
グリーン教授は、1975年に世界で初めて表皮角化細胞(主に皮膚を構成する細胞)の大量培養に成功し、培養細胞の技術を確立した。この培養表皮は、さまざまな皮膚欠損の治療において移植できることがわかっている。1983年には95%以上のやけどを負った2人の子供を救ったことが報告され、世界的にその有用性を実証したように、まさに再生医療の草分けとされている。
同社製品である自家培養表皮ジェイスは、グリーン教授の技術指導のもと昨年10月に厚生労働省から製造承認を取得するに至り、同社はグリーン教授から高く評価されたとしている。今回、正式に顧問契約を締結することで、再生医療製品の開発ならびに普及活動への助言、海外展開を含む将来の事業開発への助言を仰いでいく。
業績については、今09年3月期は売上高3億2100万円(前期比2.9倍)、経常損失11億4000万円(前期は10億4900万円の損失)、純損失11億6100万円(同10億8600万円の損失)を見込んでいる。自家培養表皮ジェイスの売上により大幅増収を見込む一方で、人件費の増加や製造販売後臨床試験の費用発生により若干損失が膨らむ見通し。
目先のポイントは、昨年11月に厚生労働省に保険適用希望書を提出しているジェイスの保険収載、続いて昨年3月に治験終了している自家培養軟骨の製造販売承認申請となろう。
15日の株価は、前日14日の決算発表を受けて今期も赤字幅拡大の見通しから失望売りを浴び、一時1万4000円安の9万3000円まで下押す場面があったが、長い下ヒゲをつけ大引けは10万円で終えている。
重症やけどの患者数は、日本国内で年4000人〜5000人ともされている。同社の自家培養表皮ジェイスが保険適用されることで、再生医療が手の届く治療法となり、より多くの患者が助かるためにも厚生労働省の判断が待たれる。