■終値ベースで1万円の大台を回復

日経平均株価(225種)の終値ベースで前日比騰落を見ると、週初の29日は輸出関連株を中心に買いが先行し、前週末比86円43銭高で反発スタートした。30日は欧州の財政不安問題で前日比188円95銭安と大幅反落したが、1日は前日比51円01銭高と反発、2日は前日比180円47銭高と大幅続伸、週末の3日は前日比9円80銭高と小幅ながら3日続伸して取引を終了した。
日経平均株価の騰落を週間で見ると、週末3日の終値は1万178円32銭となり、前週末比138円76銭(1.39%)の上昇だった。取引時間中の高値は3日の1万254円00銭、安値は1日の9918円55銭で、取引時間中の値幅は335円45銭だった。30日と1日は終値ベースで1万円の大台を割り込んだが、2日は大幅反発して1万100円台を回復した。3日の終値1万178円32銭は、終値ベースで6月21日(1万238円01銭)以来の水準だった。
またTOPIXの騰落を週間で見ると、週末3日の終値は879.22となり、前週末比12.41ポイント(1.44%)上昇した。取引時間中の高値は3日の884.63で、安値は1日の858.87だった。また3日終値の879.22は6月24日(879.77)以来の水準である。
週初の29日は前週末比で反発スタートした。東京外国為替市場でドル・円相場が1ドル=84円台前半と、約2カ月ぶりのドル高・円安水準に下落したことに加えて、米国の年末商戦の好調が好感された。ただし、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)が120%を超えたため、短期的な過熱感を指摘する声も聞かれた。
30日は大幅反落した。10月の鉱工業生産指数速報値は前月比1.8%低下したが、市場予想ほど落ち込まなかったことは好材料だった。しかし、前日29日の米国株式市場が、欧州の財政不安の広がりを懸念して大幅下落したことや、30日の外国為替市場で、円が対ユーロで一時109円台に上昇したことなどが嫌気された。欧州ではEU(欧州連合)が28日、IMF(国際通貨基金)と共同で、アイルランドに対する総額850億ユーロの金融支援を正式決定したが、信用不安がポルトガルとスペインなどに波及するとの懸念が強まった。また午後には、中国の金融引き締め観測で上海株式市場の指数が急落したことも投資家心理を冷やした。短期的な過熱感が警戒されていたこともあって利益確定売りが優勢となり、日経平均株価は1万円の大台を割り込んで安値引けとなった。
1日は小幅レンジでのモミ合い展開だったが、2日は大幅上昇した。前日の米国株式市場が、米ADP社が発表した全米雇用レポートで雇用者数が大幅に増加したことや、年末商戦が好調に推移していること材料視して大幅上昇に転じた流れを引き継いだ。中国の株式市場が上昇したことや、対ユーロでの円高進行が一服したことも買い安心感につながった。
3日は週末要因に加えて、11月米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強まった。終値ベースでは3日続伸だったが、小幅レンジでのモミ合い展開に終始し、結局9円80銭の上昇にとどまった。また、中国共産党が2011年の金融政策について、適度に緩和的としてきた路線から引き締め方向に変更することを決定したと伝わったが、影響は限定的だった。
なお週末3日の米国株式市場は上昇し、ナスダック総合株価指数は2年11カ月ぶりの高値水準だった。11月米雇用統計で、非農業部門雇用者数が39千人増加、民間部門合計が50千人増加にとどまり、いずれも事前の予想を大幅に下回った。また11月の失業率は9.8%となり、10月の9.6%から上昇した。しかし株式市場への影響は限定的だった。雇用統計が弱かったことで逆に、大型減税継続への期待が高まった。さらに、CBSの報道番組に出演する米FRB(連邦準備理事会)バーナンキ議長の、国債買い入れの拡大を否定しないとの発言が伝わったことも、支援材料となった。