【外国為替市場フューチャー:3月22日〜25日】■協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点
来週(3月22日〜25日)の外国為替市場で、ドル・円相場については、18日に合意したG7(日米欧主要7カ国)による協調為替介入の効果がどれくらい持続するのか、そして再びドル安・円高圧力が強まった場合に、協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点となるだろう。したがって当面の外国為替市場は、神経質な展開となる可能性が高いだろう。
ドル・円相場については、大勢として1ドル=81円台〜83円台のレンジでボックス展開が続いていたが、東北地方太平洋沖地震の発生で状況が一変した形である。前週(3月14日〜18日)は、リバトリエーション(資金の本国還流)の思惑などで95年4月につけた史上最高値を突破し、日本時間17日早朝には一時1ドル=76円25銭まで円が急騰した。ただし週末18日にはG7による協調為替介入の実施で円が急反落するなど乱高下した。
急速なドル安・円高の進行については、G7による協調為替介入実施の効果で、一旦は落ち着いた形である。そして当面は、心理的な節目として1ドル=80円台を支えるだろうとの見方がある。また、東日本大震災が日本経済に与える影響を考慮すれば、いずれドル高・円安方向に向かうとの指摘も多い。
しかし一方では、協調為替介入に一定の効果があったとしても、東日本大震災前の水準まで円が下落する可能性は小さいとの見方が多い。さらに、協調為替介入効果そのものの持続性や、協調為替介入の継続性について疑問視する見方も多い。東京電力福島原子力発電所の緊急事態の動向によっては、再び円高が進む可能性も指摘されている。リバトリエーションの思惑、中東・北アフリカ情勢の緊迫化、原油先物価格の上昇、米国長期金利の低下などによって、再びドル安・円高圧力が強まる可能性も警戒されている。その場合に、協調為替介入が継続されるのかが、今後の注目点となるだろう。
基本的には主要国の金融政策の動向が注目点である。世界的なインフレ懸念を背景として新興国での利上げが相次ぎ、ECB(欧州中央銀行)による4月利上げ観測も高まっている。米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和策第2弾(QE2)については、予定どおり11年6月末で終了するとの見方が優勢になっているが、その後は出口戦略に向かうのか、量的緩和策を継続するのかなど、米FRBの金融政策に対する見方が大きな焦点となる。
■ユーロ・円相場はドル・円相場と同様に神経質な展開 ユーロ・円相場の来週(3月22日〜25日)の動きについても、ドル・円相場と同様に、協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点となり、当面は神経質な展開となる可能性が高いだろう。
ユーロ・円相場についても、G7による協調為替介入の効果で、一旦は落ち着いた形である。しかしドル・円相場と同様に、協調為替介入に一定の効果があったとしても、東京電力福島原子力発電所の緊急事態の動向、中東・北アフリカ情勢の緊迫化、ECB(欧州中央銀行)の早期利上げ観測後退、EU域内諸国の財政不安問題再燃などによっては、再びユーロ安・円高が進む可能性もあるだろう。その場合に、G7による協調為替介入が継続されるのかが、今後の注目点となるだろう。
インフレリスクを背景とするECBの早期利上げ観測については、利上げを実施できるほどEU全体の経済は強くないとの指摘もあるだけに、慎重な見方が必要になる。そして、EU域内諸国の財政不安問題に対する警戒感については、一旦は和らいでいる状況だが、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペイン国債の格付けを1段階引き下げたことをきっかけとして、南欧諸国の財政懸念が再燃する兆しを見せている。4月以降のポルトガルやスペインでの国債大量償還時期も接近してきただけに、財政危機国に対する支援策の状況次第では、再びユーロ売りが広がる可能性も高い。EFSF(欧州金融安定基金)の融資規模拡大について具体策の議論も、次第に大きな焦点となってくるだろう。
来週の注目スケジュールとしては、国内では21日が休場(春分の日)となり、22日の1月全産業活動指数、24日の2月貿易統計、25日の2月全国消費者物価指数および3月東京都区部消費者物価指数、2月企業向けサービス価格指数などがあるだろう。なお大震災の影響で、スケジュールが変更される可能性もある。
海外では、21日の米2月中古住宅販売件数、22日の米週間チェーンストア売上高、米1月住宅価格指数、23日のユーロ圏1月鉱工業受注、米住宅ローン・借換え申請指数、米2月新築住宅販売件数、米2月シカゴ連銀全米活動指数、バーナンキ米FRB議長の講演、ユーロ圏財務相会合、24日のユーロ圏3月PMI(総合、製造業、サービス部門)速報値、EU首脳会議(25日まで)、米新規失業保険申請件数、米2月耐久財受注、25日の米10年10〜12月期GDP確報値、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値などがあるだろう。金融政策を巡る要人発言も注目されるだろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:59
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