[政治・経済・調査結果]の記事一覧
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記事一覧 (04/27)経産省、繊維・ファッション業界のビジョンを提言。「内需依存からの脱却」「アジア中心へ」
記事一覧 (04/24)亀井金融担当大臣は「報酬1億円以上の役員の実名公開は当然」と言明!
記事一覧 (04/22)「デフレ脱却議連」の提案内容の波紋、1ドル120円の提案も!?
記事一覧 (04/22)財務省・全国財務局、「地域経済は生産活動を中心に持ち直しの動き」とレポート
記事一覧 (04/21)経団連、「成長のためにカネがいるなら、カネを作れ」と鳩山政権に揺さぶり
記事一覧 (04/17)環境省は環境短観(試行)発表!環境産業は10年後120兆円に拡大と予測
記事一覧 (04/16)日銀「地域経済報告」を公表。すべての地域が「景気は持ち直しの動き」と判断
記事一覧 (04/15)菅副総理兼財務相、「増税すれば景気が良くなる」と本気で主張
記事一覧 (04/14)鳩山首相と日銀総裁がトップ会談。今後、定期的に協議開催を確認
記事一覧 (04/10)白川総裁が郵貯について「金融システムの安定上懸念」と米国例を挙げて表明
記事一覧 (04/08)国家戦略室「中期財政健全化」に向けて「考え方」を公表。具体的目標、数字は盛り込まず
記事一覧 (04/07)日銀の新・審議委員に最年少の宮尾龍蔵氏。かつて著書で金融政策の限界に言及!?
記事一覧 (04/06)「中小企業の業況感は依然厳しいが融資条件は大幅に改善」と調査結果を発表
記事一覧 (04/03)公取委が「25%削減」に向けて研究を進める「国内排出量取引制度」
記事一覧 (04/01)農水省、「農業基本計画」を発表。「食料自給率50%」、「6次産業」等を盛り込む
記事一覧 (03/31)「改正貸金業法」の骨子まとまる。銀行・信金の社会的責任と参加を強調
記事一覧 (03/30)菅副総理が「抱き付き作戦」に出た自民党の「財政責任化法案」とは
記事一覧 (03/28)総務省「自動車関係税制研究会」を立上げ、「地方環境税」への準備促進
記事一覧 (03/25)「郵政改革法案」まとまる。完全民営化路線放棄で「民業圧迫」批判噴出は必至
記事一覧 (03/12)須田美矢子審議委員、不況脱出には「構造的問題の解決が急務」と指摘
2010年04月27日

経産省、繊維・ファッション業界のビジョンを提言。「内需依存からの脱却」「アジア中心へ」

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 経産省は26日、「今後の繊維・ファッション産業のあり方に関する研究会」の報告書を発表した。同省では以前から繊維産業のより大きな発展の方向性、戦略について検討してきて、一度、平成19年6月に構想を発表した。だがその後、リーマンショックや新興国企業の更なる台頭など、策定後に大きな環境の変化があったことを受けて、これを補完するものとして、今回、新たなとりまとめを行ったというもの。報告書において示された繊維産業の今後の方向性・アクションプランの概要は次の通り。

【繊維産業の今後のビジョン】

1.内需依存体質から脱却し、周到な準備の下で、アジアを中心に拡大する海外市場の開拓を進める。
2.繊維素材・技術の適用を衣料以外の幅広い産業分野(例:環境や健康分野)に広げ、繊維の市場拡大を図る。
3.我が国のファッション産業を今後の成長産業として期待されている文化業の中心的担い手へ飛躍させる。
4.事業者間の連携を推進し、お互いの強みを活かすことによって、新興国企業が台頭する激しい国際競争を戦う。

【アクションプランニング】

<自社の強みなどの現況を踏まえ、更なる成長に向けて自らリスクをとって努力する事業者に重点化>
1.内需依存体質からの脱却・外需の取り込み 【全体】
2.個別から連携・統合へ 【全体】
3.社会のニーズを付加価値に変える 【全体】
4.トップレベルの技術を幅広い分野へ 【産業資材】
5.感性をビジネスへ・コスト競争からの脱却 【衣料・ファッション分野】

 どうやらキーワードは、「内需依存体質からの脱却」「アジア市場への積極的進出」「感性、文化産業への進化」等のようである。これは別に繊維・ファッション産業だけに当てはまるものではなさそうだ。大体において、この種の報告書は、産業界の代表選手や当該産業に詳しい学識経験者とやらの会合でまとめられるもの。したがって現状把握はそこそこ出来るとしても、方向性や戦略性となると、すこぶる抽象的で説得性に欠けるのが特徴。一言で言うと、「ヨシ、これでいける」と言うような、心に響くレポートが皆無に等しい。

 その原因は、この種の会合のやり方にある。いかに専門家であろうと、ヒマな人を集めて話を聞いてもダメで、「現場」で日々格闘している「忙しい人」にヒヤリングすること。また、官僚があらかじめ「素案」をまとめ、議論をそれに集約させるようなことは止め、平場でゼロベースから課題を洗い出し、ソルーションへと詰めなくてはいけない。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 10:49 | 政治・経済・調査結果
2010年04月24日

亀井金融担当大臣は「報酬1億円以上の役員の実名公開は当然」と言明!

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 21日に突如起こった「新高速道路料金」をめぐる、鳩山政権と民主党執行部とのバトルは、普天間移設問題の混迷と合わせて、民主党政権の政権担当能力の欠如を一層際立たせたが、今ひとつ、政権の課題となっているのが「郵政改革法案」のとりまとめと国会提出だ。当初4月20日には閣議決定と言っていたのが大幅に遅れて、国会提出は連休明けになりそうな気配。ポイントは民間金融機関からの「民業圧迫が起きたら困る」という強い要望にどう対処するかで、3月24日に亀井郵政改革担当大臣と原口総務大臣の連名で「郵政改革に関連する諸事項等について」という「談話」を出し、「中央突破」を試みたが、各方面からの「抵抗」が強く、さすがの亀井大臣も、20日の記者会見では次のような、「第三者機関」を設置することを余儀なくさせられている。

 「我々は言われるまでもなく、民業圧迫との批判に配慮しながら…。ゆうちょ銀行、かんぽ(生命保険)だけで、銀行業務、保険業務を担っていけるわけではないわけで、民間金融機関と相まってやっていかなければいけないわけですから、新規事業を展開していく場合に、国民的立場で、国民の目線でそれが適当かどうかというような判断を、郵政改革推進委員会を設置して、委員は10名程度、任期は2年、内閣総理大臣の任命で、各界の方々に参加してもらうと。ただ、利害関係者は入っていただかないと」

 また、金融庁マターでは、「金融情報(企業開示内容)の改正も話題となっている。特に、注目を浴びているのは、有価証券報告書に1億円以上の役員報酬を得る役員の実名公開だ。この件について亀井大臣は記者会見でこう答えた。

 「それは、私は、今の時代、当たり前ではないかと思いますよ。外国もそうでしょう。外国はもうほとんど、アメリカもヨーロッパもそういうことをやっていますよね。アメリカ、ヨーロッパの場合、もっと(開示が必要となる対象の)範囲を広くしているのではないですか。日本の場合、どの水準が良いのかは別として、会社は社会的存在ですから。自分たちだけ承知したら良いというものではなくて、それが株主や、一緒に働いている従業員の目から見てどうか、国民全体から見て適正なのかどうかという、目に晒されることは、今の時代、当たり前だと思っていますね」

 「1億円というのは、我が国の給与、報酬水準、いろいろなものを見て、その辺りが適しているのではないかなということで。金融機関はほとんど税金を払っていない。税金を払っていない状況で、その経営陣が世間の目から見て相場ってものがある。えっ、と思うような俸給を貰っていたら、やはり許されませんよ。どの辺が適当なのかは別として。社会の目に晒されるということは、経営者たる者は、当然、覚悟していないといけない」

 世界的に金融機関を中心とする「企業の高額報酬」が問題となっている。ハイリスク・ハイリターンの企業活動が、金融危機の原因と指摘されているからだ。わが国でも外資を中心に、「高額報酬」が問題となりつつある今日、亀井大臣の指摘は正論であり、大方の支持を得られるだろう。事実、某ファンド外資は、今年、採用内定を出した大卒予定者に、フロントで「100万円」、バックで「70万円」の報酬を提示したという。一般企業の大卒者のそれが、いまだ「20万円」前後であるのに対してである。20歳前半の新社会人に対する報酬としては、これは明らかに「過剰」であり「異常」である。そして、このような高額報酬を保証する、企業のビジネスモデルと行動も「異常」であり「過剰」だと言わなければならない。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:54 | 政治・経済・調査結果
2010年04月22日

「デフレ脱却議連」の提案内容の波紋、1ドル120円の提案も!?

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 民主党の有志議員130名による「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(会長:松原仁代議士)は、14日に、参院選マニフェスト(政権公約)の策定に向けた提案を取りまとめ、党の「成長・地域戦略研究会」に提出したが、この議連は「小沢別働隊」と見られ、政府の経済金融政策に揺さぶりをかけるねらいがあると見られている。つまり、財務省や国家戦略室の対応では、参院選には間に合わないと見て、政策の政府一元化を崩し、「介入」しようというもの。それは21日に明らかになった、小沢幹事長による「高速道路新料金見直し」介入と同じだと思われる。

 ただ、提案では、デフレからの完全脱却に向けて「金融政策と財政政策のあらゆる手段を一体的に駆使して総合デフレ対策に取り組む」ことをマニフェストに掲げるよう要請。金融政策運営に当たっては、政府が消費者物価指数(CPI)の対前年比2%超など物価水準目標を設定し、それに基づいて日銀が「政策手段を独自に選択し、数値目標の達成に努める」ことを求めている。今後、民主党が、マニフェストにどのように盛り込むかが注目されている。

 また、この提案については、20日の定例記者会見で、菅副総理兼財務大臣に「感想」が求められ、大臣は次のように答えている。

 「議員連盟の提言の取り扱いには一義的なルールがあるわけではありません。CPI前年比2%というのは決して飛び離れたような目標ではありませんので、1つの傾聴に値する意見だと思います。120円というのも、為替については、財務大臣は常に市場が決めるものということが答えになっておりますので、中身については申し上げません。提案があれば、しっかり内容的には参考にさせてもらいたいと思いますが、それがどういう形でマニフェストに反映するかしないかというのは、私の今の立場では申し上げることが出来ない状況です」

 苦しい答弁だが、菅副総理にしてみれば、きっと、「いよいよ俺の金融財政の政策範囲にまで小沢幹事長の手が伸びてきた」という思いであろう。なお、「デフレ脱却議連」の提案内容は次の通り。

 ●政策目的
 ・財政再建や新成長戦略を実現化する上での大前提として、まず、あらゆる金融政策と財政政策の手段をデフレ脱却に向けて集中的に投入する。

 ●具体策
 ・デフレを完全に脱却するまで、思い切った金融緩和を実行、継続する。そのために必要となる抜本的な制度改革を断行する。
 ・金融政策の指針となる物価等の適正水準について、政府が数値目標(消費者物価指数対前年比2%超など)を決定する。それに基づき、日本銀行は政策手段を独自に選択し、数値目標の達成に努める。日銀は目標の達成結果について、十分な説明責任を果たす。
 ・貿易・金融に過度な歪みが生じないよう、購買力平価(2007年・1ドル=120.3円、経済協力開発機構調査)を目安に、為替相場が適切な水準を保つよう最大限の努力を行う。
 ・米連邦準備理事会(FRB)の制度を参考に、金融政策の目標として「雇用の最大化(失業の最小化)」を明記し、国民生活の安定につなげる。
 ・経済の底上げ効果のある財政政策を実行し、特に中小企業など企業の資金調達を円滑化するための制度融資などを大胆に行う。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:59 | 政治・経済・調査結果

財務省・全国財務局、「地域経済は生産活動を中心に持ち直しの動き」とレポート

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 21日、財務省の全国財務局は「管内経済財政概要」を発表した。これは1月から3月までの地域経済の概要について、全国11の財務局の報告をまとめたもの。内容は先の日銀支店長会議での全国各地の経済概況とほぼ重なるが、地域企業の財務内容をより詳しく知る立場にあるだけに、日銀の支店や各通産局(経産省)とは、また違った現状分析を期待したいところだが、さてどうだろうか。膨大な報告書なので、冒頭の「地域経済の概況」から探ってみよう。

<地域経済の概要>
 東北について「厳しい状況にあるものの、緩やかに持ち直してきている」に、関東について「雇用情勢等に厳しい状況が残るなか、業種等のばらつきはあるものの、総じてみれば持ち直してきている」に、北陸について「厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きが進展している」に、近畿について「雇用情勢などは依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動き」に、中国について「厳しい状況にあるものの、持ち直しの動き」に総括判断を上方修正した。

 北海道、四国について「厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動き」等に、東海について「厳しい状況が続いているものの、緩やかな持ち直しの動き」に、九州、福岡について「厳しい状況にあるものの、持ち直しの動き」に、沖縄について「一部に下げ止まりの動きがあるものの、依然として厳しさがみられる」に総括判断を据え置いた。

 こうしたことから、1−3月期の地域経済の概況は、「厳しい状況にあるものの、生産活動を中心として持ち直しの動きがみられる」と総括した。

 なお、先行きについては、多くの財務局から雇用情勢、海外経済の動向について留意、注視する必要があるとの報告があった。

 さらに、地域経済の動きを主要項目別については、次のように報告されている。

 生産活動(沖縄は観光)に関し、北陸について「持ち直し」に、関東、近畿、中国について「緩やかに持ち直し」に、沖縄について「厳しい状況にあるものの、下げ止まりの動き」に判断を上方修正し、東海について「緩やかながら着実に持ち直し」に、北海道、東北、四国、九州、福岡について「緩やかに持ち直し」等に判断を据え置いた。

 個人消費に関し、沖縄について「一部に持ち直しの動きが続いているものの、このところ弱い動き」に判断を下方修正し、沖縄以外の各地域について「一部に持ち直しの動き」、「一部に持ち直しの動きがみられるものの、弱い動き」等に判断を据え置いた。

 雇用情勢に関し、北陸について「厳しい状況にあるなか、緩やかな持ち直しの動き」に、東北、東海、中国について「緩やかな持ち直しの動きがみられるが、厳しい状況」に、関東について「厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動き」に判断を上方修正し、北海道、近畿、四国、九州、福岡、沖縄について「厳しい状況」に判断を据え置いた。

 企業収益は、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、福岡で増益見込み、関東、東海、近畿、沖縄で減益見込みとなっている。設備投資は、沖縄で前年度より増加する見込み、沖縄以外の各地域で前年度より減少する見込みとなっている。また、企業の景況感について自社の景況判断BSIでみると、現状判断は全ての地域で「下降」超となっている。
 さて、これらの経済報告を重ねて、財務省は果たして今年度の税収見積もりを、どのように『はじき』出そうとしているのだろうか。そこが、これからの経済財政計画や成長戦略を策定していく上でのポイントであり、土台である。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 11:09 | 政治・経済・調査結果
2010年04月21日

経団連、「成長のためにカネがいるなら、カネを作れ」と鳩山政権に揺さぶり

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 経団連が13日、「成長戦略」を発表した。タイトルは「豊かで活力のある国民生活を目指して」。標題は真新しいものではない。国民や産業界にインパクトを与えるものではない。だが、現在の民主党政権がいまだ明確な経済成長戦略を描けず、自身が公約したマニフェストをも実行できないでいる今日、経団連のような主要な民間団体がこのような「デザイン」を提示することは、政府に対する刺激策としては大いに有効である。

 さすが財政力もスタッフも豊富な団体だけに、129頁にも及ぶ大部の提言をまとめているが、中味は網羅的で、経団連自身がこれまで提言して来たことや、あちこちで言われてきたことの総集編といった趣である。だから、紙数を割いて敢えて紹介するほどのこともないが、ただ、3章の「成長に向けた6つの戦略と規制改革」は、わが国がこれから取り組むべき「課題」を、コンパクトにまとめているので、項目だけでも引いておきたい。

「成長に向けた6つの戦略と規制改革」

1.環境・エネルギー大国戦略
(1)最先端の技術の普及促進に向けた政策
(2)中長期的な観点からの革新的技術の開発・普及

2.健康大国戦略
(1)医療・介護関連産業の成長産業化
(2)高齢者向けビジネスの展開

3.アジア経済戦略
(1)アジアとともに成長する日本
(2)外国人人材の積極的受け入れ
(3)物流の円滑化
(4)国際基準化の推進
(5)コンテンツ産業のさらなる振興

4.観光立国・地域活性化戦略
(1)観光立国の推進
(2)道州制と「地域主権」の改革の実現に向けて
(3)成長の牽引役としての都市の再生
(4)農業の成長産業化
(5)ストック重視の住宅政策への転換

5.科学・技術立国戦略
(1)イノベーション創出基盤の整備
(2)ICTの利活用
(3)宇宙開発利用の推進
(4)海洋分野の新たな成長基盤の構築

6.雇用・人材戦略
(1)労働力人口の減少への対応も見据えた労働市場の形成
(2)安心して子どもを生み育てられる環境の実現、待機児童の解消
(3)質の高い教育による厚い人材層の形成

7.成長を阻害する規制の改革

 一読して、ここに驚くような「アイデア」がないことは自明だが、経団連の狙いは、実は「おわりに」という結語に表れている。

 「課題解決にはカネがいる。国の厳しい財政状況を前提とすれば、課題解決にはその面からの強い制約がかかる。したがって、財政資金の重点的、効率的使用と民間の資源・資金の最大限の活用は大前提になるが、それらの限界も認識しなければならない。成長戦略のためのカネが足りないのなら、カネは作らなければならない。成長という卵を求めても、餌を与えなければ、鶏は卵を産まない。『ない袖は触れない』ではなく、『ない袖は作れ』である。税・財政・そして社会保障の一体改革を急務とするゆえんである」

 意味深長、示唆に富んだ「結語」である。現政権の財政経済政策批判とも、統治能力欠如とも受け止められるし、成長のためには民間企業の力を借りるべきだ、との催促とも読める。そして最大のメッセージは、「財源がないなら消費税を増税して作れ」のようである。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 10:32 | 政治・経済・調査結果
2010年04月17日

環境省は環境短観(試行)発表!環境産業は10年後120兆円に拡大と予測

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 環境省は14日、「環境経済観測」の試行実施の結果を発表した。環境省としては、環境産業に焦点を当てた初の経済動向調査として、今後、日銀の「短期経済観測」になぞらえて「環境短観」としたい模様。調査項目は、「我が国の環境産業全体の業況感」(現在、3年後、10年後)、「今後発展が期待できる環境産業」(現在、3年後、10年後)、「現在行っている又は行う予定のある環境産業」(売上上位3種)、「環境産業の進展における問題点」等で、結果(概要)について、こう発表した。

 「我が国の環境産業全体について、今後10年間、発展していくものと考えている企業が多いこと。環境産業を現在実施している又は実施予定の企業において、自社の環境産業に係る業況は、DI値で±0と、本年3月期の全ての産業(金融機関を除く。)を対象とした日銀短観のDI値(業況判断指数)−14(全産業・大企業)に比べて相対的に良い状態にあると捉えられており、特に省エネルギー型家電製品や環境配慮型自動車などにおいては、DI値が数十ポイントのプラスで好況と捉えられていること、などが判明した。(DI=「良い」と回答した割合(%)−「悪い」と回答した割合(%))

 また、この調査に加え、環境産業の市場規模の推計を行っており、今般、平成20年度の市場規模で、約75兆円に上り、最近の傾向として継続して拡大基調にあることがわかった。そして新しい成長戦略に基づいて発展していけば平成32年度(2020年)には120兆円が見込まれる」

 さらに「我が国の環境産業全体について概況」等の調査結果については、

 「我が国の環境産業全体については、現在は「さほど良くない」が最も多く(65.4%)、「良い」と「悪い」はほぼ同じ割合(15%程度)である。3年先になると「良い」の割合が高まり(39.3%)、10年先では「良い」という回答が半数を超えている(61.1%)。以上の傾向から、環境産業は今後10年で発展することが期待されていると言える。

 「現在発展していると考える環境産業」として、「環境配慮型自動車」(25.7%)と回答した割合が最も高く、次に「省エネルギー型家電製品(エコポイント対象)」(23.3%)、「太陽光発電システム」(17.7%)、「廃棄物処理・リサイクル」(17.3%)が続く。3年先に発展が期待できそうな環境産業として、「環境配慮型自動車」(34.0%)、「太陽光発電システム」(26.3%)、「省エネルギー及び省エネルギー管理」(23.7%)が挙げられる。上位ビジネスは、現在よりも回答割合が増加しているのに対して、「省エネルギー型家電製品(エコポイント対象)」(3.5%)は回答割合が減っている。

 10年先に発展が期待できそうな環境産業として「環境配慮型自動車」(21.8%)、「太陽光発電システム」(18.5%)、「再生可能エネルギー施設」(18.1%)が挙げられる。また、「省エネルギー及び省エネルギー管理」(15.0%)、「スマートグリッド」(9.7%)も相対的に高い割合を占めている。

 以上より、今後10年間では、「環境配慮型自動車」が最も期待度が高く、「太陽光発電システム」も期待度が高いことがわかる。現在、発展していると考えられている「省エネルギー型家電製品(エコポイント対象)」については、3年先(3.5%)、10年先(1.9%)の回答割合は、落ち込んでおり、将来的な環境産業としての期待の程度は低い。「廃棄物処理・リサイクル」については、3年先7.6%、10年先6.8%であり、現在ほど期待度は高くないが、将来的にも一定の発展は期待できると考えられている。

 因みに、調査概要は次の通り。アンケート調査期間は2月5日から26日。調査対象は東京・名古屋・大阪の各証券取引所1部及び2部上場企業並びに従業員数500人以上の非上場企業の総数6千数百社よりランダム抽出した2000社、その他合計2050社。有効回答数は486社(有効回答率23.7%)。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:53 | 政治・経済・調査結果
2010年04月16日

日銀「地域経済報告」を公表。すべての地域が「景気は持ち直しの動き」と判断

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀は、15日、全国支店長会議を開いたが、その会議に向けて収集された情報をもとに「地域経済報告」をまとめ公表した。この報告は、一名「さくらレポート」とも言われ、年4回出され、「短観」と共に、日本経済の実態を探る重要な材料の一つとなっている。特に、全国を9ブロックに分け、その地域を36の支店の担当部署が調査した情報であるだけに、直近の生の日本の地域経済を知るには参考になる。内容は「地域からみた景気情勢」「地域の視点−最近の地場企業の設備投資動向」となっているが、「地域からみた景気情勢」を見てみよう。

T. 地域からみた景気情勢
 各地域の取りまとめ店によると、最近の景気情勢について、前回(10年1月時点)同様、ペースや広がりに差異があるものの、全ての地域が基調判断を「持ち直し」の動きがみられる。

 今回の地域別総括判断を前回と比較すると、2地域(四国、九州・沖縄)が基調に変化なしと判断したが、それ以外の7地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国)では、改善の動きの広がりやペースの加速など、基調に改善方向の変化があると判断された。もっとも、ほとんどの地域が水準の厳しさ(北海道、東北、北陸、近畿)ないし地域や業種、企業間の格差の存在(関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄)に引き続き言及している。

 個人消費は、引き続き全地域が政策効果の持続に言及しているほか、6地域(北海道、東北、関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄)が、耐久消費財以外の分野での持ち直しや下げ止まりの動きを報告した。しかし、過半の6地域(東北、北陸、関東甲信越、近畿、四国、九州・沖縄)が、引き続き全体としての地合いは弱い、と判断した。

 品目別の動きをみると、引き続き、全ての地域が政策効果による家電および乗用車販売の増加に言及したが、うち2地域(四国、九州・沖縄)から、乗用車販売の増加ペース鈍化が報告された。百貨店等大型小売店については、全体としては厳しい状況が続いているが、4地域(北海道、東北、関東甲信越、東海)は「売上高の前年比減少幅は縮小している」等と報告した。また、6地域(北海道、東北、関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄)が、旅行関連需要の増加ないし下げ止まりの動きに言及した。

 設備投資については、6地域(北陸、関東甲信越、近畿、中国、四国、九州・沖縄)が「下げ止まりに向けた動き」を報告したほか、「低水準ながら増加に転じた」との判断もみられた(北海道)。しかし、東北は「大幅な減少」、東海は「低水準での推移」が続いていると報告した。

 内訳をみると、電気機械や輸送用機械等の輸出関連製造業における維持・更新投資の再開の動きを中心に、能力増強投資に踏み切る動きも報告された(北海道、中国、九州・沖縄等)。また、非製造業では、インフラ関連産業の大型投資に複数の地域(東海、九州・沖縄)が言及したほか、小売業での新規出店の動きも報告された(北海道等)。

 生産については、引き続き全地域で、「持ち直し」ないし「増加」との基調判断が示された。また、一部の地域(北陸、中国等)は、持ち直し傾向を示す業種に広がりが出ていることを報告した。この間、一部地域(東北、四国)は、全体としては持ち直し傾向が続く中にあって、一部高操業先で増産ペースが鈍化していることを指摘した。

 業種別の主な動きをみると、自動車・同部品、電子部品・デバイスについては、全地域で「増産」ないし「高操業」の状況にあることが報告されたが、一部地域(東北、四国)で増産ペース鈍化の動きが指摘された。鉄鋼については4地域(北海道、東北、東海、中国)から生産水準の上昇が報告された。一般機械については、6地域(東北、北陸、関東甲信越、東海、中国、九州・沖縄)から生産水準の上昇が報告されたが、四国では低水準の操業継続が指摘された。この間、紙・パルプについては、3地域(北海道、東北、四国)から、減産ないし低操業が続いていることが報告された。

 雇用・所得環境をみると、雇用情勢については、全地域が、厳しい状況が続いていると判断しているが、4地域(東北、関東甲信越、東海、中国)が、改善方向ないし下げ止まりの動きを指摘した。この間、6地域(北海道、東北、関東甲信越、東海、中国、四国)で、有効求人倍率の改善の動きが報告された。

 雇用者所得については、ほとんどの地域で減少傾向との判断が示された。この間、2地域(東北、東海)からは「名目賃金の前年比増加」、4地域(北陸、東海、中国、九州・沖縄)からは「所定外給与の増加」が報告された。

 ここには記載されていないが、需要項目ごとに、各ブロックの「書き込み」がある。それをみると、「個人消費」の項目では、判で押したように「政策効果から持ち直しの動きが見られる」という文言が並ぶ。金太郎飴ではあるまいし、もっと個性的というか地域の実情を反映するような、独創的な「経済コメント」が書けないものなのだろうか。これでは白川総裁の記者会見での見解をそのままトレースしているだけだ。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 11:24 | 政治・経済・調査結果
2010年04月15日

菅副総理兼財務相、「増税すれば景気が良くなる」と本気で主張

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 最近、菅副総理兼財務大臣の口が滑らかだ。「5月政局」を睨んで、鳩山首相の後を襲うというマスコミ報道も目立つ。事実、13日の閣議は総理不在のため臨時首相代理として「仕切った」とか。その後の定例記者会見でも、政策に関しての自信満々の口ぶりが目立った。

 主に話題となったのは、「マニフェストの修正」と、「増税すれば景気が良くなる」との最近の自身の発言について。まずは「マニフェスト修正」から。

 「一般的に言えば、マニフェストというのは選挙に当たっての国民との約束ですから、基本的にはそれを実現するということを目指していくというのは当然のことです。と同時に、マニフェストは入りと出と両方入っております。つまりは207兆の総予算を見直して、そこからかなりの無駄遣いを省く中の財源を使って、こういうことをしようという入りと出と両方になっており、入りと出の両方を含めた約束というか、こういうことでいきたいという中身になっておりますので、先の予算の場合も最終的には暫定税率などについては、実質的にはマニフェスト通りには実行出来なかったということで、総理自ら謝罪をされた経緯もあります。」

 「そういう意味で何か出の方だけが約束されて、入りの方は約束されていないということではないので、今与党の中、そして政府、そして合同の会議で色々議論されていますので、そういう中で結果としては予算というのは入りと出と両方で予算を組むわけですから、そういうトータルの中で議論が進むと思っています」

 入りと出、つまり収入と支出、財源があって始めて財政出動ができる、マニフェストはその両方の約束だということ。当たり前のことで、国民は誰も、カネが無いのにマニフェストを実行しろとは言っていない。むしろ、マニフェストでしっかりとした財源の手当てを言わないで、無駄を省けばマニフェスト予算ははじき出せると、大見得を切ったのがそもそもの間違い。

 それを声高に述べた藤井前財務大臣は体調不良を理由に辞めてしまったが、これは「敵前逃亡」だ。さらに、入りの部分を、景気悪化による税収不足のせいにしている。税収不足は政権交代のはるか前から分かっていたこと、それを承知で政権に就いたのだから、いまさら「泣き言」を言うのはみっともないというもの。そして今度は「増税すれば景気が良くなる」のだと、どんな理屈か、とくと聞いてみよう。

 「先進国の中でもこれだけ長い期間デフレ状況から脱却出来ていない国は日本だけです。その原因について専門家や事務方に検討させました。そういう中でやはりお金の流れが、循環が悪いと。別の言い方をするとお金を持っておくことと、それで物を買うこと、使うことの中で、持っておきたいという意欲が強いと。物の少ない時代、例えば昭和20年代、30年代、40年代ぐらいまでは、テレビや洗濯機や自動車、新しい製品が出てくれば、お金さえあれば使いたかったわけですが、2000年に入ってからはお金があれば使いたいというよりは、お金があっても使わないで、お金で持っておきたいという意欲が非常に傾向として強まって、それが今のデフレ状況の背景にあります。お金をもっと循環させて有効なところに使うためには、1つは国債で、借金でやるやり方、いま1つは税によって分担してもらって、それを使ってやるやり方です。

 私はいま、税率を上げた時点の経済に与えた影響を詳細に検証させています。例えばある時期、3%から5%に消費税を上げた時に、上げた途端に非常に消費が低迷したと。それはその通りなのですが、その直前には消費が増えているわけです。つまり駆け込み需要があって、その後駆け込み需要の反作用が出て、ある長さで見れば必ずしも景気にマイナスではないというのが、専門家の当時の分析です。

 それから当時も、実は増税と言われながら直前に所得税を中心とした減税がかなり行われています。過去のそういう部分的な増税の部分だけ取り上げて、それが、景気が悪くなった原因だということが客観的に言えるのか、本当はどうなのかということを今徹底的に検証させているということです」

 民主党は確か、「国民目線」とか、「国民生活が第一」と言ってきた筈。それが、菅副総理の言では、国民に金を持たせておいては循環せず、景気がよくならないから、国債を買わせるか、税で召し上げるしかない、ということになる。為政者となってわずか8ヶ月でこの変わりようである。権力者になるということは恐ろしいものだと、つくづく思う。
 国民が、なぜ、お金を持っていたいか。それは「不安」だからである。この国の今と先行きに不安で、自分の生活は時分で守らなければという意識が、多くの国民をして、節約に走らせているのである。こんな簡単なことが分からずに、よく政治家が、それも副総理、財務大臣という重要ポストが勤まるものだと呆れてしまう。さらに、増税が景気悪化の原因になるかどうか、本気で調べさせているという。

 だが、これは全く逆立ちした議論である。税とは国民や企業にとっては「負担」である。それを景気後退期に重くするというのは逆である。まず、景気回復を図り、その果実の相応分を担ってもらうというのが筋であろう。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 10:11 | 政治・経済・調査結果
2010年04月14日

鳩山首相と日銀総裁がトップ会談。今後、定期的に協議開催を確認

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 政府と日銀は、去る9日、鳩山首相と白川総裁が官邸で会見し、意見を交換した。この席には菅副総理兼財務大臣と平野官房長官が、日銀からは山口副総裁が同席した。会談の詳細は明らかにされていないが、景気回復、デフレ対策、金融緩和等の政策で、今後とも政府、日銀が連携を深め、一体となって進めていくことが「確認」され、この意見交換の場も2、3ヶ月に1度行われることが決まった模様。とはいっても、日銀は出来るだけ、独立性と政策運営の自由度を確保したいのが本音で、「いやいや」政府に付き合わされている節も見られる。

 だが、日銀としても、現在の金融情勢、物価情勢を日銀の金融政策だけで乗り切ることが出来ないのも承知しており、政府の経済、財政政策との整合性は止むを得ないものと認めている。そんな中、白川総裁は、参議院財政金融委員会に出席し、「日本経済の動向と日銀の金融政策運営」について、以下のように説明した。日銀は年2回、「通貨及び金融の調節に関する報告書」を国会に提出しているが、これはその概要説明。やさしく、丁寧な白川総裁のいつもながらの「経済見通し」で、最近も、政策会合後の会見や「短観」で述べているものと内容は同じだが、政府の経済関係大臣の説明、見解よりも分かりやすく、信頼性が高いと思われるので、全容を紹介する。

<日本経済の動向>
 わが国の景気は、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、海外経済の改善や各種対策の効果などから、持ち直しを続けており、その持続傾向がより明確になっています。輸出や生産は、新興国経済が力強い成長を続けていることなどを背景に、増加を続けています。4月初に公表された3月短観をみますと、企業の業況感は、製造業大企業に加え、非製造業や中小企業にも拡がりを伴いながら、引き続き改善しています。また、設備投資が下げ止まっているほか、個人消費は、厳しい雇用・所得環境が続いているものの、各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直しています。

 先行きについては、当面、わが国経済の持ち直しのペースは緩やかなものとなる可能性が高いと見ていますが、一頃市場等で懸念されたような、景気が再び大きく落ち込む、いわゆる「二番底」に陥る惧れは、かなり後退したと判断しています。その後は、輸出を起点とする 企業部門の好転が家計部門に波及するにつれて、わが国の成長率も徐々に高まってくると予想しています。

 金融環境をみますと、厳しさを残しつつも、緩和方向の動きが強まっています。企業の銀行からの借入れ金利は、日本銀行による金融緩和に加え、金融機関の融資姿勢の積極化もあって、低下傾向が続いています。CP市場では、リーマン・ショック以前を上回る良好な発行環境となっています。また、社債市場も良好な発行環境が続き、低格付社債にも改善の動きがみられています。この間、企業の資金繰りは、中小企業ではなお厳しいとする先が多いものの、これらも含め、全体として緩和方向の動きが続いています。

 物価面では、生鮮食品を除くベースでみた消費者物価の前年比は、経済全体の需給が緩和状態にあるもとで下落していますが、その幅は昨年8月をピークに縮小傾向を続けています。先行きの物価の基調的な動きは、マクロ的な需給バランスと中長期的な予想物価上昇率に規定されます。この点、今年度から実施される高校授業料の実質無償化等によって、統計上、消費者物価指数の前年比は1年間に亘って低下しますが、物価の基調的な動きを判断する際には、このような制度変更に伴う変動要因を取り除くことが必要となります。そうした物価の基調という点では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移すると見込まれるなかで、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、今後も、消費者物価の前年比下落幅は縮小していくと考えています。

 リスク要因についても十分意識しています。まず、上振れ方向のリスクとしては、新興国や資源国の経済が挙げられます。新興国・資源国経済の力強い成長は、わが国経済のこれまま持ち直しを牽引してきました。これがさらに強まる場合には、わが国の景気が上振れる可能性があります。一方、下振れ方向のリスクとしては、一頃より低下しましたが、米欧のバランスシート調整の帰趨や、企業の中長期的な成長期待の動向などがあります。また、最近の国際金融面での様々な動きとその影響についても、引き続き注意が必要です。 

 物価面については、新興国や資源国の高成長を背景に資源価格が上昇する場合には、物価上昇率が上振れるリスクがあります。一方で、中長期的な予想物価上昇率が低下することなどによって、物価上昇率が下振れるリスクもあります。

<金融政策運営>
日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識しています。そのため、物価の基調的な動きを規定する2つの要因に即して、様々な施策を講じています。まず、マクロ的な需給バランスの改善に働きかける施策として、金利面では、政策金利を実質的にゼロ水準に据え置いています。

 また、長めの短期金利のさらなる低下を促すため、0.1%という極めて低い金利で期間3か月の資金を供給する手段を昨年12月に10兆円規模で導入し、先月にはこれを20兆円に増額しました。資金供給面では、この手段も含め、各種の資金供給手段を活用しながら、潤沢な資金供給を続けています。さらに、以上のような極めて緩和的な金融環境を粘り強く維持していく姿勢を明らかにしています。

 物価を規定するもう1つの要因である予想物価上昇率に関しては、人々の物価に対する見方が下振れないように、「中長期的な物価安定の理解」という形で、消費者物価の前年比がプラスの状態を実現することが大事であるという姿勢をはっきりと示しています。日本銀行としては、デフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長を実現するため、今後とも、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針です。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 11:20 | 政治・経済・調査結果
2010年04月10日

白川総裁が郵貯について「金融システムの安定上懸念」と米国例を挙げて表明

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀の白川総裁は、7日、金融政策決定会合後の記者会見で、「景気の二番底はかなり薄れた。自律回復の芽が幾つか見られる」と述べ、注目された。事実、今回の会合では、景気判断を従来の「持ち直している」から、「持ち直しを続けている」に上向かせている。一方、当面の金融政策については、景気が持ち直しても緩和政策を維持することを、全員一致で決定し、デフレ脱却に向けて政府との協調姿勢を改めて強調した形になった。

 白川総裁はこの9日で、総裁就任2年となるが、その手堅い政策手法は内外から一定の評価を受けている。特に、民主党政権誕生後は、政府の経済金融政策との協調姿勢を、折に触れて鮮明にし、経済金融に弱いと揶揄されている現政権を、よくサポートしている形となっている。だが、白川総裁は「芯の強さ」でも有名で、言葉は穏やか丁寧だが言うべきことは言うといわれており、この日の会見でも、「郵貯」については、はっきり「懸念」を表明していた。その会見の模様は次の通り。

 (問)郵貯の限度額が2倍に引き上げられるとの決定が閣僚懇でなされたが、民間からは、限度額引上げに反発する声がある。また、長い目でみると金融システムに歪みが出るのではないかとの指摘もあると思うが。

 (答) まず、郵政改革については、先般、郵貯の預入限度額や郵政グループへの政府の出資比率に関する政府としての方針が示されたものと理解しています。中央銀行の立場から重要と思われる点を申し上げると、金融システムの安定を維持していく上では、政府と金融の関わり方は非常に重要な論点であると思っています。今回の金融危機の震源地である米国を例に取ると、GSE(政府支援法人、Government−SponsoredEnterprises)という暗黙の政府保証を有した公的金融機関の経営難が問題となったわけです。

 このことからも明らかなように、政府と金融の関わり方は極めて重要であり、郵政改革も、長い目でみてわが国の金融システムや金融市場に大きな影響を与える可能性があることを十分に踏まえて実行する姿勢が大事であると思います。現在、世界的に、金融システムの安定を巡る論点の中で「too big to fail」の扱いが問題となっていますが、例えば郵貯は公益性の高い民間企業と位置付けた場合、どの程度の規模が適切なのか、あるいは民間金融機関との競争条件の公平性をどのように確保するのかや、郵政事業を新しい経営形態に再編する中で、金融業とその他の事業のリスク遮断をどう実現するかといった点は重要な論点であり、しっかり検討する必要があると思います。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:12 | 政治・経済・調査結果
2010年04月08日

国家戦略室「中期財政健全化」に向けて「考え方」を公表。具体的目標、数字は盛り込まず

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 仙石由人国家戦略担当大臣を中心とする「中期的な財政運営に関する検討会」は6日、財政再建に向けた考え方をまとめ公表した。検討会は政治家と有識者で構成され、1月下旬から5回にわたり会議を開いてきたが、6月の取りまとめに向け、その戦略的な考え方を提示したもの。だが、公表されたものは「公的債務残高の対GNP比を安定的に縮減していく」ことを掲げているが、数値目標は盛られておらず、まだ、中間報告というほどにもなっておらず、まさに「論点整理」の域を出ていない。

 さらに、閣内からは「これはあくまでも有識者の意見を集約したもの」(菅副総理兼財務大臣)という、突き放した意見が出るなど、政権内で認知されるには曲折が予想される。事実、今後の段取りについても、取りまとめた当の古川国家戦略室長が、「どう具体化していくかは総理と相談してから」と述べるなど、まだ先が見えてこないのが実情。「まとめ」は財政健全化の必要性等も縷々述べているが、「論点整理」のポイントだけを見てみると、次の通りである。

「中期的な財政運営に関する検討会 論点整理のポイント」
T 基本的な考え方
〜正直を第一として慎重な経済見通しを前提に〜
 国民は、政府が雇用や社会保障等、国民のセーフティーネットを確保することをより一層求めている。政府がその役割を果たしていくためには、財政健全化は不可欠であり、これが人々の将来への不安を解消し、経済成長への足がかりともなる。財政再建プランは、新成長戦略の目指す成長率とは区別した、プルーデント(慎重)な経済見通しを前提とする。正直を第一とし、国の会計間の資金移転や赤字の付け替え等に依存した財政運営を行うことは厳に慎む。また、財政ルールへの強いコミットメントを確保すると共に、景気変動に対する柔軟性の仕組みもルールの中に織り込む。

U 財政運営戦略のイメージ
〜フローとストックの両方の目標を設定〜
<財政健全化目標>
 例えば下記のような段階的な目標を設定。中長期の財政健全化目標は、国のみならず国・地方を対象とする。ゴール/マイルストーン(例) 達成目標時期
(1)公的債務残高の対GDP比を安定的に縮減させる。(ストック目標)
=所要のプライマリー・バランス黒字を達成。(フロー目標)
○○年度
(2)プライマリー・バランスの均衡を達成。
○○年度
(3)プライマリー・バランス赤字(対GDP比or金額)を半減。
○○年度
(4)2011〜13年度の3年間において、後述のような中期財政フレームを設定。
(2013年度)
(注)フロー目標については、プライマリー・バランスに代えて財政収支を用いることも考えられる。(例えばEUは財政収支赤字の対GDP比▲3%以内が基準。)

<財政運営ルール>
 財政健全化目標を確実に達成するため、以下のような財政運営ルールを組み合わせていくことが考えられる。
(1) 政治主導・トップダウン型の新たな予算編成方式
(2) ペイアズユーゴー原則:恒久的な歳出増又は減税は、恒久的な歳出削減又は歳入確保により、見合いの財源を確保。
(3) 財政赤字(又は構造的財政赤字)縮減ルール:目標達成に向けた期間中、財政赤字(又は景気循環要因を除いた「構造的財政赤字」)を一定割合改善。

V 中期財政フレームのイメージ
〜歳出の大枠について拘束力を持ち、枠内の配分には弾力性を〜
 中期財政フレームは、向こう3年間(当初は平成23〜25年度)の歳出の大枠について拘束力を持ち、これに沿って各年度の具体的な概算要求及び予算編成をうものとする。マクロの総枠の拘束力と、ミクロの配分の弾力性の融合が重要。
 最低限、「ペイアズユーゴー」の原則を採り入れ、社会保障を含む政策的経費についての恒久的な歳出増は、恒久的な歳出削減又は税制措置によって賄うといったことを検討すべき。歯止めのない国債発行額増加の抑制へ向けた、政府の強いコミットメントを示すべきである。

Wその他
 国民に必要な公共サービスを確保していくため、可能な限りの歳出改革に加え、税制の抜本改革を実現していくための本格的な議論を進めるべき。財政健全化は国民共通の、長期間にわたる課題であり、党派を超えた取組が行われることが望まれる。

 最近、米政権が取り入れている「景気変動に対する柔軟性」や「ペイアズユーゴー」の原則がはいっているが、これらは有識者つまり経済学者の意見かもしれない。だが、これからそのような考え方を、わが国の政治的、経済的環境の中で、政策的にどのように収斂させていくのか見ものである。さらに「党派を超えた取組」を強調しているが、これを進めていくと、将来の政党関係、そして政界地図にも影響を与えそうである。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 13:41 | 政治・経済・調査結果
2010年04月07日

日銀の新・審議委員に最年少の宮尾龍蔵氏。かつて著書で金融政策の限界に言及!?

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 去る3月26日に日銀の審議委員に就任した宮尾龍蔵氏が就任記者会見を行い抱負を述べた。宮尾氏は昭和39年生まれ46歳で、最年少審議委員。神戸大学経済学部卒で、直近まで同大学の経済経営研究所長を勤めてきた学窓一筋の人。専門は金融・マクロ経済分析・研究で、特に最近は、日本の金融政策あるいはマクロ経済に関する実証分析に従事し、多数の論文や著書を発表している。冒頭、「現在の経済・物価動向に対する認識」について質問が飛んだ。

 「世界金融危機後、日本経済は大変厳しい落込みを経験してきました。そして、各国の政策対応あるいは新興国の力強い成長等により、足許はかなり持ち直してきていると言えるのではないかと思いますが、雇用・所得環境は依然として厳しい状況であると思います。先行きに関しましても、いろいろなリスク要因あるいは不確実性があるだろうと思っており、冒頭申し上げたように、情報収集や色々な分析を通じて、しっかり情勢判断をしていきたいと考えています」

 まずは無難な受け答えだが、次に、「デフレからの脱却に向けて、日銀の金融政策はどうすべきか」について聞かれると、

 「今回の世界金融危機後の世界的な景気の低迷に伴って、将来に関する不確実性やリスク、不安があり、これらが人々や企業の支出を抑制、低迷させています。それが現在の需要不足、需給ギャップの主な原因だろうと思います。そして、その需給ギャップがデフレの主要因であると私自身は理解しています。その意味では、世界経済の持続的な回復、それを実現するための政策対応が非常に重要になってくるわけですが、一方で、相次ぐ経済対策の結果、今度は財政赤字や財政破綻という懸念も広がっています。これは、各国共通の問題かと思います。

 そういった中で、日本に関しては、短期的な視点での政策も重要ですが、中長期的な視点から、規律の確保をしっかりと担保しながら色々な政策を行っていくことが、非常に大事であろうと思っています。金融政策に関しては、これからもきわめて緩和的な環境を維持することによって、企業や家計の前向きな取組みを金融面から支援していくこと、そういう支援を継続していくことが、重要なのだろうと考えています」

 現在の日銀の金融緩和政策を支持、あるいは補強する考えを述べた宮尾氏だが、実は氏は、かつて著作の中で、日本経済の長期的な停滞の原因として生産性の低下を挙げている。つまり、金融政策で総需要を調整することについては、どちらかといえば懐疑的であり、おそらく、日銀の仕事ではない構造調整の方をむしろ重視している立場であると思われていた。その点を記者に衝かれると、

 「私がこれまでの色々な著作あるいは論文等で申し上げてきたことは、1990年代末から2000年代初頭にかけての、日本が本当に苦しく、いわゆるデフレスパイラルと言われたような、あるいは資産デフレが非常に深刻であったり、不良債権問題の解決の出口がみえない、そういった時の評価です。その当時は、金融政策で何かするというよりも、問題の根源は例えば不良債権問題であったり、様々な構造調整が重要であるというように認識していました。その当時の経済状況のもとでは、そうした評価をしていたということには変わりありません。

 ただし、これからまた同じかというと、その前提が、もしかして違うかもしれません。具体的に申し上げると、例えば金融システムの問題に関しては、欧米先進各国は現在、かつての日本のように非常に傷んでいるようですが、日本は、相対的にはそれほど問題が深刻ではないと思います。今後は政策効果について、データや情報の収集等を通じて見極めていきたいと思っています」

 日銀の審議委員は、日銀プロパー、産業界・経済界の有識者そして学者で構成されているが、いずれも高齢化が目立ち、現下の躍動する金融情勢を分析、判断するには、40歳台、50歳台前半の登用が望まれていただけに、宮尾氏の就任をまずは歓迎したい。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 10:51 | 政治・経済・調査結果
2010年04月06日

「中小企業の業況感は依然厳しいが融資条件は大幅に改善」と調査結果を発表

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 金融庁は、中小企業金融の実態把握の一環として、2月、全国の財務局を通じて、商工会議所及び経営指導員等を対象に聴き取り調査したが、その結果を2日次のように発表した。

1.中小企業の業況等に関するアンケート調査

 各都道府県の商工会議所47先を対象に、会員企業の業況や資金繰りの現状と先行き等について聴き取り調査を実施。
○中小企業の業況感・資金繰りは、厳しい状況が続いている
<業況感が厳しい要因>
−「売上げの低迷」の割合が最も大きく、次いで「販売価格の下落」が続く
 −前回調査に比べ、「売上げの低迷」、「販売価格の下落」の割合が上昇
<資金繰りが厳しい要因>
−「中小企業の営業要因(販売不振・在庫の長期化等)」の割合が最も大きい
 −前回調査に比べ、「中小企業の営業要因」の割合が上昇し、「金融機関の融資態度・融資条件」の割合が低下

2.金融機関の融資動向等に関するアンケート調査

 各地域の商工会議所・商工会の経営指導員等574名を対象に、中小企業への融資姿勢や、中小企業に対する貸付条件の変更等への対応に関する評価等について聴き取り調査を実施。
○中小企業への融資姿勢
 −積極的評価:60.9%、消極的評価:10.4%
前回調査では、積極的評価:53.8%、消極的評価:15.0%
 −積極的評価が最も大きいのは政府系金融機関。次いで、協同組織金融機関、地域銀行、主要行の順
○中小企業に対する貸付条件の変更等への対応
 −積極的評価:61.2%、消極的評価:7.2%
○コンサルティング機能発揮に向けた取組み姿勢
 −積極的評価:37.9%、消極的評価:12.0%

 依然として中小企業を取り巻く環境は厳しく、売上は低迷し、資金繰りも苦しいという結果になっている。だが、中小企業への「融資姿勢」は大幅に改善されているという。これは、「中小企業円滑化法」施行の『おかげ』ということになるのだろうが、些か金融庁の手前味噌の感じがしないでもない。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:56 | 政治・経済・調査結果
2010年04月03日

公取委が「25%削減」に向けて研究を進める「国内排出量取引制度」

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 公正取引委員会は、去る、3月末に国内排出量取引制度における論点を整理した中間報告『地球温暖化対策における経済的手法を用いた施策に係る競争政策上の課題について』を発表した。新たな環境政策の本格化に伴い、事業者間の競争にも影響を与えるとの判断からだ。公取委は政権交代がなり、鳩山首相が世界に向けて、「温室効果ガス25%削減」を宣言した、昨年9月以降、「政府規制等競争政策に関する研究会」(座長代理、井出秀樹慶応大学教授)を設け、競争政策上の論点を整理してきたが、今回はその中間報告である。まず、国内排出取引制度に関わる競争政策研究の目的についてこう述べる。

 「我が国は,京都議定書に基づき,平成2年を基準年として,平成20年から平成24年までの間に温室効果ガスを6%削減しなければならないこととされている。また,我が国は,平成21年9月,我が国の中期目標として,すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意を前提に,平成32年までに平成2年比で温室効果ガスの25%削減を目指すことを表明している。さらに,国際的にも,平成21年12月,国連の気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)が開催され,京都議定書の次期枠組は合意されなかったものの,次期枠組に関する議論が継続されることになった。
 こうした状況の下,地球温暖化対策の施策の1つとして,諸外国で既に導入されている国内排出量取引制度について,我が国においても制度の本格的な導入に向けた議論の進展が予想される。同制度は事業者間の競争に影響を与えると考えられることから,公正取引委員会は,導入が想定される同制度の内容及びそれに関する民間商取引について,競争政策上の観点から論点等の検討を行った」

 報告書では,地球温暖化対策に関する事実関係とともに,導入が想定される排出量規制に関する競争政策上の論点ごとに,競争への影響等を取りまとめている。また,事業者等による独占禁止法違反行為の未然防止と事業者等の適切な活動の展開に資するため,排出量規制に伴う事業者等の行為のうち、独占禁止法上問題となり得る行為についても明らかにしているが、取り上げられた具体的な項目は,以下の通り。

(1)排出量規制に係る競争政策上の論点
 ア:排出枠の割当方式が競争に与える影響
 イ:費用緩和措置が競争に与える影響
 ウ:排出枠及び外部クレジットの取引が競争に与える影響
 エ:中小規模の事業者への規制等が競争に与える影響

(2)排出量規制に伴う事業者等の行為のうち独占禁止法上問題となり得る行為
 ア:排出量削減の実施に伴う共同行為
 イ:排出量削減に伴う費用負担の増加に対応するための共同行為
 ウ:排出量の削減に関する共同研究開発
 エ:排出量の算定に関する基準等の策定
 オ:外部クレジット制度の実施に関する行為
 カ:融資事業等に関する行為

 鳩山首相が掲げた「25%削減案」については、外国の評価はともかく、国内では、その目標自体を疑問視する声も依然多く、実現への途は限りなく遠いといわれている。だが目標数字の如何はともかく、排出量規制事態は至上命題で、そのためには、国内排出取引制度の確立と、その取引をめぐる事業者間の行為が、公正かつ自由な競争が行わなければならないことは自明である。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:08 | 政治・経済・調査結果
2010年04月01日

農水省、「農業基本計画」を発表。「食料自給率50%」、「6次産業」等を盛り込む

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 農水省はかねてから新たな「食料・農業・農村基本計画」を策定してきたが、30日の閣議決定を経て、その内容を発表した。この作業は平成21年の初めの自民党政権から進められ、昨年の政権交代期に、事実上中断、その後も委員の入れ替えや答申案の見直しなど曲折があったが、ここに来てやっとまとまったという感じだ。

 ポイントは「食料自給率50%」を目指すということと、「戸別補償制度」の創設、そして農業を「第6次産業」と位置づけたことだが、すでに取り上げられてきたテーマが多く、一読して、それほど「新鮮な」内容とは映らなかった。それは、農業自体がわが国の産業や社会の中で、圧倒的な地位と存在感を示していた時代との「隔世感」によるものかもしれない。だが、農業はわれわれの食と国土を根底から支えるもの。そのウエイトが下がったといって、重要性は揺るぐものではない。赤松農水大臣も「談話」で次のように述べている。

 農業・農村の繁栄無くして国家の繁栄はありません。しかし、我が国の農業・農村は、農地の減少、農業者の高齢化、農村の疲弊など、ここ十数年で危機的な状況が一層深刻になっています。この厳しい状況を打開し、「食」と「地域」の再生を図るための大きな道標として、この新たな基本計画を策定いたしました。

 私は、現場で色々な方々の話を聞くにつけ、農業・農村の将来は決して暗くない、という思いを強くしています。例えば、欧米諸国では農村に住むことがステータスとなっていますが、我が国でも徐々に農村の価値が見直されつつあります。都市住民の方は忘れがちですが、農村なくしては都市は存続できません。このため、基本計画においては、「国民全体で農業・農村を支える社会の創造」を新たに掲げました。

 大層な理念や美辞麗句は措くとしても、最近、新規就農者を始めとして、全国で意欲と能力のある農業者が少しずつではあるが出てきているのは事実。また、農業が高い技術と知識を必要とする「魅力ある仕事」の一つに数え上げられてきていることも見逃せない。
 「基本計画」はこのような新しい農業環境の下に、農業者が、自分の才覚を存分に発揮できる仕事に、誇りを持って取り組めるよう条件整備をすると述べているが、「農村の6次産業化」、つまり、農業を成長産業に、いかにして育てていけるか、また、農村においては、バイオマス等地域資源を活用した新産業等を創出し、所得と雇用を生み出せるかがカギだ。

 サブタイトルを「<食>と<地域>の再生のために」としたのも、この意味からだという。今回の「基本計画」自体は、5年に一度の定期的策定期の作業だが、関係者からは、「どこまで民主党色、政治主導色が出せたか、自民党政権時の作業と官僚の作文の『糊とハサミ』の作業に、戸別所得補償などの色付けをしただけ」との厳しい意見も聞かれる。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 14:45 | 政治・経済・調査結果
2010年03月31日

「改正貸金業法」の骨子まとまる。銀行・信金の社会的責任と参加を強調

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 金融庁は24日、「改正貸金業法完全施行に向けた対応」について、貸金業制度に関するプロジェクトチーム(PT)の座長試案(座長・大塚耕平金融庁副大臣)をPTメンバーに提示した。今後、関係省庁等のほか、多重債務者対策本部有識者会議の意見も踏まえ、最終案確定に向けて可及的速やかに検討を進めるとのこと。

 改正貸金業法は、多重債務問題が深刻な社会問題化したことを受けて、平成18年12月に、国会において全会一致の賛成により成立した。同法は、貸し手への適切な規制を通じて新たな多重債務者の発生を防ぐ一方で、急激な与信の引締め等が生じないように段階的に施行されてきたが、本年6月までの完全施行に向けて、その附則において、「改正後の規定を円滑に実施するために講ずべき施策の必要性の有無について検討を加え、その検討結果に応じて所要の見直しを行う」旨が規定されていた。そして、この間、関係省庁である金融庁、消費者庁の副大臣、大臣政務官及び法務省の大臣政務官から構成される「貸金業制度に関するPT」が設置され、次のような論点をまとめた。

「改正貸金業法の完全施行に関する論点」
1.改正貸金業法の経緯・状況
(1)経緯(略)
(2)状況
 借り手の状況
・5件以上無担保無保証の借入れを行っている者の割合は減少
− 14.7%(19/3)→5.8%(21/12) 
・1人あたりの借入残高も減少
− 116.9万円(19/3)→81.5万円(21/12)
・上限金利の引下げ前に、消費者金融の貸付金利は低下
− 23.0%(18/3)→17.8%(21/9)
・全都道府県、9割の市区町村で多重債務相談窓口が整備済み
・一方で、完全施行により、借り手の5割程度が総量規制に抵触する可能性

 貸金業者の現状
・貸金業者は、業者数が近年大幅に減少
− 過払金返還負担の高止まり、貸付金利の引下げ、新規与信の厳格化が主たる要因
・消費者ローン大手4社の損益等も厳しい状況

2.貸金業の位置付けについて
(1) 個人に対し、無担保・無保証で迅速に小口の資金を貸付け
− 銀行等は、企業金融が中心。個人向けも、住宅ローンなど担保があるものが中心で、貸付審査にも一定の時間が必要。
(2) 事業者向けについては、信用力が低い事業者に対しても、迅速に資金を貸付け
− 銀行等は、貸金業者と比較すると、<1>貸付審査に時間がかかる、<2>ある程度の信用力を有する企業を融資対象とする、<3>担保・保証を必要とする場合が多い、などが特徴。
(3)貸金業法により、貸金業者を(ミドル・リスク、ミドル・リターンの)消費者金融市場の一つの重要な担い手と位置づけ

3.日本における消費者金融の現状と将来像等
(1)我が国の金利の実勢は、「ふたこぶ」の状況
(注)低金利帯(4%以下)では銀行等が主として貸付けを行う一方、貸付金利の低下など状況に改善は見られるものの、高金利帯(20%程度)では貸金業者が主として貸付けを実施
(2)今回の改正により、上限金利の引下げ及び貸金業者に係る総量規制を実施 
(3)貸金業者の適正化と銀行等の個人向け貸付けへの一層の取組みにより、「ひとこぶ」となる消費者金融市場の形成を期待 

 以下、「総量規制に抵触している者の借入残高を段階的に減らしていくための借換えの推進」「個人事業者の安定的な「事業所得」を総量規制の「年収」として算入」など、「借り手の目線に立った10の方策」をまとめるなど、きめ細かい内容となっている。つまり、今回の「見直し」のポイントは、「健全な消費者金融市場の形成」にあり、そのためには、消費者向け貸付けについて、「銀行・信金等による社会的責任も踏まえた積極的な参加が望まれる」と結んでいる。ゼロ金利政策が15年も続く中、消費者金融だけが10数%という「高金利」、しかもメガバンクが系列に消費者金融を抱え、事実上、消費者金融市場を制覇しつつある現状を、今回の「見直し」で、どのように改善、改革できるのか注目したい。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 19:30 | 政治・経済・調査結果
2010年03月30日

菅副総理が「抱き付き作戦」に出た自民党の「財政責任化法案」とは

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 12日に自民党が発表した「財政健全化責任法案」がにわかに注目を集めている。鳩山政権の最重要閣僚である菅副総理兼財務大臣と仙石国家戦略担当大臣が「大いに参考にしたい」「一緒にやりたい」と秋波を送り、「抱き付き作戦」に出てきているからだ。22年度予算は何とか成立させたものの、来年度以降の財政運営は財源不足で、まったく先が見えない中、6月にまとめると約束している「中期財政プログラム」も妙案は見出せず白紙の状態。そこへ自民党からこの提案。読んでみれば考え方も共通するところも多いということで、与野党一緒に研究会をと、持ちかけている。自民党内には「敵に塩を送ることはない」との意見もあるが、国会運営で全く攻め手を欠いている現在、何か国民にアッピールするものを行いたいという思いも強く、超党派のテーブルづくりが進みそうな雰囲気である。

 さて、この法案だが「国等の責任ある財政運営を確保するための財政の健全化の推進に関する法律案」と、やたら長いが、要するに、国や地方に財政健全化の責任を持たせ、目標や中期計画を策定させ、予算作成における遵守事項、さらには安定財源確保のための税制改革等を確保させようというもの。しかし、ただの「お題目法案」に終わらせないため、法案の中に、次のような具体的な「目標」を盛り込んでいるところがポイント。

 1.平成33年度以降において、一会計年度末の国の長期債務残高及び地方公共団体の長期債務残高の合計額の対国内総生産比が、安定的に低下する財政構造を実現すること。
 2.上記の達成のため、国の基礎的財政収支額及び地方公共団体の基礎的財政収支額の合計額(当該合計額)を、次の通り改善すること。
 ・平成32年度までを目途に、当該合計額の黒字化を確実に達成すること
 ・遅くとも平成27年度までに、当該合計額の対国内総生産比を平成22年度の当該合計額の対国内総生産比の2分の1以下とすること。

 つまり、今から10年後にプライマリーバランスを黒字化し、5年後には国と地方の財政赤字の額をGNPの半分以下に抑えようというもの。これはかなり高いハードルである。これをクリアするためには「成長戦略」「税制改革」「行政刷新」の3つを機能的に展開していく必要があるが、そのためには「まず隗より始めよ」である。政治・行政の膝元である国会費用の縮減、国会議員の定数削減、そして国家公務員、地方公務員の大幅削減から手をつけるべきであろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:05 | 政治・経済・調査結果
2010年03月28日

総務省「自動車関係税制研究会」を立上げ、「地方環境税」への準備促進

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 総務省は26日、「地方環境税」導入のための研究会を立ち上げ、第1回目の会合を30日に開催すると発表した。名称は「自動車関係税制に関する研究会」(座長・神野直彦・東大名誉教授)。総務省はその趣旨について、次のように語る。

 地球温暖化対策を推進するためには、地域において主体的な取組を進め、地球環境に貢献することが求められています。平成22年度税制改正の議論の過程においても、自動車関係諸税について環境への負荷に応じた措置を行うことが必要とされています。
 また、「緑の分権改革」においては「地域の自給力と創富力を高める地域主権型社会」を実現するための柱として低炭素型の社会構造への転換を進めることが求められており、環境への負荷に応じた自動車に対する課税のあり方を研究することは、この点にも資することとなります。
 これらを踏まえるとともに、納税者の視点から、CO2の排出抑制に寄与する自動車に対する簡素な課税のあり方等を検討するため、総務大臣の指示により研究会を開催します。

 研究項目は、地球温暖化対策や「緑の分権改革」に資する観点からCO2の排出抑制に寄与する車体課税のあり方を検討するとともに、複雑な自動車関係諸税の簡素化等についても検討することになる。そして。座長以下の委員は次の通りだが、相変わらず大学関係者が多数を占めている。また、「地方環境税」を視野に入れていることから、東京都と北九州市の幹部職員が入っており、12人中、女性委員が4人というのも経済、税制関係の研究会では珍しいこと。ここにも民主党政権の特色が出ている。

(座長)
 神野直彦 東京大学名誉教授
(委員
 井手英策 慶應義塾大学経済学部准教授
 大塚直 早稲田大学大学院法務研究科教授
 勝原雄一 北九州市財政局東部市税事務所長
 小西砂千夫 関西学院大学大学院経済学研究科・人間福祉学部教授
 佐藤英明 神戸大学大学院法学研究科教授
 塩入みほも 駒澤大学法学部・大学院法学研究科准教授
 勢一智子 西南学院大学法学部教授
 田中里沙 「宣伝会議」編集室長
 辻琢也 一橋大学大学院法学研究科教授
 目黒克昭 東京都主税局税制部長
 渡井理佳子 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:48 | 政治・経済・調査結果
2010年03月25日

「郵政改革法案」まとまる。完全民営化路線放棄で「民業圧迫」批判噴出は必至

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 「郵政改革法案」の最終案が23日に固まり、24日記者会見で発表されることになった。内容は<ゆうちょ銀行>の預け入れ限度額(一人当たり1000万円)を2000万円まで、<かんぽ生命>補償限度額(原則1000万円)を2500万円まで引き上げるというもの。

 また、<ゆうちょ銀行>、<かんぽ生命保険>の全株式を売却する「完全民営化」方針を撤回し、政府が出資する親会社が3分の1を超える株式を保有し続けることになる。この郵政改革を主導したのは亀井静香郵政改革担当大臣だが、先週16日のフリーの記者を対象にした記者会見で、「改革」の狙いについて次のように話していた。

 「これは、なかなか大変ですよ。ある意味、一方では、世界一の会社でしょう。だから、日本経済に与える影響があれば、世界経済に与える影響もあるわけですし、民間のいろいろな事業をやっている人に対しても影響を与えてくるわけですしね。そういう中で、他の民業と一緒になって日本を元気にしていく、地域を元気にしていくというにはどういうあり方が良いかという。私も神様ではないですから、黙って座ればピタリと当たるようなわけにはいきませんが。良い考えがあったら教えてくださいよ。本当のことを言って、今もまだどうしようかと揺れているところがあるのですよ。はっきり言って、難しいですね。
 昨日も広島で、(中国)財務局長、また地元の信用金庫、信用組合や第二地銀等の皆さん方と懇談したのですけれども、やはり、特に(ゆうちょの預入)限度額、それと新しい事業への進出等について、自分たちが、でかい波にさらわれるのではないかというような、ある意味での不安感みたいなものが相当ありましたね。

 ただ、私が言っているのは、メガバンクを含めた今の金融機関、そんなに「かなわん、かなわん」、「守ってくれ、守ってくれ」と言うことだけではなくて、自分達もビッと前に出ることをやらないと駄目です。今は、金融界を含めて、それがないですよね。だから、今、お金を貸さないで手数料で稼ごうとばかりしているでしょう。だから、そういう意味では、やはり、郵政の再出発に対して怯えるだけではなくて、自分達が、そういう事態に対してどうやるかということを考えなければいけません。保険会社を含めた既存の金融機関が、「自分たちの立場が大変になる」ということだけが先に立ってしまっています。それでは駄目ですよ。大事な血液を預かっている金融界が、そんな弱気では駄目ですよ。「郵政何するものぞ、出てこい」というぐらいのところがないとね。

 亀井大臣は最終案をまとめるにあたり、やはり、「民業圧迫」との批判にどう答えるかで苦労していた様子が伺える。当初、<ゆうちょ銀行>の預け入れ額は国民新党案が2500万円、民主党案は1500万円だから、ちょうど、その中間の2000万円で折り合った形になった。だが、全国一律サービスの分野では、これまでは郵便事業のみが義務化されていたが、最終案では金融事業にも全国一律サービスを義務化し、グループ内での消費税を免除するという特典を与えた。この金融事業の全国一律サービスこそ、亀井大臣が一番実現したかったこと。だから、記者の「貯蓄から投資へ」の時代の流れに逆行しないかとの質問に、ムキになってこう答えていた。

 それは、指摘している評論家はあほな評論家ですね(笑)。そんなことは考えてもいないですよ。これは、むしろ(個人金融資産の)1,500兆円のそういうお金なども、産業資金を含めてどんどん使われていくという状況にならないと、デフレギャップからは脱出できません。それは、もう基本的なことだと思いますよ。「流れ」というか、やはり、この政権は需要を出していく、それを従来のような公共事業中心ではなくて、福祉経済という面で出していこうという。

 しかし福祉経済だけでは、これは漢方薬みたいなものです。直ちには効かない。それと同時に、今大事なのは、大胆な緊急対策を打つことです。漢方薬みたいな、今まで自公(政権)がやらなかったことをやるのと同時に、直ちに内需が出てくる対策を状況を見て対応していくということをやらなければいけないでしょうね。やはり、簡単に言うと、需要を出していくということなのです。公明党の、最近の民主党接近に、業を煮やしている亀井さん。郵政改革で存在感を増そうと必死の頑張りのようである。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 12:02 | 政治・経済・調査結果
2010年03月12日

須田美矢子審議委員、不況脱出には「構造的問題の解決が急務」と指摘

「霞ヶ関発・兜町着」直行便 日銀の須田美矢子審議委員は、10日、第5回日本CFO円卓会議のパネルディスカッション「不況脱出に向けた日本の挑戦」に出席し、次のようなスピーチを行った。ちなみに日本CFOは企業の最高財務責任者の集まり。

 日本経済の現状ですが、日銀では、国内民間需要の自律的な回復力はなお弱いものの、内外における各種対策の効果などから、景気は持ち直しているとみています。先行きにつきましては、政策効果の剥落や厳しい所得環境が続く中で、個人消費が横ばい圏内で推移するなど、日本経済の持ち直しのペースは、当面、緩やかなものに止まる可能性が高いとみています。しかし、少し長い目でみれば、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及していくにつれ、日本経済の成長率も徐々に高まっていくとみています。輸出の背景にある世界経済につきましては、新興国・資源国の力強い成長が続くほか、欧米諸国の回復のモーメンタムも途切れることはないとみており、世界経済全体として回復基調が続くと想定しています。他方、物価面をみますと、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の動きなどを反映する形で下落幅を縮小させています。当面、現状程度の下落幅で推移しますが、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、下落幅は再び縮小していくと予想しています。

 これは、須田委員の個人見解ではなく、日銀政策委員のメインシナリオであるが、内閣府と財務省が国民に対して、日本経済に関する有効な情報発信や解説を為し得ていない今日、大いに参考になる。そして、このメインシナリオの不確実性についても触れることを忘れない。さすがに日銀の幹部、慎重である。

 こうしたシナリオに関する不確実性は、リーマンショック以降高い状態が続いています。まず実体経済につきましては、新興国・資源国の経済の強まりなどの上振れ要因がある一方、米欧のバランスシート調整の帰趨や、企業の中長期的な成長期待の動向といった下振れ要因が挙げられます。また、物価につきましては、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上振れリスクがある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下といった下振れリスクも意識しています。なお、私自身としましては、以上でお示ししたリスク要因は、不確実性が高いもとで、上下両方向にほぼバランスした状態であるとみています。

 須田委員は、「このような経済・物価情勢の現状・先行きに対する認識のもとで、日銀では、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することを促すために、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針であり、具体的な金融政策運営に当たっては、引き続ききわめて緩和的な金融環境を維持していく」と述べ、続いて、日本が抱えている構造問題に目を向ける。
 現在、わが国の企業や家計の間では、先行きに対する不透明感や閉塞感が漂っています。こうした沈滞したムードの背景には、私が改めて指摘するまでもなく、少子高齢化、グローバル化、財政債務問題といった構造的な難問が存在しているように見受けられます。こうした構造要因が経済に与える影響について考えてみますと、まず少子高齢化は、労働力率(労働力人口/15歳以上人口)の低下や、貯蓄率の低下による資本ストックの減少を通じて、一人当たりGDPの減少に繋がると考えられます。また、年金問題や財政のサステナビリティへの不安が高まることによって、人々のマインドや期待成長率にも悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、グローバル化に関してみますと、近年、日本と新興国・資源国との係わりが強まっていますが、そうした変化にわが国の輸出構造を如何に対応させていくかが課題となっています。財政債務問題につきましても、財政再建の目途が立たず、公的部門の民間経済への関与の度合いがどうなっていくのか、想定することが難しくなれば、企業などの民間経済主体にとっては、今後の経済活動を計画する上での不確定要因になりかねません。

 須田委員は、こうした構造問題への取り組みが、継続的な経済成長を遂げていくために、避けて通ることのできない重要な課題であるとし、その構造問題と金融政策との係わり関りについて、次の2点を指摘する。

 第一に、中長期的に物価安定を維持させるということです。ここで重要なポイントは中長期的な見通しであり、先行き物価が安定に向かうかどうかという点です。日銀の「中長期的な物価安定の理解」は、消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度が中心となっています。こうした物価安定のもとで、各種の経済主体は相対価格の変化を正確に認識することができ、構造的変化への対応を適切に行なうことが可能となると考えられます。
 第二に、痛みを伴う構造改革が進んでいる場合には、金融緩和によってその痛みを和らげることが可能になります。例えば、1990年代のバブル崩壊後や、1990年代後半のアジア通貨危機時における日本のケース、1990年代初頭の米国のケースなどでは、金融政策が景気底割れを防ぐ役目を果たしました。ここで注意しなければならないのは、金融政策は構造改革の進展を間接的に支えることはできても、構造改革そのものを進展させる効果はないということです。現在のところ、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復することを促すために、緩和的な金融環境を維持することが最優先課題ではありますが、景気回復と並んで、必要な構造改革を果敢に進め、構造変化に応じた新陳代謝を促していくことも、現在の日本経済にとって重要な課題と言えます。また、構造改革が先送りされたままでは、金融政策に期待される景気浮揚効果も減殺されてしまいかねません。

 「景気回復と同時に構造改革を」との指摘は、本来ならば政府や財政当局が声高に叫ばなければならないこと。しかし、今の民主党・鳩山政権の閣僚、政務三役にこれだけの経済分析と解説・説明をする人材は残念ながらいない。わずかに峰崎直樹財務副大臣の名が上がるが、この人は残念ながらこの夏の参院選に公認されず、政界を引退する。景気と経済そして金融について、現状と将来展望を明快に説明できる人がもっと欲しい。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:39 | 政治・経済・調査結果