
現在、育成しているのは、自動車や家電などに振動を加え、耐振動性などをテスト・検査する「加振システム」のうち、「電気サーボ式」の製品分野だ。
加振システムには、大きな力を加えることができる「油圧式」、高い振動周波数を加えることができる「動電式」、両方の中間的な位置づけの「電気サーボ式」がある。
このうち電気サーボ式は、油圧式に比べると、油のメンテナンスが不要であること、廃液が発生しないこと、油の加熱エネルギーコストが不要となること、騒音の発生が軽減されること、省スペースであることなど、環境性とコストの両方にメリットがある。
同社はいち早く電気サーボ式の製品を展開。業界に先駆けて市場開拓を進めている。
たとえば、完成車の車体を載せて加振し、ドアやシートのきしみなどを検査するシステム。従来の電気サーボ式は、モーターの力や増幅器の振幅が不足気味だった。が、同社製品は、油圧式と同等の力が出せる。そのため、加振システムの上に自動車を乗せて、振動させるといったこともできるようになった。
このほか、自動車部品向けで十数種類の計測器等がある。
タイヤ向けでは、ハブ・ベアリングやサスペンションのテスト用加振システムがある。現在、この分野では油圧式がほとんどだが、今後、電気サーボ式へ転換していくと見られている。市場は200億円規模なので、同社のシェアが20%としても、40億〜50億円規模の売上が見込まれている。
アメリカの加振器の大手メーカーも、従来は油圧式のみだったが、同社に追随して電気サーボ式に取り組み始めた。
また、市場開発の期待が大きいのは、建物の耐震試験向けだ。加振システムに住宅などの建物を乗せて揺らし、耐震性を計測するシステム。最大で震度6と同等の加振ができる。すでに引き合いが来ており、年末までには製品として発売予定。大手住宅メーカー、ゼネコンなどへ提案するとともに、実験のデモンストレーションなどを行なっていく。
このほか、デジタル家電メーカー向けの輸送試験などもある。出荷輸送時の揺れが、製品に与える影響を調べるとともに、梱包コストの削減を図るための試験だ。
新製品以外のトピックスとしては、今期から、東京都多摩市の本社第3工場が稼動したことが挙げられる。同工場は、床面積1330平方b、土地面積3051平方bの規模だ。
また、今年9月には、材料試験装置メーカー・東伸工業(本社・東京)の株式取得にともない、同社と子会社の東伸高圧技研(本社・同)を国際計測器の子会社とした。
ほか、中国・韓国市場の開拓も課題だ。現在は現地企業との技術提携を行なうとともに、自社の販売網を活用し、受注に応じているが、今後は積極的に営業をかけて拡販を進めていく。
今期2008年3月期連結業績予想は、売上高115億円(前年実績比8・4%増)、経常利益30億円(同11・2%増)、純利益18億円(同11・7%増)と、増収増益を見込んでいる。
中期経営計画では、5年以内に売上高200億円を目指している。上記の加振システムや新規子会社、海外事業などの寄与も見込んでいる。