
地盤の大阪及び東京でオフィスビル賃貸管理を営む
ダイビル<8806>(東大1)。このダイビルが地元の大阪で今年から2014年にかけて続々と大型のオフィスビルを竣工させる予定である。
今年3月に延床面積79000u、地上35階高さ160mの「中之島ダイビル」、同じく今年7月には延床面積37000u、地上17階地下1階の「土佐堀ダイビル」の竣工が間近に迫っているほか、2012年度には前述「中之島ダイビル」の隣に延床面積47000u、地上26階高さ120mの「中之島ダイビルウエスト」(仮称)が、さらに14年度には延床面積23000u、地上30階程度の新しい「新ダイビル」(仮称)が竣工する。
何れの物件も中之島及びその近隣という、大阪では最もステイタスの高いビジネスエリアに立地し、昨年10月には中之島の真下を通る
京阪電気鉄道<9045>(東大1)の「京阪中之島線」も開通するなど、従来にまして利便性も高まったエリアに立地している。
試される不動産不況真っ只中の相次ぐオープン
しかし、昨年秋に始まったこの不況下で、支社・支店及び営業所は減少すれど、新設増設の動きは急速に減少している。昨年前半まで中心街の空室率が減少傾向にあった大阪でも後半から空室率が上昇傾向を示し始めている。昨年竣工した大阪の新築オフィスビルの空室率は、依然強気な賃料設定も災いして、20%に達しているとの統計もあり、オフィスビル需要の減退が鮮明化している。既存ビルも設備リニューアルなどを進めており、新築に比し安い賃料の割に、設備面ではそれ程見劣りしなくなってきていることも、新築オフィスビルにとっては厳しい要因となっている。
そうした市況下での竣工である。特に今年竣工する「中之島ダイビル」、「土佐堀ダイビル」はその不動産不況の荒波の真っ只中でオープンを余儀なくされる。「中之島ダイビル」は航空法の規制により、高さ規制のあるエリアでトップクラスの高層ビルであり、相当なキャパシティを誇る。そのキャパをどこまで埋めきれるか試される。
ダイビルの今後の業況が「日本経済の動きを映す」
同社は30日、09年3月期第3四半期決算を発表した。上期はまだ市況が好調だったこともあり、3Q累計業績は売上高が前年同期比12.1%、営業利益は同7.3%とそれぞれ増加。通期予想も売上高が前期比3.7%増、営業利益は同0.4%増を見込むなど、今年度は同業他社に比し、堅調な業績推移が見込まれる。地盤の大阪では「ダイビル」ブランドは健在なうえ、東京でも「秋葉原クロスフィールド」で有名な「秋葉原ダイビル」の入居率は好調である。
ここは10年3月期業績がどのような展開を示していくのか、注目していきたい。同社の来期業績の展開を見れば、不動産業界の好不調、大阪の景況感、果ては日本経済の動きの一端が垣間見れるかも知れない。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:00
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