[政治・経済・調査結果]の記事一覧
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記事一覧 (11/04)財務省、地域経済の概況について「全体として持ち直しの動き」と総括
記事一覧 (11/03)五十嵐財務副大臣、「今回の介入には安住大臣の強い意思とリーダーシップが働いている」と発言
記事一覧 (10/28)日銀は追加的金融緩和策を決定、規模は5兆円
記事一覧 (10/26)日銀・白川総裁、「欧州のソブリン問題は幾分緩和している」との見通しを表明
記事一覧 (10/22)白川総裁、全国支店長会議で日本経済の現状と先行きについて「楽観的見解」を述べる
記事一覧 (10/09)長谷川・同友会代表幹事「経済成長や景気対策が不足」と野田新政権に注文
記事一覧 (10/05)西村日銀副総裁「バブル経済もリーマンショックもギリシャ危機も『人口動態の変化』が原因」と発言
記事一覧 (09/21)野田新政権初の「月例経済報告」基調判断据え置き新味なし
記事一覧 (09/16)日銀の宮尾審議委員「懸念材料は海外需要、円高、電力コスト、デフレ」と指摘
記事一覧 (09/15)税制改革に向けて、早くも政府(財務省)と党の「つばぜり合い」が始まった
記事一覧 (09/08)小宮山厚労大臣が「たばこ1箱700円」に続き財務省から財源を『もぎ取る』と大胆発言
記事一覧 (09/08)「素人」を自認する安住財務大臣の「財政方針」はやはり「お子様ランチ風」
記事一覧 (08/24)与謝野経済財政相「GDPマイナスは一時的、年末にかけて景気は上昇する」と『最後』の大臣発言
記事一覧 (08/09)日銀・白川総裁、国会で経済説明!「異常円高、大幅株安」への対応は大丈夫か?
記事一覧 (08/03)同友会・長谷川代表幹事「ドル高、電力不足」からの打開策を語る
記事一覧 (07/24)日銀の山口副総裁『空洞化懸念にとらわれず、思い切って国を開くべき』と発言
記事一覧 (07/09)経済同友会、長谷川代表幹事、エネルギー政策で第三の道「縮・原発派」を提唱
記事一覧 (07/02)経団連・米倉会長、「このままでは日本の底力が失われる」と強い危機感を表明
記事一覧 (06/30)白川日銀総裁、「サプライ・チェーン寸断の影響について」海外で講演
記事一覧 (06/18)長谷川・経済同友会代表幹事、「原発の再稼動」を強く主張
2011年11月04日

財務省、地域経済の概況について「全体として持ち直しの動き」と総括

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 財務省は10月31日、全国財務局長会議を開き、7月から9月における地域経済の概況について、全国11の財務局に報告を求めたが、その概要は次の通り。

1.東海については「持ち直している」に、東北、福岡については「東日本大震災の影響により厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる」等に、北海道、関東、近畿、中国、沖縄については「厳しい状況にあるものの、緩やかな持ち直しの動きがみられる」等に総括判断を前回(4〜6月期)より上方修正した。

2.北陸については「厳しい状況にあるなか、緩やかに持ち直している」に、四国について「厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる」に、九州については「厳しい状況にあるなか、緩やかな持ち直しの動きが続いている」と総括判断を据え置いた。

3.このように、7−9月期の地域経済の概況については地域間にばらつきがみられることから、「厳しい状況にあるなか、地域差はみられるものの、全体として持ち直しの動きとなっている」と総括した。

4.先行きについては、複数の財務局から各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待されるとの報告がある一方、海外経済の動向や為替レートの変動などにより、景気が下振れするリスクが存在しており、これらの動向のほか、雇用情勢に留意する必要がある等の報告があった。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:33 | 政治・経済・調査結果
2011年11月03日

五十嵐財務副大臣、「今回の介入には安住大臣の強い意思とリーダーシップが働いている」と発言

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 10兆円に及ぶとも言われる「為替介入」を行った財務省、日銀だが、昨日、五十嵐財務副大臣は記者会見で、介入の目的、効果などについての記者との一問一答は次の通り。

(問) 今日午前、市場介入に踏み切ったタイミングの受け止めと、円相場、直近78円前後で推移していますが。

(答) 基本的に為替については財務大臣の専権事項でございますので、一般論的な見方しかご披露することは出来ないということをまず言わせていただきたいと思いますが、基本的にこのところ、投機的な一方づいた動きが見られたと。そして、その上に更に海外市場の、しかも取引薄の時間帯をねらった投機的な目に余る動き、過度の投機的な動きが見られたということで、大臣として決断をされたものだと受け止めております。それから、水準については申し上げることは出来ません。水準を狙って介入したものではないと思っております。

(問) 午前中、一時4円以上円安に振れたものの、現在は若干また円高に戻しているような形になっています。市場の方からは、介入の効果というのは限定的だとの見方も出てはいますが。

(答) まだ即断は出来ないだろうと思います。介入が止んでいる状態ではないのではないでしょうか。総理も今日の本会議答弁で「始まった」という表現をされておりますので、まだ現時点で評価を下すという段階ではないと思っております。

(問) 今日の介入に対して主要国から批判が出る可能性もあると思うのですが、そのことについてどのように見ていらっしゃるかという点と、仮にそういう批判が出た場合でも、「納得するまで」と大臣は仰っているのですが、介入を継続していくというスタンスなんでしょうか。

(答) 事務的には主要国の当局と連絡を取り合っていると承知をいたしておりますが、政治的にどういうお話をされているかは、私は承知をいたしておりません。言えることは、過度の投機的な動きに対しては権利を留保するということを日本としては言い続けていて、そして、安住大臣がリーダーシップを持って、かなり強い意思を持って決断をされているということは確かだと思います。それ以上のことは大臣にお聞きいただきたいと思います。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 20:14 | 政治・経済・調査結果
2011年10月28日

日銀は追加的金融緩和策を決定、規模は5兆円

■安住財務大臣は「肉食系国家になれ」と

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀は今日開いた金融政策決定会合で、追加的な金融緩和策を決めた。EUは債務危機に対する包括戦略で一応の合意を見たが、欧米経済の減速や急速な円高で日本経済の下振れリスクが高まっていると判断。国債や社債などを買い入れる基金の規模を5兆円積み増して55兆円とすることを賛成多数(賛成8、反対1)で決めた。

 一方、安住淳財務相は本日朝、円売り介入を辞さない姿勢を改めて強調し、「日銀と一体となり局面打開に向けて結束していきたい」「行き過ぎた動きには断固たる措置をとる」とも述べ、、その上で「東京市場が開いてから今日一日どうなるか注視する」と記者団に語った。また安住大臣は、その後開かれた参院財政金融委員会で、次のように答弁した。

 1.「欧州銀行の信用収縮の比率を見れば危機感がある。アジアから資金を引き揚げれば、アジアの実体経済に大きな影響を及ぼし世界の危機になる」

 2.「(国内企業が)海外に出て行って、しっかりと足場をつくり、海外の富を国内に還元する時期だ。(国内企業による海外の)企業買収はあってもいい」

 3.「肉食系の国家になるのは国のためには絶対に必要だ」

 4.「民間の外貨買いの誘発も考えている。そういう意味では効果がある」

 これらは、「円高の活用が国益につながる」との認識を示したものであろうが、"肉食系の国家"という表現は果たして適当であろうか。この大臣、"財務省の傀儡"と言われることが多く、それを意識しての"自前のことば"に拘っているのだろうが、あまりにも"軽すぎる"という印象である。

 ところで、25日に定例の記者会見で「円高問題」に言及しているので、補足しておきたい。

 Q 為替は昨晩も海外市場で1ドル75円台を一時つけるような動きがあり、円前後を推移しているが、現状をどう認識しているか。

 A あまり急激に短期的に上がるというのは、決して実体経済を反映した動きではなくて、それは投機的な動きであろうと判断せざるを得ない。行き過ぎれば私としては断固たる措置をとらせていただくということになる。この間、欧州を含めて相対的な問題としてどうしても円に資金が駆け込んでくるという状況が続いているので、相対的な問題として例えば欧州でも26日に1つヤマ場を迎えるから、そこでしっかりとしたスキームを作ってもらう。通貨の安定というのは一国で出来るものではなく、特にヨーロッパの問題というのは大詰めを迎えていて、いかに世界の中で安心感を持ってもらうような仕組みにするかということが今問われているから、それもしっかりやってもらう。一方で、そうは言っても投機的な動きでとにかくどんどん円を買うというのは、日本の経済の実体を反映していないということになので、これについては市場の中で更にそうした動きが強まれば、私としては事務方にあらゆる対応が出来るようにということで指示はしている。

 この答弁は、現状をサラッと解説、追認しただけで、急激な変化にただ手をこまねいて見ているという以上のものを窺うことが出来ない。大臣たるもの当然のことながら、財務官僚のペーパー以上の見解と言葉を持つべきであろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:50 | 政治・経済・調査結果
2011年10月26日

日銀・白川総裁、「欧州のソブリン問題は幾分緩和している」との見通しを表明

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀の白川方明総裁は日、全国信用組合大会「最近の金融経済情勢」と題して次のような講演を行った。財務省、金融庁からの情報、メッセージがまったくといいていいほど届かない今日、日銀の見解表明は、現在唯一のオフィシャル経済・金融情報として貴重だ。

1.わが国の経済は、持ち直しの動きが続いている。生産や輸出は、震災による落ち込みからの回復過程に比べてペースは緩やかになっているが、増加を続けている。

2.景気の先行きについては、夏場までの日本経済は、震災により生じた供給制約が、いかに早く解消されるかという点にかかっていた。しかし、そうした供給制約は概ね解消したので、今後は需要動向が最も重要なポイントになる。

3.海外経済は先進国を中心にこのところ減速傾向にあり、当面その傾向が続くとみられる。しかし、やや長い目でみれば、内需が旺盛な新興国・資源国を中心に、海外経済は高めの成長を維持できると考えている。加えて、国内需要についても、被災地でのストック復元の動きが、公共インフラの整備、企業の設備投資、消費財の買い替えなど、様々な面で次第に顕現化してくると予想される。以上を踏まえますと、日本経済は、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。

4.ただし、こうした見通しには、様々なリスクがあることは十分認識している。とくに重要なのは、海外経済を巡る不確実性だ。また、そうした不確実性の増大を反映して、金融・資本市場では、グローバルな投資家のリスク回避姿勢が強まっている。その結果、世界的に株価が低迷しているほか、米欧では信用スプレッドが拡大している一方、米国やドイツの国債、円やスイスフランなど、安全とみなされる資産・通貨には、資金が集まりやすくなっている。

5.このように、世界経済が全体として減速し、しかも円高圧力が強まりやすいもとでは、日本経済の先行きについて、下振れリスクを意識する必要がある。日本銀行は、先行きそうした展開になる可能性があることも意識して、8月の金融政策決定会合において、金融緩和を一段と強化し、現在、そのもとで、金融資産の買入れ等を着実に進めている。

6.今後、世界経済の下振れリスクを回避するうえで、欧州ソブリン問題の動向が当面の焦点となる。欧州の当事者によりこの問題への対応が進められていることもあって、足もと市場における緊張が幾分和らいでいるように見受けられる。

7.しかし、市場の信認を得るためには、財政の立て直しや金融システムの安定化に向けて、さらなる取り組みを着実に実行していくことが不可欠だ。この点については、日本銀行としても、G7やG20の場において、日本の金融危機の経験も踏まえつつ、繰り返し主張している。

8.日本経済自身の課題としては、中長期的な成長力の強化が、引き続き重要となる。日本経済は、震災以前から、急速な高齢化や労働生産性の伸び悩みなどを背景に、経済成長率の趨勢的な低下という問題に直面してきた。さらに、震災後は、復旧・復興の着実な推進や、電力の安定供給の確保など、新たな課題も加わっている。しかも、わが国の政府債務残高は、国際的にみても高い水準となっているので、財政への信認をしっかり維持することも重要な課題となる。

9.日本銀行でも、中長期的な成長力の強化に、中央銀行の立場から貢献するという観点から、昨年6月に、成長基盤強化のための資金供給オペレーションを導入した。本年6月には、新たな貸付枠を設けて、金融機関によるABLなどの取り組みを支援している。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:37 | 政治・経済・調査結果
2011年10月22日

白川総裁、全国支店長会議で日本経済の現状と先行きについて「楽観的見解」を述べる

【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀の白川芳明総裁は今日開かれた「全国支店長会議」で挨拶し、現下の経済情勢と今後の見通しについて語ったが、それは「生産も輸出も増加を続けている」「設備投資は緩やかに増加している」「個人消費も持ち直している」という、楽観的なもの。先行きについても、「緩やかな回復経路」に復していくと見ている。その概要は以下の通り。

 (1)わが国の経済は、持ち直しの動きが続いている。すなわち、生産や輸出は、震災による落ち込みからの回復過程に比べてペースは緩やかになっているが、増加を続けている。こうしたもとで、設備投資は緩やかに増加しているほか、個人消費についても、全体としては持ち直している。

 (2)先行きについては、海外経済は、当面減速するものの、基調的には、新興国を中心に底堅く推移すると考えられる。そうしたもとで輸出が緩やかな増加基調をたどることや、資本ストックの復元に向けた国内需要が顕現化してくることなどから、わが国経済は、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。

 (3)物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっており、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。

 (4)景気のリスク要因をみると、欧州のソブリン問題の帰趨や、バランスシート調整が米国経済に与える影響について、引き続き注意が必要である。また、新興国・資源国では、物価安定と成長を両立することができるかどうか、なお不透明感が高い。こうした海外情勢を巡る不確実性や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響については、引き続き、丹念に点検していく必要がある。

  物価面では、国際商品市況の先行きについては、上下双方向に不確実性が大きい。また、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。

 (5)わが国の金融市場は、全体として安定している。金融環境をみると、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさがなお窺われるものの、緩和の動きが続いている。

  この間、わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。国際的な金融資本市場は神経質な展開が続いているが、わが国金融機関の資金調達に大きな影響は生じていない。もっとも、内外の金融資本市場の連関が強まるもとで、金融機関の有価証券運用にかかるリスクをはじめ、わが国金融システムを取り巻くリスク要因には、今後とも十分な注意が必要である。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:16 | 政治・経済・調査結果
2011年10月09日

長谷川・同友会代表幹事「経済成長や景気対策が不足」と野田新政権に注文

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 長谷川閑史経済同友会代表幹事は9月30日の定例記者会見で、「最近感じていること」について、次のようにコメントした。長谷川氏は「ものを言う財界人」として就任以来活発に発言し、その影響力は日増しに増すことから、いまや、日本経団連会長の通称だった「財界総理」の名を奪いそうである。

 (1) 東京地裁において、小沢元民主党代表の三人の秘書全員に有罪判決が下った。控訴・上告の制度があり、現時点で刑が確定したわけではないので、司法制度の下では当然のことながら推定無罪であるが、本質的な問題は政治資金規正法がザル法であるところにあると認識している。1994年に政党助成法ができて政党助成金が法制化された際、約束ではいずれ企業・団体献金を廃止するはずであったが、話題にも上らず放置されている。(政治資金の)扱いについても、その後度々問題が起き、領収書添付など透明化を図る動きはあったものの、結果としては(政治資金規正法が)ザル法であることが問題の本質だと考えている。

 (2) 一票の格差是正の問題について、一部の与党幹部の間で若干話題に上っているのは一歩前進である。一方で、野党・自民党は、第3次補正予算が成立すれば解散総選挙を求めると発言している。野党が解散を主張することは、戦略上理解できなくもないが、(3月23日に最高裁で「違憲状態」との判決が出た中で、)一票の格差是正なくして解散総選挙になだれ込むことは、三権分立というこの国のガバナンスをないがしろにするものである。最高裁の司法判断からすでに半年が経っていることもあり、一票の格差是正を選挙区割りの改定という形で実施した上で、次の選挙に臨んでもらいたい。.

 (3) 野田首相が(所信表明演説で)述べたポイントのひとつは、「成長と財政再建は車の両輪である」という点である。国会での質問が集中していることもあるが、復興債の財源や社会保障と税の一体改革の関連で増税の問題ばかりが取り上げられ、一部円高に関する議論を除いて経済成長や景気対策についての本格的な議論が出ていないことは、極めて問題だと感じている。第3次補正予算が通れば復興投資につながり、経済成長へのスプリング・ボードとして有効に働けば望ましいが、成長戦略をきちんと実行していくためには、改めて新成長戦略を見直すべきである。年内に見直すと約束されていたが、この動きが乏しいことを懸念している。

 (4) 経団連と民主党幹部がTPPの議論をされたとの報道があり、11月のAPECで交渉参加の意思表明をして欲しいというのが経済界の要望である。一方で、TPPは完成度が高く、日本を含めると10ヶ国ということで、(参加が決まれば)一挙に貿易協定が進展する意味では望ましいが、米国の政治状況などを考えると、TPPだけにかけるのはリスクがある。何事もバックアップ・コンティンジェンシー(不測の事態への備え)を持っておくべきで、すでに予備交渉などで合意の可能性が見えているオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、EUなどとの二国間での経済連携協定を進展させるべきである。日本のTPPへの交渉参加が決まり、帰趨がはっきりするまでは、すべての経済連携協定の中から優先順位を付けつつ、同時並行的に真剣な対話を続けることが必要である。

 長谷川代表幹事のコメントは、何時聞いてもなかなか明確、適格である。いいスタッフに恵まれていることもあると思うが、本人自身の政治、社会、経済に対する見方、考え方がしっかりとしているからだろう。経済界の代表という限界的立場はあるものの、その指し示す視点と方向性は日本全体にとっても有効だと思われる。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:03 | 政治・経済・調査結果
2011年10月05日

西村日銀副総裁「バブル経済もリーマンショックもギリシャ危機も『人口動態の変化』が原因」と発言

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀の西村清彦副総裁は、アジア開発銀行研究所・金融庁共催の会議で「アジアの視点を踏まえた、マクロプルーデンス(信用秩序維持策)政策の枠組み」と題して講演したが、その中で、経済、金融極めて興味深い問題点を指摘した。

 それは、3年前のリーマンショックも、20年前の日本におけるバブル経済の崩壊も、そして現在、ヨーロッパが直面しているソブリンリスクにも、その発生には「一つの共通点」があるというのだ。その共通点とは「人口問題」だという。つまり、金融危機の背景にある「人口要因」というファンダメンタルズがあるという。講演内容は次の通り。

 (1)金融危機発生の要因として、別のファクターの重要性を強調しておきたい。それは「人口高齢化」という人口動態の変化だ。です。日本、米国、欧州において、バブルの生成と崩壊、およびその後の金融危機は、概ね人口ピラミッドの転換点に一致しているようにみえる。

 (2)「何人の生産年齢人口で非生産年齢人口一人を支えているのか」という「生産年齢人口・非生産年齢人口比率」をみてみると、日本の生産年齢人口・非生産年齢人口比率は1990年頃にピークに達したが、その翌年の91年が、まさにバブル景気のピークだった。

 (3)米国の生産年齢人口・非生産年齢人口比率は2005年から2010年の間にピークを迎えたが、米国の「サブプライム・バブル」は2007年がピーク。現在、ユーロ圏で経済的に苦境にある国々も、日本や米国と同様のパターンを辿っている。

 (4)すなわち、アイルランドとスペインの生産年齢人口・非生産年齢人口比率は時間的に類似した経過を辿っており、ともに2005年頃にピークを付けたが、これは、それぞれの国における資産バブルのピークに対応している。ギリシャ・ポルトガルの生産年齢人口・非生産年齢人口比率のピークは2000年頃で、ここでの重要なポイントは、近年の金融危機はいずれも、人口動態の転換点近辺で起こっているということだ。

 (5)「ライフサイクル仮説」−より厳密に言えば「世代重複モデル」は、人口動態の変化が資産価格の重要な変動要因の一つであることを示唆している。すなわち、資産とは、若者にとっての将来に備えた貯蓄手段であり、高齢者にとってはそれを取り崩して消費に充てる手段だ。したがって、若者と高齢者の比率は、これらの資産への需要と供給を決定する要因となる。

 (6)最近の危機の歴史も、このような捉え方と整合的であるようにみえる。1955年以降の日本の実質地価(全国・全用途平均)を、生産年齢人口・非生産年齢人口比率と並べて見ると、若年層の相対的な多さは、地価の急上昇に一致しており、逆に、高齢層の相対的な多さは、地価下落につながっているようにみえる。同様に米国でも、生産年齢人口・非生産年齢人口比率の上昇は、資産価格バブルと一致している。また、2007年のバブル崩壊以降、資産価格は生産年齢人口・非生産年齢人口比率の長期的な動きを追いかけているように見える。同様のパターンは、アイルランドやスペインでも同様に窺われる。

 「大胆な問題指摘」ではあるし、言われてみれば、確かにその通りであるように思われる。だが、西村総裁は次のように「断わり」を入れることも忘れない。

 (1)この人口要因が、資産価格バブルの原因であり、それが危機につながったと言っているわけではない。資産価格バブルではなく、公共部門の「バブル」があったギリシャやポルトガルの例も示す通り、危機の原因は他にも存在する可能性があることは言うまでもない。また、同様の人口動態の変化を経験しながら、それが金融危機にはつながっていない国々も存在する。

 (2)私の趣旨は、多くの国において、(生産年齢人口・非生産年齢人口比率の増加といった)好都合な人口要因が過剰な楽観主義に結び付き、経済主体がリターンの増加を企図して様々な形で「レバレッジ」を増加する一因となった可能性を指摘することにある。

 (3)別の言い方をすれば、資産バブルは、人口動態の変化という長期の「波」の上で踊られた「ダンス」と言えるかもしれない。同様に、生産年齢人口・非生産年齢人口比率の急激な低下は、金融面での過剰な蓄積の解消を困難にし、金融危機後のバランスシート調整を、長期かつ厳しいものとする方向に働いているように思われる。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:20 | 政治・経済・調査結果
2011年09月21日

野田新政権初の「月例経済報告」基調判断据え置き新味なし

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 野田政権初の「月例経済報告」が20日発表された。いつもながら「出し遅れの証文」「藪医者の診断書」である。生きた産業・経済を真剣に分析・調査しているという風にはとても思えないが、まずは「基調判断」から見てみよう。

「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直している」

 8月度と一言一句同じである。この部分は経済の「方向性」を見る上で重要な記述であるが、『変えない』というのも、ひとつの認識であり判断だが、わずかだが重要な『変化』を見落としていないかとの疑念も沸く。個別テーマについては次の通り。ゴチックが新表現、カッコ内は8月度の記述である。

・生産は、サプライチェーンの立て直しにより、持ち直している。
輸出は、持ち直しの動きがみられる。
・企業収益は、減少している(増勢が鈍化している)。設備投資は、下げ止まりつつある。
・企業の業況判断は、東日本大震災の影響による厳しさが残るな
ど、慎重さがみられる。
・雇用情勢は、東日本大震災の影響により、このところ持ち直しの
動きに足踏みがみられ、依然として厳しい。
・個人消費は、持ち直しの動きがみられる。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

 先行きについては、サプライチェーンの立て直しや各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、電力供給の制約や原子力災害の影響に加え、回復力の弱まっている海外景気が下振れた場合や為替レート・株価の変動等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

 そして以下の「政策の基本的態度」は全面的に書き直され、第3次補正予算の効果を謳いあげている。

 政府は、震災からの復興に全力で取り組むとともに、急速な円高の進行等による景気下振れリスクや産業空洞化のリスクに対応し、また、円高メリットを最大限活用するため、円高への総合的対応策の取りまとめ及び平成23年度第3次補正予算の編成を早急に行う。

 海外の金融政策や金融情勢が国際的な金融資本市場に及ぼす影響を注視しつつ、日本銀行に対しては、政府との緊密な情報交換・連携の下、適切かつ果断な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待する
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:50 | 政治・経済・調査結果
2011年09月16日

日銀の宮尾審議委員「懸念材料は海外需要、円高、電力コスト、デフレ」と指摘

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 政治と行政の空白・停滞から、財務省、経産省そして金融庁等経済官庁から、有効な情報が発信されない現在、日銀の出す「経済観測」や総裁や審議委員のスピーチは『落ち着いた』データとして参考になる。9月14日も宮尾龍蔵(前神戸大学教授)審議委員が函館市で「わが国の経済、物価情勢と金融政策」と題して経済講演をしたが、その内容は次の通りである。

<経済の概況>

 わが国の経済情勢は、震災による供給面の制約がほぼ解消する中で、着実に持ち直してきており、特に生産と輸出は、足もと増加基調にある。需要面をみても設備投資や住宅投資、公共投資は、資本ストックの復元に向けて、増加していく方向にある。個人消費も、家計のマインドが改善してくるにつれて持ち直しの傾向がみられ、今後も、供給面の制約が解消されたもとで、生産活動が増加するにつれて、わが国経済も回復していくとみられる。ただ、いくつか不安要素もある。それは、海外景気の減速や為替円高の定着、電力コストの上昇、デフレ予想の長期化懸念などだ。

<わが国経済の現状>

 1.わが国経済は、震災の影響で成長が大きく低下した後の回復途上にある。第二四半期の実質GDP前期比伸び率(年率換算)は▲2.1%で3四半期連続のマイナス成長(2010年4Q▲2.5%→2011年1Q▲3.6%→2Q▲2.1%)を記録した。

 2.震災後はサプライチェーン障害や原発問題などを背景に、企業の生産活動が落ち込み、消費マインドも冷え込んだほか、雇用・所得環境も悪化するなどの状況が生じた。しかし、現在、経済は足もと生産面を中心に速いペースで回復している。

 3.生産・輸出は震災前の水準にほぼ戻り、個人消費も地デジ対応や節電需要にも助けられ、徐々に回復している。設備投資も持ち直しており、家計・企業のマインドも総じて改善している。

 4.第三四半期(7−9月期)の実質GDP前期比伸び率は、民間調査では、プラスに転化する可能性が高い。生産は自動車を中心にフル生産を継続しており、復興需要も徐々に増加していくとみられる。先行きは、供給制約が解消したのち、生産・輸出面を起点とした緩やかな回復が続いていくとみている。

<懸念材料>

 1.欧米先進国の景気回復が鈍化する中で、海外需要が当初想定していたよりも減少する可能性があり、それが景気回復を下振れさせるおそれがある。

 2.円高の定着。米国債格下げや米ゼロ金利の2013年半ばまでの条件付き維持、欧州債務問題の再燃などを受け、ドル安・ユーロ安が長引き円高が定着すると、国内産業空洞化が強まる。

 3.電力コストの上昇。本年夏場は、企業の工夫・負担や個人の節電努力などにより、生産水準などには特段の影響が出なかった。しかし、長期的にみて原子力から代替エネルギーへシフトしていく可能性が高い中にあって、代替エネルギーの輸入など電力コストが上昇していけば、企業収益を持続的に圧迫し、場合によっては海外シフトしていく可能性も否定出来ない。

 4.デフレ予想の長期化。本年8月、CPIが2010年基準へ改定された。その結果、旧基準(2005年基準)に比べ月々のCPI(除く生鮮食品)前年比の下方改定幅が▲0.5%〜▲0.8%ポイントとなり、新基準では、4月▲0.2%→5月▲0.1%→6月▲0.2%→7月+0.1%となった。基準改定により、CPI(除く生鮮食品)前年比がそれまでの+0.6%辺りから0%近傍まで下落するとみており、予想の範囲内であったが、物価安定の実現までは、なお時間がかかることが確認された。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:48 | 政治・経済・調査結果
2011年09月15日

税制改革に向けて、早くも政府(財務省)と党の「つばぜり合い」が始まった

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 国会は昨日の野田新首相の「所信表明演説」に続いて、今日から各党の代表質問が始まったが、会期はたった4日間。与党の国対委員長が言うように「不完全内閣」のためか、国会論戦にとても耐えないと見たのだろうか。

 事実、新しい政府与党体制は、菅内閣と違って「党高政低」(党主導体制確立)の様相が伺える。輿石幹事長の布陣もさることながら、前原前外務大臣を政調会長に据え、政策決定権限を有する「大政務調査会」を作ったことにもそれは現れており、党内融和、挙党一致体制を叫ぶ野田民主党新体制は、奇しくも、与党対内閣の対立というか緊張関係を招いたようである。

 勿論、野田新内閣は財務省の全面バックアップで成立する政権だが、その財務省は図らずも与党との「調整」に神経を使わざるを得なくなったようで、そして早くも、税制面で緊張する局面を迎えそうである。安住財務相は13日の記者会見で、政府税調と党税調との関係を質問された。

 【記者】 民主党の税制調査会が復活して本格的に始動するが、これと政府税調との関係、大臣は政府税調の会長という立場だが、税制の決定のプロセスについてどう考えるか。

 【大臣】 まず私共政府税調の作業部会で大体のことを決め、それから税調会総会で方向を決める。それを与党の方に渡して調整をしてもらう。最終的には党の政調会長と私のところで話をして政府・与党案をまとめ、その上で野党側と話をしていく。そういうプロセスが自然だと思う。それがルール化出来れば、これから年末に向けての税制大綱全体についてもそういう流れで話をしたい。

 安住大臣はつい少し前までは、国対委員長という党側の大幹部だった。重要閣僚になれば、勿論、政府の立場でモノを言うのは当然だが、あまりにも財務省官僚の「振り付け」が効いていて、可笑しさが込み上げてくる。

 もっとも、重要政策については、これから首相、幹事長、政調会長、官房長官等6人の政府与党のトップが逐次協議して決定するということだから、これは明らかに「集団指導体制」への移行だといえる。わずか20〜30人のグループのリーダーが、党の代表そして首相にまで駆け上がったのだから、強い指導力を期待するのは無理というものかもしれない。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:32 | 政治・経済・調査結果
2011年09月08日

小宮山厚労大臣が「たばこ1箱700円」に続き財務省から財源を『もぎ取る』と大胆発言

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 ”素人内閣”の代表格ともいえる小宮山厚生労働大臣、この人、全共闘時代の東大学長として有名な故・加藤一郎氏の長女で、NHKのアナウンサー出身。いつもニコニコしていて人当たりがよさそうだが、なかなか芯が強いというか、押しの強いところもあって、同僚議員からも煙たがられていることでも有名。秘書たちに”私を絶対に先生と呼ばないで”ときつく申し付け、”言ったら罰金よ”とも念を押し、違反者から実際に罰金を取ったとか。周囲では”意識しすぎだ。自然体でいけばいいのに”との声も聞こえてくる。就任早々、”タバコ700円”をブチ上げ、物議を醸したが、その発言が飛び出した9月5日の記者会見から、その増税発言部分の模様を詳しく見てみよう。

 【記者】たばこ増税について、復興財源に充てるという話もあるのですが。

 【大臣】昨年、税調担当の副大臣として、たばこ価格の議論をしました。その中で申し上げたのが、毎年一定の金額を上げていくと。必ずたばこ価格を上げ続けるということが、今吸ってる方の8〜9割が本当は禁煙したいと言っている。その背中を押すような値上げをしてくれという声も実は大変多い。だから、1回きりだと思うと、500円玉1個で買えちゃうものですから、去年私が提言したのが100円ずつ毎年上げていきましょうと。

 例えばイギリスは毎年3%ずつ上げている。今は世界の中でも高い価格になっていますが、日本はご承知のように非常に価格が低くて、世界の平均は600円台です。この政権になって、全体として5%上げました。それまでは1%しか上げたことが無かったのを上げたので、昨年は財務省の方からあれだけ大幅に上げたので税収が減るから様子を見させて欲しいと言われたが、元々税収を上げるためじゃなくて健康を守るためにやるんでしょという話をずっとしています。

 たばこ規制枠組み条約にも批准しているし、日本は国際条約に批准しながらそれを守らないという、世界で不思議な国になっている。私もここの責任者になりましたし、出来ればたばこ事業法で財源として財務省が持っているのが本当はおかしいわけなので、健康の法律として厚労省が持てるようになっていけばいいと、これは、厚労省というより禁煙の超党派の議連の最終目標がそういうことです。民主党政権もたばこ事業法見直しということは、マニフェストの中にも、政策集の中にも入れているので、その方向で関係者としっかり協議していきたいと思っています。

 【記者】では、来年上げようということですか。

 【大臣】そうですね。色々なデータからすると700円台くらいまでは実は税収も減らないんです。ですから、少なくともそこまではたどり着きたいと思っています。

 タバコ1箱700円も驚いたが、さらに「たばこ事業法」を見直し、財源を財務省から引き剥がすとは、大胆な発言だ。当の財務省が黙って見ているとはとても思えないが。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:30 | 政治・経済・調査結果

「素人」を自認する安住財務大臣の「財政方針」はやはり「お子様ランチ風」

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 民主党・3人目の党代表による野田内閣が発足した。一言で言えば「財務省主導内閣」「素人内閣」である。それは財務相と経済財政担当・国家戦略相を見れば明らかである。財務大臣に就任した安住淳氏は自ら、”素人”と公言し、自分は”政局派”だと嘯いた。古川元久経済財政・国家戦略相は財務省出身で、財務大臣が”希望”だったが、年次では”課長クラス”のため、財務相から忌避された模様だ。いずれにしても、財務相の全面バックアップで誕生した野田内閣であることは、今後の経済財政運営、政策で明らかになると思われるので、しっかり検証していかなければならない。さて、その財務省の新大臣になった元NHK記者の安住氏だが、初の記者会見で次のように、記者の質問に答えた。舌は滑らかだが、内容が限りなく薄い。霞ヶ関では、早くも”財務省食堂に出現したお子様ランチ”なる、失礼な流言飛語。少し長くなるがその模様を紹介しておきたい。

 【問】 第3次補正の編成、財源確保、それから円高対策、税と社会保障の一体改革にそれぞれどう取り組むのか。

 【答】 第3次補正の編成は、被災地の皆さんもこの予算を待ち望んでおられるので、是非一日も早く国会に出して成案を得るよう努力をしたい。財源については、まず財務省で努力をして財源の捻出をすると。円高の問題というのは我が国だけの問題ではなく、財政的に非常にアメリカも欧州も厳しい局面の中にあって、複合的な問題があると思う。一方、円高に対する懸念は産業界、また地方に行っても広がっているので、何とか空洞化等の問題が起きないよう、秋の臨時国会に向けて、必要であれば法改正を含めて対応していきたい。

 【問】 財源確保について、捻出出来ない部分については、増税ということになると党内にも慎重な意見があるようだが。

 【答】 これはまず増税ありきではないが、ツケをただ回してというわけにはいかない。被災地の議員として心苦しいお願いではあるが、政治が信頼をされて、こういう使い方をするということを具体的に出していけば、必ず理解をいただけるものだと思う。

 【問】 経済財政政策の要職にこれまで就いたことがないという指摘もあるが。

 【答】 ご存じのとおり、私の得意分野というのは、自虐的に言えば国会対策と安全保障だったわけで、あと放送行政。しかし、今の置かれているこの財政難の状況や厳しい日本の経済状況というのは、常識的な対応をしっかりやっていくということだと思う。出す時は出す、締める時は締める。メリハリの効かせ方をしっかりして財政運営をやっていきたい。総理からはとにかく突破力がないとこの状況を打開出来ないので、国対でやったように、丁寧に粘り強く、したたかに、その国対で法案を通す時努力したその姿勢で、財務大臣をやってほしいということでしたので、私としては、それならばと思っている。また、特例公債の件では、財務省の関係の方々とは付き合いは出来てきたので、そういう点では全く知らないところに来たという感じはなくて、人間的な関係で言えばよく知っている方々がいるから、そういう方々とよく協議をしながら、もちろん知恵もいただいて、色々教えていただきながらやっていきたいと思っています。

 【問】 成長戦略については。

 【答】 いかに雇用を確保して、そして企業の生産性を高めていくか。経営者からはグローバルな時代の中で日本に立地をして、それで利があるというふうに判断してもらえるような国にしていかなければ競争に勝てないと思う。日本列島は東京を中心に富士山みたいになっていまして、名古屋や大阪のような経済圏があればいいですが、ほかの地域に行けば富士山と一緒で、なかなか雇用の力というか、雇う力、産業の力というのが見比べると残念ながら無いわけで、公共投資に頼らざるを得ない部分というのは日本の経済構造の中にはある。出来るだけ規制緩和や税制改正も行って、法人税率の引下げとか、インセンティブをしっかり与えていく政策を出していければいいなと思っています。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:31 | 政治・経済・調査結果
2011年08月24日

与謝野経済財政相「GDPマイナスは一時的、年末にかけて景気は上昇する」と『最後』の大臣発言

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 今年1月の内閣改造で、菅首相から”一本釣り”で経済財政政策を任された与謝野馨氏。景気拡大と財政基盤建て直しのために、「税と社会保障の一体改革」を進めてきたが、菅内閣の実行力不足と、東日本大震災発生で、十分力を発揮できないまま、今週、政権中枢から去らなければならなくなった。15日の記者会見では、多分最後となるであろう経済見通しをこう語った。

 1.4‐6月期のGDPでは、実質成長率が前期比0.3%、年率にすると1.3%のマイナス。名目成長率が前期比マイナス1.4%、年率マイナス5.7%。4‐6月期は震災の影響によりマイナス成長になったが、この間の月ごとの動きを見れば、供給制約は徐々に緩和し、マインドも下げ止まったと見ている。また、公共投資に復旧関連の増加も見られて、こうした動きが続いて、足元では景気は持ち直していると判断している。

 2.今後は、サプライチェーンの回復が順調に進み、復興需要が確実に増加することから、本年後半には比較的高めの成長が実現することが見込まれる。ただし、電力供給の制約やそれによるコスト上昇の影響、企業、人材の流出するリスク等、これに十分留意する必要がある。また、世界経済の不透明感の高まりや円高が我が国の景気に与える影響については、十分注意してまいりたい。

 3.なお、本日の閣議で政策推進の全体像を決定した。本全体像に基づき、震災からの復興を進めるとともに、日本経済全体の再生に向けた施策を進め、電力供給制約や産業空洞化等のリスクに適切に対処していくことが必要であると考えている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:30 | 政治・経済・調査結果
2011年08月09日

日銀・白川総裁、国会で経済説明!「異常円高、大幅株安」への対応は大丈夫か?

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 世界的なドル安、株安が吹き荒れる中、8日、G7’の財務省・中央銀行総裁会議(電話)が開かれ声明が発表されたが、市場はそっぽを向き冷たい反応しか見せてはくれなかった。それだけ、世界経済の規模が大きくなり、国家間だけでなく国境を越えた企業団体・組織間の利害対立が深刻さを増しているということだろう。そんな中、9日、日銀の白川方明総裁は、参院金融委員会で「通貨及び金融調整に関する報告書」の概要説明を行い、併せて日本経済の動向と日銀の金融政策運営について、次のように語った。G7直後だけに白川総裁の発言内容が注目された。

(1)わが国経済は震災による供給面の制約が和らぐ中で、着実に持ち直してきている。先行きについても、生産活動が回復していくにつれ、輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくとみられる。

(2)しかしながら、日銀としては、こうした見通しを巡る不確実性が高いことも認識しており、このところ、景気の下振れリスクにより留意すべき情勢になっていると判断している。

(3)海外経済をみると、米国においては、債務上限問題が一応の決着をみた後も、市場では、財政健全化を巡る懸念は払拭されておらず、景気の先行きに関する見方も慎重化している。これに加えて、欧州では周縁国のソブリン・リスク問題が、また新興国については物価安定と成長の両立という課題があるなど、海外経済には、大きな不確実性がある。

(4)こうした海外情勢や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動は、わが国の企業マインドひいては経済活動にマイナスの影響を与える可能性がある。

(5)物価面では、消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移している。今月に予定されている物価指数の基準改定に伴い、下方改定される可能性が高いと認識している。したがって、物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられる。

(6)最近の国際金融市場の緊張に対して、G7の財務大臣・中央銀行総裁は、緊密な連絡と適切な協力のもとで、金融市場の安定と流動性を確保するため行動をとる準備があることを明らかにした。

(7)金融政策運営については、包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和を推進している。このもとでは、資産買入等の基金を通じて、長めの市場金利の低下と、各種リスク・プレミアムの縮小を促している。先の金融政策決定会合では、景気の下振れリスクに対応するため、資産買入等の基金を10兆円程度増額し、50兆円程度とすることを決定した。

(8)日本経済の最大の課題である成長基盤の強化については、この目的に資する融資や投資を実施した金融機関に対し、国債等の担保を裏付けとして、きわめて低い金利で資金を供給している。6月には、この枠組みをさらに効果的なものとする観点から、金融機関による出資や動産・債権担保融資、いわゆるABLなどの取り組みに対して、新たに5000億円の貸付枠を設定することを決定した。

 白川発言は、注目された割には、当たり障りのない、いつもの優等生的な判断、説明に終始し、この緊張する世界経済の現状と、日本の置かれている状態に対する有効な処方箋にはなっていない。なぜ円の独歩高が亢進するのか。米国も欧州各国も通貨供給量を増やしているのに対し、わが国は長年それを抑えてきた。今回、円売りと金融緩和の『合わせ技』を行ったと自慢げだが、遅すぎる。日銀はインフレを恐れるあまり、肝心の経済を殺してしまっているとの批判に、どう答えるのだろうか。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 21:12 | 政治・経済・調査結果
2011年08月03日

同友会・長谷川代表幹事「ドル高、電力不足」からの打開策を語る

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 為替相場が1ドル77円台という円高水準を続け、電力不足への懸念も深刻さを増す日本経済。この厳しい環境を経済界はどう受け止めているのか。いまや経済界きっての「論客」となった経済同友会の長谷川閑史代表幹事は、先月末、記者会見で次のように発言した。

 1. 産業界では五重苦や七重苦(円高、FTA、労働規制、法人税等の税制、電力の安定供給および電力コスト、温室効果ガス25%削減)などと言われており、(日本企業にとって国際競争力上の経営環境が)タフな状況にあることは事実である。(震災被害からの)サプライチェーンの復活など少し明るい兆しが見えてきたと思っているところに、急な円高が進むことは懸念材料である。ファンダメンタルズを比較すれば日本が必ずしも良い状態であるわけではないにもかかわらず、今や国際的には自国通貨の価値を低くすることによって経済を刺激する傾向が見られ、日本が蚊帳の外で円の独歩高が進むことを懸念している。日銀はタイミングを見て必要な措置を取っていただきたい。

 2.節電問題は個々の会社によって事情は違うが、影響は大きいと言わざるを得ない。特に、震災を受けて、生産拠点の東日本から西日本へのシフトを実行、あるいは検討している企業では、関電エリアも節電となると極めて対応が難しい。今年度は如何ともしがたいだろうが、来年以降を考えた場合、当面は原発の再稼動ということになると思うが、政府から明確な解決策が早急に示されない限り、国際競争の中で生き残っていくためには海外へのシフトを考えざるを得ないという状況がますます強まってくる。企業はそういった事態も想定して相当準備をし、できるものは備蓄生産をするなどの対応をしているので、ある程度は乗り切れると思うが、このような状況が再度出てくるということは、企業にとって更なる海外シフトを考えざるを得ない要因にはなるだろう。

 3.円高進行の深刻さや電力不足による海外への生産シフトについては、それほど簡単に海外に出ることができるのか。工場を移転するにしても人員の確保にもある程度の時間がかかるし、受入国の電力供給が確保できるかという懸念もある。来年は(安全性を確保した上で原発を)再稼動してでも、今年よりは電力供給を改善することを政府として明確にしていただければ、そう簡単に海外移転ができるわけではないので、抑制のファクターになると思う。ただ、それがないままに(電力不足が)何年続くか分からないという状況が長引けば長引くほど、数年がかりでも海外にシフトしていこうという判断を促進する材料になる。日本の状況を見て、電力の安定供給はもちろんのこと、法人税も数年間は大幅に割り引くなど(他国からの)具体的勧誘があると聞いている。国際競争の環境下に晒されていることを政府はよく認識した上でお考えいただきたい。

 長谷川発言は、四方八方に目の行き届いた、的確な経済情勢分析と見通しであるといえよう。政治と行政が機能を失い、この経済の非常時になんら有効な政策手段を発揮できていない中、経済人のこの判断と知見が、「菅以後」のステージで存分に生かされることを期待したいものである。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 20:49 | 政治・経済・調査結果
2011年07月24日

日銀の山口副総裁『空洞化懸念にとらわれず、思い切って国を開くべき』と発言

■「霞ヶ関発・兜町着」直行便

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀の山口廣秀副総裁は7月20日、長野県松本市で「経済講演」を行ったが、その中で、「国を開く熱意と工夫次第で、日本は、まだまだグローバル需要を取り込んで成長していく余地がある」と延べ、挨拶では、さらに「思い切って国を開く必要性がある」とも述べた。その後の記者会見では、早速それらについて、最近の更なる「空洞化懸念」との関連で質問が飛び、副総裁は次のように答えた。

 (1)GDPに占める輸出の割合ひとつとっても、日本はそう高いわけではない。日本に来る旅行客の数をとっても決して多くない。旅行客を増やすための工夫は、様々にあり得ると思うし、輸出競争力を高める工夫もいろいろあると思う。例えば、EPAやFTAもその選択肢の中に入る。これらのことを積み重ねていく努力が、今我が国には強く求められているのではないか。

 (2)空洞化懸念に対しては、バックグラウンドに何があるのかだが、一つは昨今の円高、もう1つは震災のリスク、さらにもう1つは、電力供給懸念だろう。ただ、こうした懸念が、企業の投資行動の変化あるいは企業の雇用行動の変化といった形で現実に現れているかというと、まだそういう状況にはなっていないと思う。7月1日に発表した短観の結果をみても、設備投資については、製造業が中心ではあるが、底堅い計画を維持している。国内の設備投資を減額し、海外の設備投資を増やすという企業行動が広がってきている状況にはない。

 (3)仮に空洞化が生じた場合に日銀として出来ることは、物価の安定のもとでの持続的な成長を実現していくということだ。そのことを通じて企業が日本国内において投資をしたり雇用を増やしたりすることについて、少しでも安心感を持って行動出来るような環境を作っていくことが非常に大きい。

 (4)もう1つは情報発信。経営者は様々な情報を捉えながら経済の先行き、業界の先行きを展望して、投資行動を決めていく。その際に、日銀が経済の先行きをどのようにみているのか、あるいは日本経済の先行きをより明るいものにするためにどういう政策行動を取っているのか、これらの情報は企業経営者の投資行動ないし雇用に対するスタンスにそれなりに影響を与えるものだと認識している。

 「国内の設備投資を減額し、海外の設備投資を増やすという企業行動が広がってきている状況にはない」との、「短観」に基づいての発言は、「節電ムード」「エネルギー不安」の中で、わが国の産業構造の「空洞化」が一挙に進展するのではないかとの懸念の最中、押えておくべき経済的「情報」であろう。だが、空洞化懸念に対して日銀に出来る方策となると、相変わらず「物価安定」と「持続的成長」、そして経営者のための「情報発信」という「優等生的な答」では何とも物足らないというか迫力に欠けるといわなければならない。民主党政府が機能麻痺を起こしている現在、日銀、中央銀行はもっと行動的で、力強くあって欲しいものだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:14 | 政治・経済・調査結果
2011年07月09日

経済同友会、長谷川代表幹事、エネルギー政策で第三の道「縮・原発派」を提唱

■「霞ヶ関発・兜町着」直行便

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 エネルギー政策を巡って菅内閣の混乱、迷走が続き、先行きの見通しがまったくつかない中、日本経団連、経済同友会などの経済界からの、積極的な発言が相次いでいる。経団連の米倉会長は日増しに政府批判を強め、同友会の長谷川代表幹事は、政府の自然エネルギー政策に賛同しながらも、その実現に向けては厳しい注文を付けており、5日の記者会見でも次のように大胆な「エネルギー政策」の提言を行なった。

 1.原発に対するスタンスを大きく分けると、「原発推進派」と「脱・原発派」に分けられるが、そこにもう一つ「縮・原発派」、原発の比率を少しずつ下げていくという考え方も出されている。

 2.私は、この三つ目の路線が最も現実的ではないかと思う。これまで原発の平常稼動時には全電力(量)の約3割を供給していたが、これが減っていくとなれば何で補うかということになる。

 3.化石燃料で補うことについては制約があり、温暖化問題、CO2問題もさることながら、国の負担も考えなくてはならない。化石燃料の輸入コストは、1998年には約5兆円だったが、統計によると2008年には23兆円を超える額になっており、GDP比で1%から4.5%程度にまで増えている。このままインドや中国ほかBRICsが経済成長を続けると、化石燃料の(価格)高騰は避けられない。

 4.代替エネルギーを促進することは、当然国家として考えなければならない。その意味で、菅首相の再生エネルギーに関する大きな方向性については、私も賛同する。ただし、このような話をされる場合は、政権党として、あるいはそれを率いる首相として、中長期のエネルギー政策を打ち出し、それと併せて再生可能エネルギー法案や固定価格買取制度を出されるのが筋ではないか。

 5.菅首相は、5月25日、OECDの50周年記念式典でのスピーチで、これまでの原子力エネルギーと化石エネルギーの2本柱に、自然エネルギーと省エネルギーという2本の柱を加え、これからは4本の柱でやっていくと述べられた。2020年代の早い時期に、自然エネルギーの割合を20%を超える水準にまで高め、そのために太陽電池の発電コストを2020年には現在の3分の1に、2030年には6分の1に引き下げ、1,000万戸に太陽光パネルを付けることについても言及された。

 6.しかし、それにかかるコストと時間軸、さらには実現可能性が十分論議されないままに一人歩きをしている現状では、最終的な国民の判断、あるいは国会における審議に基づいた判断をされる時に、ミス・リーディングされる懸念がある。本当にこの法案を通されたいのであれば、併せて中長期のクリーン・エネルギー政策についてもぜひ(方向性を)出されることをお願いしたい。

 7.なお、固定価格買取制度は、70以上の国および地域で既に実施されており、わが国だけが突出して行おうというものではない。また、諸外国の実績を見ても、限定された期間であっても、再生可能エネルギーや自然エネルギーを大幅に促進、バックアップする政策として極めて有効である。実例のある諸外国でも、日本においても、インセンティブ策とともに再生可能エネルギーに対する国家の大幅なバックアップが必要となる。

 8.現状、日本では水力を除く風力や太陽光などによる発電量は約1%と言われているが、それを20%にまで上げようとすれば大変な努力が必要になる。実際に、ドイツやスペインでは既に(全電力に占める再生可能エネルギーの割合・パーセンテージが)2桁、ドイツでは16.8%、スペインでは28.8%(ともに2010年時点)にまで到達しているようなので、不可能ではないと思うし、この機会に(国家としてインセンティブ策などのバックアップを)お願いしておきたい。

 積極的な発言である。個人的な見解と断りながらも、相当に準備した内容の一端と見ていい。それだけ、経済界、産業界にとっては今後のエネルギー政策の帰趨を死活問題と捉えているといっていい。特に固定価格買取制度について、経団連の米倉会長がネガティブなスタンスを示している中、踏み込んだ発言であった。長谷川代表幹事は、さらに質疑応答の中で、

 「固定価格買取制を実施すれば、サーチャージという形で電力価格が上がることになるが、これ(固定価格買取制度)をやらなければ(電力)価格が上がらずに済むのかといえばそうではなく、おそらく化石燃料価格が上昇してくる。シェール・ガス(など他の資源)の状況、あるいは福島第一原発事故を踏まえた国民感情を考え、長い目で見た場合には、現時点で自然エネルギーを国家政策に位置付けていくことは意義があるものと考える」

 とまで述べている。政治が壊れ、機能不全に陥っている中にあって、その分経済界からの発言が重みを示しているといえよう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:29 | 政治・経済・調査結果
2011年07月02日

経団連・米倉会長、「このままでは日本の底力が失われる」と強い危機感を表明

■「霞ヶ関発・兜町着」直行便

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 経団連の米倉弘昌会長は27日、読売国際経済懇話会で「日本経済の再生に向けて」というタイトルで講演した。その内容は震災復興からエネルギー、社会保障、TTP、農林水産業まで多岐に亘ったが、注目されたのは、現在日本経済が抱えるリスク要因について、冒頭において極めて率直かつ明確に述べていたことである。まず、大震災の経済に及ぼした影響についてはこう語る。

・震災発生以前、日本経済は、緩やかながら回復過程に入っていたが、大地震と津波、それに伴う電力供給の制約等によって、日本企業を取り巻く環境は一変した。

・サプライチェーンの寸断は、被災地だけでなく、地震の影響を受けていない地域においても原材料不足により製品を生産できない状況を招き、輸出も滞ることとなった。

・原発事故に関する風評被害の影響は、国内の消費マインドの悪化に加え、海外においても日本製品を敬遠する動きに繋がった。

・こうしたことから、企業収益の大幅な悪化も影響し、2011年度通期の経済成長率はゼロ%近くにまで落ち込むとの見通しが、現在主流となっている。

 経済成長率ゼロを覚悟していると。3〜5月期は15%の落ち込みだから、通年でゼロ%に持っていくには、今後は相当の「成長」がなければならないわけだが、「今後の経済の見通し」については、どう述べたのだろうか。

・しかしながら、復興に向けた足音も聞こえてきている。各企業が一日も早い復旧に向けて昼夜を問わぬ取り組みを進めた結果、足もとの生産活動は、当初の想定を上回る勢いで回復の動きを見せている。

・昨今の鉱工業生産や資本財出荷の持ち直しは、日本企業の底力を示している。こうした生産活動の回復や、今後被災地を中心に復興需要が顕在化してくることにも伴い、年度後半にかけて、徐々に持ち直していくと考える。

ここまでは、今後に期待を滲ませた内容だったが、

・一方、円高の継続、国際的に高い法人税負担、現実味の乏しい温暖化対策、柔軟性に欠ける労働法制、経済連携推進の遅れなど、日本経済が震災以前から抱える構造的な問題は、依然として成長の足かせとなっている。

・さらに夏場の電力供給制約といった課題が、新たに生じている。休止中の火力発電所を再稼働させるという計画も立てられているが、火力発電の稼動に必要な重油や液化天然ガス、石炭といった燃料が、新興国の経済成長に伴い世界的に需給が逼迫していることから、今後、その価格が大幅に上昇する可能性がある。その影響がいずれ、電気料金の値上げという形で顕在化すれば、国民生活や企業活動に大きな影響を及ぼすことになる。

・民間企業は、厳しい国際競争に勝ち抜くため、成長市場であり生産コストも低い新興国などに生産拠点を移すことを、合理的な行動として進めてきた。

・今回の大震災で、立地のリスク分散という考え方に加え、日本における事業コストが一段と高くなれば、企業の海外移転の動きが一段と加速するのではないか。

・産業の空洞化の進展、それに伴う雇用の減少、さらには優秀な人材の流出によって、イノベーションや技術開発といった、世界の中で強みとしてきた「日本の力」そのものまでもが失われてしまうのではないかと、危機感を持っている。

 この米倉会長の「危機感」発言は、そのまま現在の日本経済と社会の問題点を浮き彫りにしている。本来これらの課題は政府が中心になって取り組まなければならないことだが、何しろ「政治が壊れ」、機能不全に陥っている今日、経済界が代わって声を大にして叫んでいるという「態」(てい)である。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:09 | 政治・経済・調査結果
2011年06月30日

白川日銀総裁、「サプライ・チェーン寸断の影響について」海外で講演

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀の白川方明総裁は27日、オランダ外国銀行協会年次総会において「我々はテール・リスクにどのように対応すべきか」という演題のもとに講演した。「テール・イベント」とは「経済や社会に非常に大きな影響を与えたこと」を指し、最近ではリーマン・ショックなどがその好例だが、今回日本を襲った「東日本大震災」も、その一つに挙げられ、各国の政策当局者の大きな課題となっている。白川総裁は講演の中で、今回の震災の経済に及ぼす影響を、「サプライ・チェーンの寸断」に着目し、次のように述べた。

(1).大震災による経済活動の落ち込みは、被災地域の経済規模や人口のシェアから推測される以上に大きかった。被災地域はGDPにして6%、人口にして7%のシェアを有する地域だが、生産の落ち込みは16%にも上った。これには、サプライ・チェーンの寸断が大きく影響している。

(2).被災地域には自動車用のマイコンの世界シェア40%の企業をはじめとして、自動車や電気製品の生産に不可欠な部品を生産する企業が多く存在していた。自動車メーカーは高度にカスタマイズされた部品に依存していたため、被災地の工場における生産停止の影響は被災地以外に所在する企業の生産にも大きな影響を与えた。

(3).また、その影響は国内だけに止まらず、日本からの輸入部品に依存する海外企業にも及んだ。そうした複雑なサプライ・チェーンを通じる影響の大きさは、今回の震災が発生するまでは十分には認識されていなかった。

(4).サプライ・チェーン障害が予想以上の影響をもたらしたことには2つの理由がある。ひとつの理由は部品の在庫水準が低かったこと。在庫水準が低いことは、平常時は効率性を高め企業収益の増加に寄与するが、一旦、大きなショックが発生すると、企業は短期間で大幅な生産削減を余儀なくされ、他の企業への連鎖的影響が拡大する。

(5).もうひとつの理由は、「調達における集中のリスク」だ。すなわち、複雑なサプライ・チェーン・ネットワークを辿っていくと、最も川上の段階では特定地域の特定企業の部品に調達が大きく依存していたという事実が判明する。その結果、特定工場の生産停止が、海外を含む多くの企業の生産に深刻な打撃を与えた。サプライ・チェーンは生産の効率性を高めるものだが、同時に、今回の震災の経験は、ショックに対する耐久力を考えた場合の適正な在庫水準や調達における集中リスクの問題について注意を喚起している。

 与謝野経済財政担当大臣は大震災発生当初、「岩手、宮城、福島3県のGDPは数%だから日本経済への影響は軽微」と発言していたが、生産の落ち込みは16%にも上り、サプライ・チェーンの影響は世界規模にも及んでいたのである。また、日本が世界に誇る、在庫水準を低く抑えた「カンバン方式」も裏目に出たことが分かった。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 09:23 | 政治・経済・調査結果
2011年06月18日

長谷川・経済同友会代表幹事、「原発の再稼動」を強く主張

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 代表幹事就任時から、「日本経済を安定的な成長軌道に戻すことを最優先課題として全力を尽くしたい」と、積極的な提言を繰り返してきた長谷川閑史氏だが、15日の定例記者会見でも、「成長戦略とエネルギー政策」の観点から、「原発政策」について、次のように発言した。

 当面の成長戦略上の最大の課題のひとつは、電力供給の確保だ。54基ある原発のうち35基が点検のため停止しており、点検終了後の再稼動は実現しておらず、残りの19基も来年4月までにはすべて定期点検に入り、停止する予定だが、再稼動の目処は立っていない。地方自治体の長と電力会社の話し合いに任せるのではなく、国家が責任を持たないと今の状況を打破できない。
 それがないと、企業としても事業計画すら立てられないし、心配されている日本の空洞化も促進しかねない。加えて、ベトナムやトルコのように、3.11以降も日本からの原発購入を表明されている国がある中で、自国が原発を停止して再稼動もせずに、他国に買ってくださいと言うことは論理的に矛盾している。国家が責任を持って、当面は原発の再稼動によって電力供給を確保していかなければ経済成長どころではない。

 再生可能エネルギーで原発を代替できるのであればそれに越したことはないが、代替に必要な時間軸とコストを見極めないで、代替を主張することは説得力に欠ける。政府が具体案を出し、それについて産業界ときちんと話し合いをして、実現可能性のあるプランに落とし込み、国民の皆さんに是非を問う、あるいは理解を得るというプロセスを踏まなければならない。
 現実を見極めれば、原発から再生可能エネルギーへの置き換えには20〜30年はかかると思われ、今すぐには難しいだろう。仮に、古い原発が安全性の面で少しリスクが高いのであれば、新しい原発に置き換えていくことも、世界の原発の重要な技術を支えている国として取り組んでいくべきだろう。
 ましてや、浜岡原発を地震の発生確率が高いことを理由に停止を要請し、中部電力はそれを受け入れたわけだが、止めたから必ずしも安全とは言えないとも聞いている。用済み燃料棒が同じ原子炉の建屋の中にある以上、冷却システムが地震や津波で破壊されれば福島と同じような問題が起こるわけで、そういったことも正直に国民に話していただき、その上で国家の責任として、産業の育成、経済成長、そして国民の福祉のためには、苦渋の選択ではあるが、こういうこと(原発の再稼動)をやりたいと説明されるべきだと考える。

 極めて理路整然として、さすが「理論派財界人グループ」のリーダーに相応しい発言だ。経済人ながら国民全体への目配りも利いて共感できる。政治家もこのような腑の中にストンと落ちる話をして欲しいものだ。菅首相の退陣がぐずつき、後継にも適当な人材がいないというなら、いっそ、長谷川氏のような経済人に任せるのも、この際一案ではないだろうか。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 21:03 | 政治・経済・調査結果