そこで、税制の抜本改革つまり、消費税増税論議が出てきたわけだ。菅首相が「自民党案を参考に消費税を10%に引き上げる」と言い出し、折角上がった支持率を一気に10ポイントも落としてまで言いたかったのはなぜか。財政再建が待ったなしの状態という政権を担当するものの「正論」もあるだろうが、今ひとつは「世間体」を良くしたいという、菅首相の「見栄」が透けて見える。まもなく開催されるカナダ・トロントでのG20で、日本の財政再建戦略を「確かなもの」として訴えたいからだと思われる。事実、開催国カナダの首相は13日、参加国の首脳に書簡を送り、「2013年までに、各国の財政赤字額を現在の半分にする約束を交わしたい」との提案を行ってきている。この点について、野田佳彦新財務大臣も22日の記者会見でこう述べている。
「2015年までに対GDP比でプライマリーバランスですが、今の赤字分の半分にすると。2020年にはプライマリーバランスの黒字化を図っていって、最終的にはストックベースで債務残高が安定的に縮減に入っていくような、そういう道筋を描いた内容でございますので、間もなくG20、トロントのサミットもございますけれども、こうした日本の取り組みというものをきっちりとご説明いたしまして、マーケットの信認あるいは各国から信認される、そういう努力をしていきたいというふうに思っています」
この野田大臣の発言は、菅首相の代弁で、今回の「財政運営戦略」が、まさに、対外向けのメッセージの趣が強いという証左だ。さらにカナダの首相からの書簡いついてもこう述べる。
「基本的には財政健全化と経済成長、どの国も図っていかなくてはいけないという中で、たまたまカナダからそういうご提起があるとは聞いていますが、それぞれの各国の事情があるというふうに思いますので、それぞれの国の取り組みがしっかり説明されて理解されるかという、私はそういうことになるだろうと思います。日本の立場はちゃんとしてきたいと思います」
大臣の言う「日本の立場」とは、つまり、リーマンショック後に財政赤字が急増した国と、日本のように「構造的」に財政赤字が増えてきた国とは違う、ということだが、それについてはこう話す。
「財政赤字の原因がリーマンショック後のあの状況の中で生まれた国と、構造的な側面を持っている国とではやはり違いがあるというふうに思いますので、そのスピード感であるとかやり方というのは自ずと差が出てくるというふうに思います」
先の「新成長戦略」にしても、今回の「財政戦略」にしても、何か、国会終了後の参院選突入間際にバタバタと発表された嫌いがある。これでは十分な検証も議論が出来ない。ましてや、菅首相の初の首脳外交の「手土産」だとなると、何をか況やである。
































