■株式市況を振り返って(4月4日〜8日の動き)
日経平均株価の週末8日の終値は9768円08銭だった。前週末(1日)の終値に比べて59円69銭(0.62%)上昇し、終値ベースで東日本大震災発生後の戻り高値となった。取引時間中ベースの週間高値は4日の9808円60銭、週間安値は8日の9536円68銭、1週間の取引時間中の値幅は271円92銭だった。
TOPIXの週間騰落状況を見ると、週末8日の終値は853.13となり、前週末(1日)に比べて9.49ポイント(1.10%)下落した。取引時間中ベースの週間高値は4日の868.72、週間安値は8日の833.06だった。
週初4月4日の日経平均株価は前日比10円50銭(0.11%)上昇、TOPIXは前日比2.87ポイント(0.33%)下落した。前週末1日の米国株式市場の上昇や、外国為替市場での円安進行を好感し、午前は買いが先行した。しかし、東京電力福島第一原子力発電所の事故に対する警戒感が根強いうえに、企業業績に不透明感が強いとして積極的な買いは手控えられ、午後に入って上昇幅を縮小した。結局、日経平均株価は前日比小幅高にとどまり、TOPIXは前日比マイナスに転じた。なお、日銀が震災前と震災後に再集計して発表した3月短観(企業短期経済観測調査)によると、震災後に回答が届いた大企業製造業のDI(業況判断指数)は現状がプラス6、3カ月後の先行きがマイナス2となった。しかし、企業が大震災前に作成していた回答が含まれているとみられるため、特に材料視されなかった。
5日の日経平均株価は前日比103円34銭(1.06%)下落、TOPIXは前日比12.59ポイント(1.46%)下落した。前日4日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が約2年10カ月ぶりの高値水準となった。これを好感して小高く寄り付いたが、東京電力福島第一原子力発電所で低レベル汚染水を海に放出したため、被害拡大の懸念が高まった。好材料が出た銘柄は個別物色されたが、外国為替市場での円安進行には反応薄だった。全体として企業業績に対する警戒感が強く、前日比マイナス圏に転じた後は、ほぼ全面安の展開となって下落幅を広げた。
6日の日経平均株価は前日比31円18銭(0.32%)下落、TOPIXは前日比7.55ポイント(0.89%)下落した。外国為替市場では日本時間の早朝、ドル・円相場では約半年ぶりとなる1ドル=85円台、ユーロ・円相場では約11カ月ぶりとなる1ユーロ=121円台に円が下落した。朝方は円安進行を好感して買いが先行したが、企業業績に不透明感が強いとして積極的な買いは手控えられた。なお中国人民銀行が前日5日に、2月9日以来となる0.25%の追加利上げを発表した。休場明けの中国・上海株式市場は、利上げは織り込み済みとして上昇したが、日本の株式市場では特に材料視されなかった。
7日の日経平均株価は前日比6円56銭(0.07%)上昇、TOPIXは前日比1.49ポイント(0.18%)上昇した。前日6日の米国株式の上昇や外国為替市場での円安を好感して買いが先行した。日経平均株価の上昇幅は一時100円を超えたが、次第に売りが優勢となり、前日比マイナス圏に転じる場面もあった。引き続き企業業績に対する警戒感が強いため、積極的な買いは見られず小幅上昇にとどまった。なお日銀金融政策決定会合(6日〜7日)では、東日本大震災の被災地の金融機関向けに総額1兆円の低利融資制度を導入することを決定したが、事前の予想通りだったとして特に材料視されなかった。
8日の日経平均株価は前日比177円15銭(1.85%)上昇し、4月限日経平均オプションSQ(特別清算指数)値の9612円51銭を上回った。TOPIXは前日比12.03ポイント(1.43%)上昇した。前日7日の夜、東北地方で大型余震が発生して津波警報も発令されたため、被害状況を見極めようと朝方は売りが先行した。しかし売り一巡後は被害状況が限定的として次第に値を戻した。前日比プラス圏に転じた後は先物主導で上昇幅を広げ、午後に入ると一段高の展開となった。日経平均株価は一時、上昇幅が200円を超えて9800円台を回復する場面もあった。東京電力が6月初頭まで計画停電を原則実施しないと発表したことや、中国・上海株式市場が上昇したことも買い安心感につながった。3月の景気ウォッチャー調査(調査期間3月25日〜3月末)では、景気の現状判断DIが27.7で前月比20.7ポイント低下した。過去最大の落ち込みだったが、特に弱材料視されなかった。
なお8日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が前日比29ドル44セント(0.23%)下落、S&P500株価指数が前日比5.34ポイント(0.40%)下落、ナスダック総合株価指数が前日比15.72ポイント(0.56%)下落した。高値警戒感で利益確定売りが出やすい状況だったうえに、原油先物価格の大幅上昇や、予算を巡る協議の難航などが懸念材料となった。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 22:24
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