★日経平均株価、TOPIXともに7週ぶりの下落

週初19日は、ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感の後退、米国景気回復に対する期待感、外国為替市場での円安進行などが追い風となり、買い優勢でスタートした。日経平均株価の19日の終値は1万141円99銭で、終値ベースとして昨年7月8日(1万137円73銭)を上回り、東日本大震災当日の終値(3月11日の1万254円43銭)以来の戻り高値水準となった。またTOPIXは、取引時間中ベースとして昨年7月22日(870.71)以来の水準となる870.35まで上昇する場面があった。
しかし週後半になると、中国とユーロ圏の製造業PMI(購買担当者景気指数)が低下し、景気減速に対する警戒感が強まったことに加えて、外国為替市場での円安進行に一服感を強めたため、主力大型株を中心に利益確定売りが優勢になった。
世界の主要国・地域の今週の動向を整理すると、ユーロ圏では、ギリシャの国債償還を通過して警戒感が後退した。しかしスペインの国債利回りが上昇したため、新たな懸念の可能性として意識された。さらに、ユーロ圏3月製造業PMI速報値が47.7となり、2月の49.0に比べて低下して市場予想も下回った。特にドイツの3月PMIが大幅に低下したため、景気減速に対する警戒感が強まった。
米国の主要経済指標では、住宅関連指標がやや低調だった。20日には、米2月住宅着工件数が年率換算69.8万件となり、1月改定値の同70.6万件(69.9万件から上方修正)に比べて1.1%減少して市場予想も下回った。ただし2月建設許可件数は年率換算71.7万件となり、1月改定値の同68.2万件(67.6万件から上方修正)に比べて5.1%増加して市場予想も上回った。21日には、米2月中古住宅販売件数が年率換算459万件となり、1月改定値の同463万件(457万件から上方修正)に比べて0.9%減少して市場予想も下回った。22日には、米1月住宅価格指数が前月比横ばいとなり、12月の同0.7%上昇に比べて鈍化して市場予想も下回った。米2月景気先行指数(コンファレンス・ボード)は95.5と前月比0.7%上昇し、1月改定値の同0.2%上昇に比べて改善して市場予想も上回った。米週間新規失業保険申請件数は34.8万件となり、前週改定値の35.3万件(35.1万件から上方修正)に比べて0.5万件減少して市場予想以上に改善した。23日には、米2月新築一戸建て住宅販売件数が年率換算31.3万件となり、1月改定値の同31.8万件(32.1万件から下方修正)に比べて1.6%減少して市場予想も下回った。
中国に関しては、22日に英系金融大手HSBCが発表した中国3月製造業PMI速報値が48.1となり、2月の49.6に比べて低下したため景気減速に対する警戒感が強まった。
日本に関しては、22日の2月貿易統計が329億円の黒字となり、予想外に5カ月ぶりに黒字転換した。このため外国為替市場では、やや円買い方向に反応した。
外国為替市場の動きを見ると、ドル・円相場、ユーロ・相場ともに、基調として円安の地合いに変化はないと考えられるが、週後半は円安一服の展開となった。日本の2月貿易統計が予想外の黒字だったこと、中国とユーロ圏の景気減速に対する警戒感が強まったこと、さらに米住宅関連指標が低調だったことなどで、リスク回避の円買いが優勢になった。週末23日の海外市場で、終盤は1ドル=82円30銭〜40銭近辺、1ユーロ=109円30銭〜40銭近辺だった。
テクニカル面で、日経平均株価(23日時点の1万11円47銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同9790円55銭)に対しては2.25%、75日移動平均線(同9036円61銭)に対しては10.78%、200日移動平均線(同9064円69銭)に対しては10.44%となり、いずれもプラス乖離幅を縮小した。東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は23日時点で124.7%となった。
日経平均株価の終値で騰落状況を見ると、19日は12円16銭(0.12%)高と小幅に5営業日続伸、21日は前日比55円50銭(0.55%)安と6営業日ぶり反落、22日は前日比40円59銭(0.40%)高と反発、23日は前日比115円61銭(1.14%)安と反落した。日中値幅は19日が38円16銭、21日が58円12銭、22日が84円35銭、23日が32円59銭だった。
日経平均株価の週末23日の終値は1万11円47銭となり、前週末16日の終値1万129円83銭に比べて118円36銭(1.17%)下落し、週間ベースで7週ぶりの下落となった。取引時間中ベースの週間高値は19日の1万172円64銭、週間安値は23日の9999円37銭、1週間の取引時間中の値幅は173円27銭だった。
TOPIXの週間騰落状況を見ると、週末23日の終値は852.53で、前週末16日の終値866.73に比べて14.20ポイント(1.64%)下落し、週間ベースで7週ぶりの下落となった。取引時間中ベースの週間高値は19日の870.35、週間安値は23日の852.31だった。週末23日時点のNT倍率は11.74倍となり、前週末16日時点の11.69倍に比べて0.05ポイント上昇した。