【株式市場フラッシュ:9月5日〜9日の週の日本株式市場】■日経平均株価、TOPIXともに、3週ぶりに下落して年初来安値圏
9月5日〜9日の週の日本株式市場では、日経平均株価(225種)、TOPIXともに、週間ベースで3週ぶりの下落となった。日経平均株価は6日の終値が8590円57銭となり、東日本大震災直後の3月15日の終値8605円15銭を割り込んで年初来安値を更新した。
世界的なリセッション(景気後退)やソブリンリスク拡大に対する警戒感が強く、米国、欧州、中国の主要経済指標にも強弱感が交錯しているため、日本株式市場は引き続き海外要因に神経質な展開となった。外国為替市場で円が高止まりしていることも下押し要因だった。
米国の主要経済指標は引き続き強弱まだら模様だった。6日の米8月ISM非製造業景況感指数は小幅改善したが、7日の米地区連銀経済報告(ベージュブック)では「いくつかの地域で活動が弱含んでいる」との判断が示された。8日の新規失業保険申請件数は市場予想以上に増加した。
バーナンキ米FRB議長は8日の講演で、追加金融緩和に関する具体的な内容に言及しなかったため、株式市場では失望感につながった。オバマ米大統領は8日の議会演説で、予想を上回る約4470億ドル規模の景気・雇用対策を発表したが、議会での審議難航が予想されているうえに、効果に対しても懐疑的な見方が広がった。
ユーロ圏に関してはソブリンリスクに対する警戒感が強まった。8日にはトリシェECB総裁が、理事会後の記者会見で「欧州経済の不安定性は極度に高い」と発言した。9日にはECBのシュタルク専務理事の辞任が発表され、ギリシャなどに対する金融支援策に関してECB内部の意見対立が警戒された。ギリシャ政府がデフォルト(債務不履行)を宣言するとの噂も広がった。このため週後半の欧米市場では、外国為替市場でユーロ売りが加速し、株式市場も大幅下落した。
中国では9日に主要経済統計が発表され、注目の8月消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.2%上昇となった。伸び率は7月の6.5%を下回ったためインフレのピークアウトが近いとの見方もあるが、3カ月連続の6%台と依然高水準のため、日本株式市場では警戒感につながった。
国内では、7月機械受注が前月比8.2%減少して市場予想を下回り、8月工作機械受注では外需が前月比20.8%減少した。4〜6月期実質GDPが設備投資の下振れで下方修正されたこともあり、日本株式市場では設備投資関連セクターへの売りにつながった。
外国為替市場のドル・円相場は、リスク回避のドル売り・円買い圧力、量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑、円売り市場介入に対する警戒感が交錯する状況が続き、概ね1ドル=76円台後半〜77円半ばの円高水準で膠着感を強めている。ユーロ・円相場は、ソブリンリスクに対する警戒感でユーロ売りが加速し、週末9日の海外市場では一時1ユーロ=105円30銭台まで円が上昇し、01年7月以来の円高水準となった。
テクニカル面で見ると、日経平均株価の週末9日時点の移動平均線に対するマイナス乖離率は、25日移動平均線に対して1.58%、75日移動平均線に対して7.56%、200日移動平均線に対して11.26%となり、いずれも前週末2日時点に比べてマイナス乖離を広げた。東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は週末9日時点で99.8%となった。
日経平均株価の終値ベースで1週間の騰落状況を見ると、週初の9月5日は前週末(2日)比166円28銭(1.86%)安で大幅続落、6日は前日比193円89銭(2.21%)安で大幅に3営業日続落、7日は前日比172円84銭(2.01%)高で4営業日ぶり大幅反発、8日は前日比29円71銭(0.34%)高で小幅続伸、9日は前日比55円46銭(0.63%)安で3営業日ぶり反落した。日中の値幅は5日が85円38銭、6日が121円58銭、7日が70円48銭、8日が118円91銭、9日が77円50銭だった。
日経平均株価の週末9日の終値は8737円66銭となり、前週末2日の終値8950円74銭に比べて213円08銭(2.38%)下落した。週間ベースでは3週ぶりに下落した。取引時間中ベースの週間高値は8日の8876円49銭、週間安値は6日の8588円34銭で、1週間の取引時間中の値幅は288円15銭だった。6日の終値8590円57銭は終値ベースでの年初来安値となった。
TOPIXの週間騰落状況を見ると、週末9日の終値は755.70ポイントとなり、前週末2日の終値769.78ポイントに比べて14.08ポイント(1.83%)下落した。週間ベースで見ると3週ぶりの下落となった。取引時間中ベースの週間高値は8日の763.08ポイント、週間安値は6日の740.39ポイントだった。6日の終値741.20ポイントは、終値ベースでの年初来安値となった。9日時点の終値ベースでのNT倍率は11.56倍となり、2日時点の11.63倍に対して0.07ポイント低下した。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:54
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