【株式市場フラッシュ(1月24日〜28日の週)】■日本国債の格付け引き下げ
1月24日〜27日の週の日本株式市場で、日経平均株価(225種)は3週ぶりに反発し、終値ベースで1万300円台を回復した。しかし戻りの鈍い展開だった。チャート面で見ても、一時的に25日移動平均線(1万420円近辺)、12月SQ値(1万420円)ライン、1月SQ値(1万470円)ラインを回復したものの、週末終値ベースでは維持できなかった。
ダウ工業株30種平均株価が一時1万2000ドル台を回復するなど、米国株式市場が堅調だったため、日本株式市場で米国株高を好感する動きも見られた。しかし積極的な買いが続かず、前週(1月17日〜21日)後半の大幅下落に対するリバウンド狙い程度にとどまった。
週後半には国内主要企業の10年10〜12月期決算発表が始まり、決算内容や11年3月期通期見通しに対する反応が注目されたが、まだら模様の反応だった。全体として材料出尽くし感につながらなかったものの、相場を押し上げるには至らなかった。
そして週末には、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による日本国債の格付け引き下げ、外国為替市場での円買い戻しの動き、中国の春節(旧正月)前の利上げへの警戒感などを売り材料として、前週後半と同様に先物主導で売りが加速した形となった。
日経平均株価の終値ベースでの前日比騰落状況を確認しておこう。週初24日は前日(21日)比70円59銭高と3営業日ぶりに反発、25日は前日比119円31銭高と続伸、26日は前日比62円52銭安と反落、27日は前日比76円76銭高と反発、そして週末28日は前日比118円32銭安と反落した。なお日中の値幅は、24日が69円13銭、25日が124円44銭、26日が47円89銭、27日が74円65銭、28日が147円43銭だった。
日経平均株価の騰落状況を週間で見ると、週末28日の終値は1万360円34銭となり、前週末(21日)に比べて85円82銭(0.84%)上昇した。なお、取引時間中の高値は27日の1万496円40銭で、直近の戻り高値となる13日の1万620円57銭に届かなかった。一方の安値は24日の1万278円81銭だったが、前週安値21日の1万257円99銭を割り込まなかった。1週間の値幅は217円59銭だった。
TOPIXの騰落状況を週間で見ると、週末28日の終値は919.69となり、前週末(21日)に比べて8.84ポイント(0.97%)上昇した。取引時間中の高値は25日の931.49で、直近の戻り高値となる13日の939.70に届かなかった。一方の安値は24日の909.78だったが、前週安値21日の909.14を割り込まなかった。
■株式市場を振り返って 24日の日経平均株価は3営業日ぶりに反発した。前週後半の大幅下落に対するリバウンド狙いの買いが優勢となり、引けにかけてやや上げ幅を広げた。米FOMC(連邦公開市場委員会)(25日〜26日)や、オバマ米大統領の一般教書演説(25日)などのイベントを控えていたため、特段の材料に欠けたが、前週末21日の米国株式市場が堅調だったことも、買い安心感につながった。
25日の日経平均株価は続伸した。前日の米国株式市場でダウ工業株30種平均株価が大幅に続伸したことを好感して買いが優勢となり、先物での大口の買い戻しも相場を押し上げた。なお、日銀金融政策決定会合で政策金利を現行の0.0〜0.1%に全員一致で据え置いたことは、特に材料視されなかった。
26日の日経平均株価は反落した。24日と25日の2日間で合計189円90銭反発したため、リバウンド狙いの買いが一巡した。また外国為替市場のドル・円相場で、円が1ドル=82円台前半に上昇したことも、買い手控えにつながった。国内主要企業の10年10〜12月期決算発表の本格化を控えていたため、市場の反応を見極めたいとのムードも広がった。
27日の日経平均株価は反発した。前日の米国株式市場でダウ工業株30種平均株価が一時1万2000ドル台を回復したため、米国株高を好感して買いが先行し、日経平均株価は一時1万500円台に接近した。しかし積極的な買いが続かず、戻りの鈍さが意識された。
28日の日経平均株価は反落した。前日発表された米S&Pによる日本国債の格付け引き下げ、外国為替市場での円買い戻しの動き、中国の春節前の利上げに対する警戒感などが売り材料となり、先物主導で売りが加速した。結局、日経平均株価は週間ベースでは3週ぶりに反発して1万300円台を回復したが、戻りの鈍さを意識させる展開だった。
S&Pによる日本国債の格付け引き下げの影響については、27日の発表直後に、外国為替市場では急速に円安方向に振れ、債券市場でも長期金利が上昇した。しかし翌28日には、外国為替市場、債券市場ともに影響が一巡し、外国為替市場では円を買い戻す動きが優勢になった。株式市場では28日の売り材料にされた可能性もあるが、影響は限定的との見方が優勢である。
中国の金融引き締め策については、ある程度の方向性が確認されているが、早ければ2月2日からの春節前後にも利上げが実施されるとの観測で警戒感が台頭した。中国、インド、ブラジルなどの新興国では、インフレ進行懸念で利上げが相次いでいるため、新興国の経済成長減速や世界景気への影響、さらには過剰流動性の後退などを懸念する見方も増えている。
また、政権が崩壊したチュニジアに続いて、エジプトでも反政府デモが激化している。このため、中東や北アフリカ地域全体の政情不安定化に対する警戒感が高まっている。
28日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が前日比166ドル13セント(1.38%)安、ナスダック総合株価指数が前日比68.39ポイント(2.48%)安と、いずれも大幅に下落した。エジプトでの反政府デモが激化したため中東情勢の不安定化懸念が広がった。なお10年10〜12月期米実質GDP(国内総生産)伸び率(速報値)は、前期比年率3.2%だった。市場予想を下回ったが、個人消費の伸び率が堅調だったため、失望感につながらなかった。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 23:28
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