【来週の相場展望(12月13日〜17日)】■米国景気回復期待が高まれば上値追いも
前週(12月6日〜10日)の日本の株式市場は、短期的な過熱感が警戒されたうえに、週末10日に株価指数先物・オプション12月物のメジャーSQ(特別清算指数)算出日を控えていたため様子見ムードの強い展開だったが、出遅れ修正期待に加えて、ドル・円相場が概ね1ドル=83円台半ば〜84円台前半のレンジで推移したことも下支えとなり、総じて堅調な展開だった。9日の日経平均株価は、終値ベースで5月14日以来の高値水準まで回復した。
しかし、騰落レシオ(25日移動平均)が9日には163.47%となり、過去最高水準に上昇していることに対する警戒感が高まった。そして週末10日は、日経平均SQ値の1万420円74銭を上回ることができず、結果的に「幻の日経平均SQ値」となった。
来週(12月13日〜17日)の日本の株式市場は、引き続き出遅れ修正期待が強いものの、過去最高水準に達している騰落レシオを根拠として、スピード調整を警戒する見方が優勢である。また、先行して年初来高値を更新していた主力株の一角には、明らかに買い疲れ感が見え始めている。さらに「幻の日経平均SQ値」となった1万420円近辺が、上値抵抗ラインとして意識されるだろう。
年末に向けて利益確定売りをこなせるかもポイントになるが、常識的に考えれば、やはり短期的な調整局面の可能性が高いだろう。主力株に利益確定売りが優勢になれば、低PER・低PBRの出遅れ銘柄や、信用低倍率銘柄などの個別物色の色合いが、一段と強まるだろう。
一方でプラス材料としては、日本株には依然として出遅れ修正余地があるとの見方に加えて、マネーが債券市場から株式市場へシフトしているとの観測もあり、堅調な地合いが期待される。前週末10日の米国株式市場が上昇したことや、大型減税(ブッシュ減税)継続などで米国の景気回復期待が高まっていることも支援材料となるだろう。
来週のスケジュールとしては、国内では15日発表予定の12月日銀短観が注目されるだろう。また15日には大塚ホールディングスが東証1部に新規上場する。時価総額が1兆円を超えるため、4月の第一生命保険に次ぐ大型IPOとして株価の動向が注目されている。さらに15日には、政府が11年度の税制改正大綱を決定する。法人実効税率の引き下げや証券優遇税制の存廃などの内容次第では材料視される可能性があるだろう。
米国では14日の米FOMC(連邦公開市場委員会)が注目される。さらに14日発表予定の11月米小売売上高、16日発表予定の11月米住宅着工件数、17日発表予定の12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数などで、景気回復期待が高まるかも注目点だろう。
今回のFOMCでは、追加緩和策は実施されないとの見方が大勢だが、米FRB(連邦準備理事会)バーナンキ議長が報道番組で、国債買い入れ拡大を否定しないと発言した後だけに、その声明内容が注目されている。声明内容次第では、米国長期金利が動き、外国為替市場に影響を与える。長期金利が低下して、外国為替市場でドル安・円高が進めば、日本の株式市場では短期的な過熱感が警戒されているだけに、利益確定売りが優勢になる可能性が高まる。逆に長期金利が上昇して、外国為替市場でドル高・円安が進めば、日本の株式市場では買い安心感が広がるだろう。
その他の経済指標にも注意が必要となるが、米国の景気回復期待が高まり、米国の株式市場が堅調に推移すれば、日本の株式市場もツレ高で上値を追う可能性もあるだろう。
もちろん、欧州の財政不安問題の広がりや中国の金融政策も、引き続き波乱要因であり注意は必要だろう。なお、中国人民銀行が前週末10日に預金準備率を0.5%引き上げたが、ある程度は織り込み済みであり、影響は限定的だろう。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:41
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