■株式市況を振り返って
週初3月28日の日経平均株価は前日比57円60銭(0.60%)下落、TOPIXは前日比0.47ポイント(0.06%)上昇した。投資家心理は徐々に落ち着きを取り戻しつつあるが、東京電力福島第一原子力発電所の事故に対する警戒感は依然として強い。復興需要関連として電力供給不足に伴う代替エネルギー関連が物色されたが、一方では東日本大震災による被災被害、復旧遅れ、電力供給不足、消費手控えムードなどが、企業業績に与える悪影響も警戒された。3月期決算企業の配当権利付き最終売買日だったが、企業業績の悪化で配当見通しを減額する可能性が懸念されるため、配当権利取りの買いは鈍かったようだ。
29日の日経平均株価は前日比19円45銭(0.20%)下落、TOPIXは前日比7.64ポイント(0.89%)下落した。東京電力福島第一原子力発電所敷地内の土壌で微量のプルトニウムが検出されたことを嫌気し、売りが先行した。日経平均株価は一時、前日終値比161円15銭(1.70%)安まで下落幅を広げた。しかし午後に入ると先物主導で下落幅を縮小した。3月期決算企業の配当権利落ち分(市場推計で85円程度)を埋めたため、実質的には前日比で上昇した。2月の完全失業率(季節調整値)は4.6%で前月比0.3ポイント改善したが、東日本大震災が発生する前の数値であるため材料視されなかった。一方で、被災した工場の生産再開見通しなどが好材料視された。
30日の日経平均株価は前日比249円71銭(2.64%)上昇、TOPIXは前日比15.88ポイント(1.87%)上昇した。東京電力福島第一原子力発電所の復旧作業遅れや、電力供給不足が企業業績に与える悪影響は懸念材料だが、前日29日の米国株式市場が上昇したことや、外国為替市場でドル・円相場が1ドル=83円近辺、ユーロ・円相場が1ユーロ=117円近辺まで、ともに円安が進行したことで買い安心感が広がった。また、午後に入って先物主導で上昇幅を広げたため、期末を控えたドレッシング的な買いも指摘された。
31日の日経平均株価は前日比46円31銭(0.48%)上昇、TOPIXは前日比3.29ポイント(0.38%)上昇した。前日30日の米国株式市場の上昇などを好感して買いが先行した。しかし、前日の大幅上昇で戻り待ちの売りが出やすい状況だったことに加えて、外国為替市場のドル・円相場で円安進行が一服感を強めたため、上値の重い展開となり、前日終値比で下落に転じる場面もあった。大引けにかけて値を戻したが、4月1日の米3月雇用統計の発表を控えて様子見ムードも強めた。なお月間ベースでみると、日経平均株価の終値は9755円10銭となり2月28日の1万624円09銭に対して868円99銭(8.18%)下落、TOPIXの終値は869.38となり2月28日の951.27に対して81.89ポイント(8.60%)下落した。
■様子見ムードが広がる 4月1日の日経平均株価は前日比46円71銭(0.47%)下落、TOPIXは前日比6.76ポイント(0.77%)下落した。前日終値を挟んでモミ合う展開となり、結局いずれも3営業日ぶりに反落した。新年度入りに伴う資金流入が期待され、外国為替市場でドル高・円安、ユーロ高・円安が進行したこともあり、先物主導で日経平均株価が一時9800円台を回復する場面もあった。しかし一方では、週末要因や戻り待ちの売り圧力などで上値も重い展開だった。日銀が発表した3月短観(企業短期経済観測調査)の結果は2四半期期ぶりの改善となったが、東日本大震災の影響が十分に反映されていないため、震災前の回答と震災後の回答を再集計した結果を4月4日に公表するとしたことや、米3月雇用統計の発表を控えて、様子見ムードも広がった。
なお4月1日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が前日比56ドル99セント(0.47%)上昇、S&P500株価指数が前日比6.58ポイント(0.50%)上昇、ナスダック総合株価指数が前日比8.53ポイント(0.31%)上昇した。注目の米3月雇用統計で、失業率は8.8%と前月比0.1ポイント改善し、非農業部門雇用者数は21.6万人増加して市場予想の19.0万人増加を上回ったため、雇用情勢の改善を好感した。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:49
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