領域が拡大していることで、今期は東京多摩地区文化施設メンテ、汐留地区オフィスビル巡回メンテ、芝地区オフィスビル巡回メンテを受注している。また、ホテル・オークラグループとの取引は2000年の1億円弱の売上高から今期は5億4000万円への順調に拡大している。
今後は、サービスレベルを強化することで好採算案件の獲得を増やしていく。また、優良顧客へのサービスの集中、営業拠点の再編・効率化、オンラインセンターの高度活用と業容を拡大することでサービス体制の強化を行うとしている。