■米FOMC通過後の流れが続き、日本市場は週間で上昇
11月8日〜12日の週の日本の株式市場は、米FOMC(連邦公開市場委員会)を通過して大幅上昇した前週後半(11月4日〜5日)の流れが続き、週前半は堅調な展開だった。米国の株式市場では利益確定売りが優勢となり、日本の株式市場でも短期的な過熱感を指摘する見方もあったが、外国為替市場でドル安・円高の流れが一服したことも買い安心感につながっただろう。株式市場全体のムードは徐々に改善しているようだ。ただし週後半には、欧州の財政不安問題の再燃や、中国の金融引き締め観測などで警戒感も強まった。
日経平均株価(225種)終値ベースの前日比騰落で1週間を振り返ってみると、8日は前週末比106円93銭高、9日は前日比38円43銭安、10日は前日比136円03銭高、11日は前日比30円94銭高と堅調だった。12日は前日比136円65銭安だった。
日経平均株価を1週間の動きで見ると、週末12日の終値は9724円81銭となり、前週末比98円82銭(1.03%)上昇した。取引時間中の高値は11日の9885円37銭、安値は9日の9659円86銭だった。10日の終値は9830円52銭、11日の終値は9861円46銭で、終値ベースとしては6月24日(9928円34銭)以来の水準まで回復した。
またTOPIXを1週間の動きで見ると、週末12日の終値は846.98となり、前週末比12.00ポイント(1.44%)上昇した。取引時間中の高値は11日の858.52、安値は9日の836.79だった。10日の終値は852.98、11日の終値は856.37で、終値ベースとしては9月17日(852.09)以来となる850台を回復した。
■円高一服感が強まり買い安心感につながる 週初の8日は、大幅上昇した前週後半の流れが続き、順調なスタートとなった。大幅上昇の反動も警戒されたが、前週末5日に10月の米雇用統計を好感して米国株式市場が上昇し、外国為替市場でドル安・円高の流れが一服したことも買い安心感につながったようだ。
短期的な過熱感に対する警戒と、流動性相場や出遅れ修正に対する期待が交錯する中で堅調な展開が続いた。9日には外国為替市場のドル・円相場で、一時的に1ドル=80円台半ばに円が上昇する場面も見られたが、株式市場への影響は限定的だった。また11日には、国内では9月機械受注、中国では主要経済指標が発表されたが、いずれも株式市場への反応は限定的だった。外国為替市場でドル・円相場が1ドル=82円台で推移し、円高一服感が強まったことも買い安心感につながったようだ。
さらに、韓国で11日〜12日に開催されたG20(20カ国・地域)首脳会議(サミット)では、首脳宣言で「通貨安競争の回避」や「不均衡是正のための参考指針の議論」などが示されたが、具体策は先送りとなり、特に材料視されていない。ただし12日には、中国の株式市場が追加利上げや不動産規制など金融引き締め観測で急落したため、日本の株式市場でも警戒感が強まり、下げを加速させた。
12日の日本の株式市場終了後には、ユーロ圏の10年第3四半期(7〜9月期)GDP(国内総生産)速報値と、11月の米ミシガン大学消費者信頼感指数が発表されている。ユーロ圏の10年第3四半期GDP速報値は、前期比0.4%増、前年比1.9%増だった。また11月の米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は69.3で前月の67.7から1.6ポイント改善した。しかし、これらの統計は材料視されず、中国の金融引き締め観測などが警戒されて、商品先物市場で金、銅、原油などの相場が急落したため、米国株式市場でも、ダウ工業株30種平均株価が前日比90ドル52セント安と続落した。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:58
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