■日銀金融政策決定会合も焦点、先行して売り込まれた銘柄に注目

ギリシャ問題が落ち着けば、当面の底打ちを意識させる可能性もあるが、ギリシャの再選挙が6月17日であることも考慮すれば、本格反発には時間を要するだろう。
前週末18日の米国株式市場が下落したことや、新規上場の米フェイスブックの株価が伸び悩んだことなどで、週初21日の日本株式市場はやや軟調なスタートとなる可能性もありそうだ。
22日〜23日の日銀金融政策決定会合も焦点となりそうだ。今回の会合では追加緩和見送りのとの見方が優勢だが、前週後半の円高進行や株式市場下落を受けて、何らかの追加緩和策を出さざるを得ないとの思惑が広がる可能性もあるだろう。
こうした思惑と売られ過ぎ感で、週前半は一旦、自律反発の展開となる可能性があるだろう。ただし日銀金融政策決定会合で、大方の予想どおりに追加緩和見送りになれば、失望感が広がる可能性に注意しておきたい。
23日のEU首脳会議で、ギリシャ問題に関して何らかのポジティブな内容を打ち出せるかどうかも焦点となるが、期待薄だろう。
13年3月期の企業収益が概ね改善基調であることを前向きに捉えるかどうかも焦点だが、市場全体の地合いが冷え込んでいるだけに、好業績・好材料銘柄の個別物色の展開が続きそうだ。ただし、先行して売り込まれた銘柄の中には、中小型株を中心に反発の兆しを見せている銘柄も少なくないだけに、こうした銘柄の動きに注目しておきたい。
前週の海外動向を整理しておくと、ギリシャの連立協議が決裂して6月17日再選挙が確定したこと、ギリシャの国内銀行から7億ユーロ規模の預金が流出したことで、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性と、離脱による世界の金融システムに与える影響が警戒された。スペイン銀行大手バンキアで10億ユーロ以上の預金が流出したと報道された(政府は否定)こと、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、スペインの銀行16行の格付けを引き下げたことも警戒感につながった。18日にはギリシャの最新世論調査で、緊縮財政支持の連立与党が過半数を獲得できる見通しとの報道もあったが、反応は限定的だった。
米国では、15日発表の米5月ニューヨーク連銀製造業景気指数が大幅に改善したが、17日発表の米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が大幅に悪化したため、17日の米国株大幅安につながった。中国では12日に預金準備率を0.5%引き下げると発表したが反応は限定的だった。
そして前週末18日の米国株式市場は下落した。ダウ工業株30種平均株価は前日比73ドル11セント(0.59%)安の1万2369ドル38セントと6営業日続落した。序盤は買い戻し優勢だったが、ギリシャのユーロ離脱懸念に加えて、新規上場の米フェイスブックが伸び悩んだことも失望感につながった。S&P500株価指数は前日比0.74%安と6営業日続落、ナスダック総合株価指数は前日比1.24%安と5営業日続落した。
外国為替市場は、週前半は小動きだったが、17日の海外市場で急速に円が上昇した。ギリシャ問題に対する警戒感、米景気の先行きに対する警戒感や米追加緩和観測などで、円買いの動きが強まった。週末18日の海外市場で終盤は1ドル=79円00銭近辺、1ユーロ=101円00銭近辺だった。
■注目スケジュール
来週の注目スケジュールとしては、国内では21日の3月景気動向指数改定値、22日の日銀金融政策決定会合(1日目)、23日の4月貿易統計、日銀金融政策決定会合(最終日)、25日の4月全国・5月東京都区部消費者物価指数(CPI)などがあるだろう。
海外では21日の米4月シカゴ連銀全米活動指数、22日のOECD経済見通し、英4月消費者物価指数、米4月中古住宅販売、北米4月半導体BBレシオ、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、米2年債入札、ロックハート米アトランタ地区連銀総裁の講演、23日の英4月小売売上高、英金融政策委員会(5月9日〜10日分)議事録、ユーロ圏3月経常収支、EU首脳会議、米3月住宅価格指数、米4月新築一戸建て住宅販売、米住宅ローン・借り換え申請指数、米5年債入札、コチャラコタ米ミネアポリス地区連銀総裁の講演、24日の独5月IFO業況指数、独1〜3月期GDPの詳細、英1〜3月期GDP改定値、ユーロ圏5月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米4月耐久財受注、米4月住宅着工許可件数改定値、米新規失業保険申請件数、米7年債入札、25日の独6月消費者信頼感指数、欧州理事会、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値などがあるだろう。
その後の注目イベントとしては、5月29日の米5月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、29日〜30日のブラジル中銀通貨政策委員会、30日のユーロ圏5月景況感・業況感指数、31日のユーロ圏5月消費者物価指数速報値、アイルランドの新財政協定参加是非を問う国民投票、米5月シカゴ地区購買部協会景気指数、米5月ADP雇用報告、米第1四半期GDP改定値、6月1日の中国5月PMI、米4月個人所得・消費支出、米5月雇用統計、米5月ISM製造業景気指数、4日の日本マネタリーベース、5日の豪中銀理事会、6日のECB理事会(金利発表)と記者会見、7日の英中銀金融政策委員会、14日〜15日の日銀金融政策決定会合、17日のギリシャ再選挙などが予定されている。