
8日は、日経平均株価が前日比111円58銭(1.27%)安で続落、TOPIXが前日比12.42ポイント(1.66%)安で続落した。前日7日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比85ドル15セント(0.71%)高と反発し、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数も反発した。イタリアの政局混迷などが警戒されて売り買いが交錯する展開だったが、ECB(欧州中央銀行)のシュタルク専任理事が債務危機の早期解決見通しを示したことや、EIB(欧州投資銀行)が条件付きで域内金融機関への追加融資が可能とする報告書をまとめたとの報道を好感した。これに対して日経平均株価は前日比22円73銭安と売り先行でスタートした。イタリア議会での財政関連法案採決や、大引け後のトヨタ自動車(7203)の決算発表を控えていたうえに、オリンパス(7733)が第三者委員会の調査過程で過去の損失計上先送りが判明したと発表したため、投資家心理を冷やした。午前は小幅安水準でモミ合う展開だったが、午後に入ると主力銘柄に対する売りが加速した。日経平均株価は急速に下落幅を広げて、この日の安値圏で取引を終了した。オリンパスの記者会見を受けて日本企業のコーポレートガバナンスに対する不信感が広がった。東証1部市場の値下がり銘柄数は1429(全体の86%)に達し、売買代金は1兆124億円だった。セクター別には、景気敏感関連を中心にほぼ全面安の中、半導体関連の下落が目立った。オリンパスの主幹事証券の野村HD(8604)は14.93%下落した。
9日は、日経平均株価が前日比99円93銭(1.15%)高で3営業日ぶりに反発、TOPIXが前日比11.37ポイント(1.54%)高で3営業日ぶりに反発した。前日8日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が前日比101ドル79セント(0.84%)高と続伸し、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数も続伸した。イタリアの政局を睨みながら方向感に欠ける展開だったが、終盤になるとイタリアのベルルスコーニ首相が財政関連法案を成立させた後に辞任すると表明したため、政局が安定して財政再建が進むとの期待感が広がった。この流れを受けて日経平均株価は前日比69円09銭高と買い先行でスタートした。しかし積極的な買いは見られず、午前は中国の主要経済統計の発表を控えてモミ合う展開となった。午後に入ると上昇幅を前日比23円27銭高まで縮小する場面があった。中国10月CPI(消費者物価指数)が前年比5.5%上昇となり9月の6.1%上昇から鈍化したが、ほぼ市場予想の水準だったため早期の金融政策転換への期待が後退した。為替が対ドル、対ユーロともにやや円高方向に振れたことも弱材料視された。しかし中国・上海株式市場が上昇に転じたことを受けて安心感が広がり、大引けにかけて値を戻した。結局この日の高値圏で取引を終了した。東証1部市場の値上がり銘柄数は1311(全体の79%)で、売買代金は1兆863億円だった。セクター別には、景気敏感関連を中心に幅広く買い戻された。オリンパスの主要取引銀行である三井住友FG(8316)が乱高下する場面があった。
10日は、日経平均株価が前日比254円64銭(2.91%)安で大幅に反落、TOPIXが前日比19.10ポイント(2.55%)安で大幅に反落した。前日9日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比389ドル24セント(3.20%)安と3営業日ぶりに大幅反落し、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数も3営業日ぶりに大幅反落した。欧州の清算・決済機関LCHクリアネットがイタリア国債の証拠金比率引き上げを発表したことをきっかけに、イタリア国債利回りが危険水域とされる7%台に上昇したため警戒感が強まった。欧州株式市場も大幅下落した。この流れを受けて日経平均株価は前日比158円16銭安と大幅に売り先行でスタートした。寄り付きの売り一巡後は下げ渋る場面もあったが、午後に入ると日経平均株価は下落幅を広げ、ほぼ安値引けとなって10月6日以来の8500円台に下落した。タイの洪水被害による企業業績への悪影響も警戒され、アジアの主要株式市場の下落も弱材料視された。東証1部市場の値下がり銘柄数は1446(全体の87%)に達し、売買代金は1兆1888億円だった。セクター別には、景気敏感・輸出関連を中心にほぼ全面安の中、総合商社や銀行の下落が目立った。なお日銀はETFとREITを合計171億円購入した。
11日は、日経平均株価が前日比13円67銭(0.16%)高で小幅に反発、TOPIXが前日比1.17ポイント(0.16%)安で小幅に続落した。前日10日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比112ドル85セント(0.96%)高と反発し、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数も反発した。イタリア国債の入札が順調だったため10年物利回りが6%台に低下したこと、ギリシャ新政権の首相にパパデモス前ECB(欧州中央銀行)副総裁が指名されたこと、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がフランス国債格付け引き下げの誤った情報を流したが、その後最上位格付けを確認したことを受けて警戒感がやや後退した。米新規失業保険申請件数が前週比1万件減少の39万件となり、40万件を下回って4月初旬以来の低水準となったことや、米9月貿易赤字が4.0%減少したことも好感した。この流れを受けて日経平均株価は前日比45円12銭高と買い先行でスタートした。しかし寄り付きの買い一巡後は徐々に上昇幅を縮小した。日経平均株価は前日比マイナス圏に転じて8500円台を割り込む場面もあった。週末要因や、景気先行きに対する警戒感に加えて、イタリア議会での財政関連法案の採決を控えて見送りムードが強まった。午後に入ると、日経平均株価は前日比プラス圏に転じて寄り付き水準近辺まで値を戻す場面もあったが、結局は小幅な上昇にとどまった。日経平均株価の株価指数オプション11月物SQ(特別清算指数)値は8542円82銭だった。東証1部市場の値下がり銘柄数は843(全体の51%)となり値上がり銘柄数635(全体の38%)を上回った。売買代金は1兆353億円だった。セクター別には、ゴム、窯業、機械などが上昇したが、主力銘柄の動きはまちまちだった。
11日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が前日比259ドル89セント(2.19%)高と大幅続伸し、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数も大幅続伸した。イタリア議会上院で財政関連法案が可決されたことや、ギリシャ大連立内閣が発足したことを受けて、ユーロ圏の債務危機問題に対する警戒感がやや後退した。さらに、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が64.2で、前月の60.9から上昇して5カ月ぶりの高水準となり、市場予想も上回ったことを好感した。