【外国為替市場フューチャー:3月14日〜18日】■日本の輸出企業のドル売り・円買い需要が膨らむ
来週(3月14日〜18日)の外国為替市場で、ドル・円相場については、大勢として1ドル=81円台〜83円台のボックスレンジでの展開が続きそうだ。東北地方太平洋沖地震の影響については、11日の発生直後に思惑が交錯して乱高下した形となり、救援・復興に向けての補正予算などで思惑が広がる可能性も考えられるが、現時点での判断は難しい。被害が甚大であり、その全容が判明するまでは様子見ムードが強まる可能性も高いだろう。
また長期金利の動向も注目点だが、14日の日銀金融政策決定会合、および15日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では、いずれも現行の金融政策に大幅な変更はないと予想される。中東・北アフリカ情勢の不安定化懸念や、原油先物価格上昇懸念も、引き続きリスク要因として意識されるだろう。したがって日米ともに、長期金利に大きな動きはないと考えられる。
ドル・円相場については、大勢として1ドル=81円台〜83円台のレンジでボックス展開が続いている。中東・北アフリカ情勢不安定化懸念などを背景として、リスク回避で円が買われる展開となっても、1ドル=81円60銭近辺で円の上値が抑えられた形となっている。逆に1ドル=83円台では、3月期末に向けて日本の輸出企業のドル売り・円買い需要が膨らむため、円の下値も限定的である。
長期金利の動向を見ると、足元では中東・北アフリカ情勢不安定化懸念などを背景として、リスク回避で米国債が買われるため、米国の長期金利が上昇一服感を強めている。米国景気の回復期待は強く、世界的なインフレ懸念で利上げ観測も高まっているが、景気回復期待を背景として米国の長期金利が上昇すれば、日本の長期金利も連動して上昇する傾向を強めているため、日米の長期金利差拡大につながらない。ドル・円相場は、当面はどちらか一方向に傾く可能性は低いだろう。
そして基本的には、主要国の金融政策の動向が注目点となる。世界的なインフレ懸念を背景として新興国での利上げが相次ぎ、ECB(欧州中央銀行)による4月利上げ観測も高まっている。米FRBの量的緩和策第2弾(QE2)である国債買い取りについては、予定どおり11年6月末で終了するとの見方が優勢になっているが、その後は出口戦略に向かうのか、量的緩和策を継続するのかなど、米FRBの金融政策に対する見方が最大の焦点となる。15日の米FOMCで大幅な政策変更はないと予想されるが、引き続きバーナンキ米FRB議長の発言が注目されるだろう。
■予想しづらく乱高下する可能性も ユーロ・円相場の来週(3月14日〜18日)の動きは、引き続きリスク回避の思惑と、ECBの早期利上げに対する思惑が交錯する形だろう。東北地方太平洋沖地震の影響については、ドル・円相場と同様に、11日の発生直後に思惑が交錯して乱高下した形だが、現時点での判断は難しい。被害が甚大であり、その全容が判明するまでは様子見ムードが強まる可能性も高いだろう。
ユーロ・円相場に関しては、3日のトリシェECB総裁の発言を材料視して一時的にユーロを買う動きが優勢となったが、その後はリスク回避の思惑とECBによる早期利上げの思惑が交錯している。しかしEUのインフレ傾向は一時的であり、利上げを実施できるほどEU全体の経済は強くないとの指摘もあるだけに、中東・北アフリカ情勢不安定化懸念や、EU域内諸国の財政不安問題なども考慮すると、一方的にユーロが買われることは予想しづらく、乱高下する可能性も考えられる。
また、EU域内諸国の財政不安問題に対する警戒感については、一旦は和らいでいる状況だが、前週10日には、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペイン国債の格付けを1段階引き下げたことをきっかけとして、南欧諸国の財政懸念が再燃する兆しを見せている。4月以降にはポルトガルやスペインで国債の大量償還が控えているだけに、償還時期が接近するにつれて、財政危機国に対する支援策の状況次第では、再びユーロ売りが広がる可能性も高い。EFSF(欧州金融安定基金)の融資規模拡大について具体策の議論も焦点だろう。引き続き注意が必要である。
来週の注目スケジュールとしては、国内では14日の日銀金融政策決定会合(1日間に短縮)、キング英国中銀総裁の講演、2月消費動向調査、16日の1〜3月法人企業景気予測調査、17日の公示地価、2月日本製半導体製造装置BBレシオなどがあるだろう。ただし日銀金融政策決定会合が1日間に短縮されたように、東北地方太平洋沖地震の影響でスケジュールは変更される可能性がある。
海外では、14日のユーロ圏財務相会合、ユーロ圏1月鉱工業生産、15日のEU財務相理事会、米FOMC(連邦公開市場委員会)、米3月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日の米10〜12月期経常収支、米2月生産者物価指数、米2月住宅着工および住宅着工許可件数、17日の米2月消費者物価指数、米2月鉱工業生産および設備稼働率、米2月景気先行指数、米3月フィラデルフィア連銀景況指数、18日の欧州銀行監督機構(EBA)による域内銀行ストレステスト概要公表などがあるだろう。なお北米では13日からサマータイムに移行する。FOMCでは大幅な金融政策の変更はない見通しで、量的緩和策第2弾(QE2)も予定どおり6月で終了すると見方が優勢になっている。世界的にインフレ警戒感が高まっているだけに、引き続き金融政策を巡る要人発言などが注目されるだろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:13
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